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狼と狐のち日常
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「はぁ〜、今日は疲れたなぁ……」
夕食を済ませ、休憩がてらに庭で夜風に当たる。
心地よい風が今日の疲れを幾分か癒してくれる。
今日はフラウには早く休んでもらった。
いつもは翌日の仕込みや掃除等、事細かな家事を夜までこなしている。
流石に連日させてしまうのはこちらの気が退けてしまうので
時々、こうして体を休めて貰っている。
休んでいいよ、と言う旨を伝えるとフラウは
’お気持ちに甘えさせて頂きます’って
ちょっと嬉しそうな表情で丁寧にお辞儀までしてくれる。
なんだか、こっちも嬉しくなっちゃうな。
「何をにやにやしておる、全く」
「あ、菫……」
ちょっとした回想に浸る僕に野次が飛ぶ。
気配も音もなく菫は僕の隣に腰を降ろす。
そうして僕がその名を呼ぶと僅かに顔を顰める。
「あまりその名を呼ぶなと言っておろう?」
「えぇ〜、黒狼ってなんか言いにくいよ、’さん’つけると言い易いけど、’さん’はなぁ……」
「……面倒な奴じゃな」
小さく溜息をつき、菫が口を尖らせる。
でも、一回瞬くとふっ、と緩む。
「しかし、迷惑をかけておるのは儂らじゃしな……主の我儘ぐらい我慢じゃな」
先程までの表情が演技ではないかと思える程に
屈託のない笑みを浮かべる菫。
’え……あ……’と思わず言葉を詰まらせてしまう。
菫の口角が牙を覗かせる程に釣り上げられると
僕は長い息を吐き出した。
「一本取られちゃったな」
「主が気を抜き過ぎじゃ、可愛い奴じゃのぅ」
表情を緩ませ、僕は菫にもたれ掛かる。
面倒くさそうに溜息を漏らしながらも
菫は僕を前脚で掻き寄せ、優しく抱き締めてくれた。
■作者メッセージ
さてさて、日常をお送りしておりますが……
一度の投稿での長さは如何でしょうか?
1 長い
2 普通
3 短い
ご意見どうぞ♪
<2012/03/16 17:32 セイル>
▼作者専用
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