[1]
TOP [2]
感想
[3]
RSS
狼と狐のち日常
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37
38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55
− 『い、胃袋は嫌だ……(桜の五光を出す)』 −
(よし……やってやる!)
僕は意を決して、桜の五光を場に出す。
「ほぇ? 主が持っておったのか」
「そうだよ」
「ふふ、儂に喰われるお膳立てをしてくれるんじゃな?」
その時ピクリ、と椛の手札が一枚動いた。
まさか、桜の札さえも持っているのだろうか?
「おっと、儂とした事が♪」
ゆっくりと手札を尾で隠す椛。
確信犯め……絶対にわざとだろう。
「儂に免じて、それを戻しても良いぞ♪」
なんと言われようとも止めない。
あの様子では、出さなくても牡丹の札でトドメを刺されるだろう。
そして、運命の一枚。
山札に手をかける……
「無駄じゃぞ♪ 儂のおやつになるのじゃ♪」
山札を一枚返す……
ー桜のカスー
「やっ……たぁぁぁぁっ!」
「なんと……儂の負けかえ」
これで桜の五光は僕の下へ。
菊の杯x桜の五光で役ー花見酒が出来上がり
この勝負は僕の勝ちとなる。
「’こいこい’はせぬか?」
「しないよ〜」
嫌みをこめて、言葉を返してやる。
椛は短く息をはき、手札を投げ捨てた。
その中には……
牡丹、桜、薄の五光が混じっていた。
確実に山札から引かなければ敗色濃厚。
胃袋監禁の未来が待っていただろう。
「あ、今夜は僕の布団だからね?」
「はいはい、分かっておる」
面倒くさそうな椛の溜息。
……たまにはいいよね?
<2012/04/01 21:44 セイル>
▼作者専用
--------------------
[1]
TOP [2]
感想
[3]
RSS