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狼と狐のち日常
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春一番の風が草を薙ぐ。
季節の変わり様を感じさせる風に桜の花弁が優雅に舞っている。
僕の庭……菫に椛の主な生活拠点に
毎年、春に咲く桜は今年も華麗に満開になった。
「満開かぁ……じゃ、皆で花見しようか!」
唐突に言ってみた。
ソファで休息していた砂羽もフラウも目を丸めている。
「お酒は用意してある……あ、料理が無いか……」
「マスターは場所の準備をしておいて頂けますか?」
’仕方ありませんね’とでも言いたそうに、小さな溜息を零すと
暗い緑色のエプロンの端を摘んで何度か伸ばした。
でも、その表情は嬉しそうだった。
僕は近くの棚からシートを、冷蔵庫隣の倉庫からお酒を
そして、手鏡を持って窓ガラスから庭に出る。
手鏡は言わなくても分かるよね。
「東雲? 酒なんか持ってどうしたのじゃ?」
「あ、菫良いとこに。今から花見するよ〜」
「んむ……儂らも行っていいのかえ?」
「おいでよ〜、全員でやるよ♪」
すでに満開の桜は見えている。
あと数十歩で辿り着けるだろう。
椛達は菫に頼んで、さっさと場所の準備しなきゃ。
いい香りがするから。
* * *
「じゃ、乾杯♪」
『乾杯〜』
湯のみに注がれたお酒を手に、それを天に掲げる。
流石に砂羽にはお酒はまだ早いので、水で。
「ま、マスターっ……私、お酒は……」
「遠慮しなくて良いよ♪ 飲んでも大丈夫だから♪」
まぁ、あんまりよろしくはないけど。
こういう事も大切だから教えとかないとね。
くいっ、とお酒を喉に流し込む。
喉をじんわりと灼く液体、口腔に広がる芳香。
……これが堪らない。
「んくぅ〜〜♪」
「堪らんのぅ♪」
「美味ぇな♪」
「ふぅ……心地よいな♪」
土鍋に注がれたお酒を一呑みにする獣達。
僕にとっては泥酔になる程の量でも
獣達にとっては、喉を潤すのに丁度良いようだ。
「っ、げほげほっ!」
フラウは咳き込んでいた。
恐らく喉を灼かれるのが苦しいのだろう。
「ま、マスター。やっぱり私は飲めません……」
「そのうち慣れるから大丈夫♪」
飲めない事に物凄く、申し訳なさそうな表情をするフラウ。
自分を責めない様に取り敢えず、釘を刺しておく。
「椛〜、おめぇ……生意気な体してんじゃねぇか……」
「当たり前じゃ♪ 愚かな雄を食い物にする為じゃしな♪」
気付けば、椛とソルが何かを言い合っている。
見てみれば足下に転がる酒瓶……12本。
6本ずつか……って。
結構酔い始めてる……
「お主も食い物にしてやろうかえ? 馬鹿そうじゃしの?」
「ああん? 上等だ女ギツネ。こっちにきやがれ」
フラウや菫もなんとか宥めようとするものの
それらを無視、奥の森へ姿を消してしまう。
まぁ、大丈夫だとは思うけど……
「……もうちょっと飲みたいな、誰と飲もうかな♪」
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the Choices 3
・皆のお母さん、菫と飲む
gt;
gt; 25
・ちょっとフラウの面倒を見よう
gt;
gt; 26
・ガレイドと飲んでからかおうかな♪
gt;
gt; 27
・あの2人が気になるような、気にならないような……
gt;
gt; R-2
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<2012/03/28 12:17 セイル>
▼作者専用
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