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狼と狐のち日常
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みの扉。
それが、今開かれた。
中央の赤絨毯を挟んで左右に衛兵のエリートが4人ずつ、計8人が配備され
赤絨毯の先、重圧を感じさせる玉座に座する国王。
「東雲 海羅。自ら捕まりに捕まりに来たのか?」
「いえ、国王にお願いがありまして……」
片膝を着き、頭を垂れる。僕の後にフラウも続く。
「私の罪状に対する手配を解いて頂きたいのですが」
国王は態度を急変させた。
がたっ、と荒々しく玉座を立ち、それに合わせエリートらも剣を構える。
「ふざけるな! お前は我の命を狙っているのだろうが!」
「いえ、それは誤解です。獣達を武器にするつもりはありません」
憤怒の表情を貼付けたまま、声さえも荒げる国王。
それを見上げる事無く僕は弁解を述べる。
「出兵させた兵は全員殺したのだろうが! 獣達を使って!」
「それは正当防衛です。国王も根拠も証拠も無い虚実に兵を出したまでです」
兵に対する殺人を蔑ろにするつもりは無いが
今はあくまで菫達の誤解を解く事に専念する。
僕がそう淡々と応答すると、両手に拳を作り顔を震わせ始めた。
「そんなのは知らん!! 誤解を解きたいなら、保証を見せてみろ!」
その言葉に僕は口角を弛ませた。
そして、フラウに目配りを行う。
流石はフラウか。それだけで僕の思案を読み取ってくれたようだ。
刀が鞘から刀身を除かせ。フラウが……離れた。
僕には分かっても、エリートや国王には見えないだろう。
迅速過ぎてその場にいるかの様ー
僕は静かに立ち上がる。
コッ……チン。
鞘が地面で一回跳ね、それは再びフラウの腰に還った。
「!?」
ほぼ同時にエリート達の刀身が地面へと崩れ落ちた。
「もし、獣達が国王を狙うのなら、この者が討伐します」
困惑するエリート達。国王も戸惑いを隠せず、フラウが行った事にも気付いていない。
「現状はこの者が行いました。それと……もう一つ」
僕の示唆で国王はフラウの技量に気付いた。
しかし、エリートらは未だに困惑の渦中。
まともな対応が出来るのは国王のみ。
「もし、ここが攻められることになれば……私らも参戦させて頂きます。どうですか? 悪い話ではないかと」
「うむぅ……分かった」
数十秒もの間唸り続けた国王はすんなりと了承した。
国王がエリート達を鎮め、今の会話内容を伝達する。
「では、これで」
僕は密かに安堵の息を漏らしながら、王の間を去った。
そして、もう一つ……未来の示唆なのだろうか?
シリスの言葉。
ー自ら戦いに身を投じるような真似をしなければなー
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←<2012/05/25 21:33 セイル>
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