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狼と狐のち日常
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「菫……大丈夫?」
今思えば、昨日の時点で菫の様子がおかしい事は容易に悟れた筈だ。
本人が大丈夫だと言い張るものだから、そう追求はしたくなかったが
こうも、寝込まれては疑ってしまうのも無理は無いだろう。
昨日は、空元気だったのか……
「……済まぬ……東雲」
「ううん、大丈夫だよ。他のみんなはフラウに任せてるから」
時刻は12時。もうじき昼食か。
菫はこの調子だ。何かを食べたいと言う心は湧かないだろう。
だが、何か元気のでるようなものを食べさせておくのが良いだろう。
「何か……食べたいものはある?」
しかし、菫は首を横に弱々しく振った。
部屋は静かだった。
体調を崩した菫を僕の自室に運び込み、ベッドのシーツを床に引き
その上に菫に横になってもらい、体には掛け布団を掛けてやっている。
運び込んでから、フラウ以外は部屋にはいってくるなと釘を刺し
菫に尽きっきりだった。
体調が悪いと言っても、下痢や出血等は見られない。
ただ、元気が無い様だった。
本人も体が怠い、少し熱っぽい等と言っている。
「そろそろ昼食じゃろうに……儂は大丈夫じゃ、食べてくるが良いて……」
「ダメだよ。今日は菫と一緒に居るよ」
未だに元気の無い菫を労る様に、頭を撫ぜる。
すると、少し心地良さそうに’クゥ〜ン’と声を上げた。
「浮気……はして無いけど、ごめんね……」
’浮気’ は決してしてないけれど、もしかして菫はそのことを気に掛けてしまっているのかもしれない。
だから、僕は菫にやんわりと謝っておく。
「……分かっておる。少し、からかっておっただけじゃ……」
声の調子は変わらないまま、菫は言葉を零す。
そして、僕に優しく凭れてくる。
「のぅ……海羅」
「ん? あっ、え?」
今、海羅って呼ばれたような気がした。
基本的に下の名前で呼ばれた事は少ない。
まして、異世界の獣達は僕を ’海羅’ と読んだ事はまず無い。
「主のこと……海羅で呼んで……良いか?」
感情の起伏が無いまま、菫は目を閉じている。
さらっと言った様に感じられた。
「少し……恥ずかしいけど、良いよ」
僕は少し、頬を紅くして答えた。
日が落ちる頃にようやく、菫の容態は安定した。
それでもまだ、調子はよろしくなく、看病してやるほうが良いかもしれない。
……どうしようか。
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the Choices 7
・いや、菫の看病をしよう。
gt;
gt; R-3
・一応、皆に報告しておこうか
gt;
gt; 43
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<2012/04/30 23:54 セイル>
▼作者専用
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