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狼と狐のち日常
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− 『ガレイドと飲んでからかおうかな♪ −
「ガレイド〜、飲も♪」
「私とか?」
ガレイドは手鏡から半身を乗り出し、土鍋に注いだ
7杯目の酒をちびちびと飲んでいた。
「勝手にしろ」
「本当は嬉しいんでしょ?」
「違う!」
先程まで全員で飲んでいたのだが、菫は椛やソルと
飲んでいたにもかかわらず、ガレイドは関わっていない。
ずっと、一人でちびちび飲んでいたのだ。
それは結構、寂しいと感じる筈。
だからこうして声をかけられて嬉しい筈。
「またまた〜、見栄張っちゃって」
「五月蝿い」
ばくっ!
突然、視界が闇に包まれた。
一瞬過ぎてよく分からなかったが
どうやらガレイドに咥え込まれたようだ。
「このまま喰ってしまおうか♪ 東雲っ」
ぐいぐい、むぐむぐ……
二口で口腔内に収められ、牙の隙間に転がされ落とされる。
そして、無数の鋭牙が肉を甘噛み始める。
唾液と絡められながら、体に牙が食い込む。
「あっ、ちょっ、ご、ごめ……」
「このまま、胃袋に監禁してやる」
舌先が僕を掬い、喉に放り込む。
「喰われる様を感じるが良い♪」
ごくんっ!
ガレイドの喉を盛大に鳴らし、つまみである僕が
食道に送り出された。
いつの間にか鏡世。
張り巡らされた鏡壁に食道を下っていく様が映し出される。
(うぅ……また、食べられた)
まだ程度は酷くはないが、かなり唾液にまみれていた。
蠢く肉壁が僕に唾液を塗り込み、揉み潰している。
蠕動運動で胃袋に向かって送られている。
ずぶっ、ずぶっ……ぐしぐし……どぷっ
揉む続けられる事、数分。
ようやく、噴門を押し開き胃袋へと幽閉される。
まだ胃液は無く、生気を溶かされる事はないようだ。
「くくっ、腹が重いな♪」
「僕を丸呑みにしたからでしょ!」
鏡の僕を見下し、舌舐めずりする。
ここに入ってしまった以上は、ガレイドに委ねるしか無い。
なんだか、良い感じにお酒が廻って眠気を催し始める。
ごくっ、ごくん
あれ、喉が鳴ってる……?
ばしゃっ!
「ぅん!?」
頭上、寝転がっていた為に顔面と言っても過言ではない。
そこに液体が降り注いだ。
さらさらしており、唾液でないことはすぐに分かった。
「げほげほ……さ、酒っ!?」
仄かな芳香。これはさっきまで飲んでいた酒……
「酒を浴びる様に飲む……ま、飲んでないがな♪」
「く……くそっ……」
そして、その隙に胃液が分泌されていたようで
生気が融解、半端ない眠気に襲われる。
そのままお酒の混じった胃液の中に伏してしまった。
「そーだ、そーだ。お前を酒で浄化してやろう♪」
何を思いついたのかガレイドが突如、胃袋を揺らし始めた。
酒胃液がコポコポと音を立て、波打ち始める。
僕はそれに巻き込まれる様に選択されていく。
次第に程度が増していき、円形に動き始め
粘液は慣性に従って、渦の動きをし始めた。
「っあ……んぶ……げほっ」
「胃袋洗濯……何てな♪」
お酒が洗剤。僕が洗濯物。
胃袋と言う密閉空間で、僕はガレイドに洗濯されていた。
「今回は私の勝ちだ♪ 骨の髄まで綺麗にしてやる♪」
<2012/03/28 12:25 セイル>
▼作者専用
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