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後ろの正面だあれ
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月明かりに照らされる中、カイオーガは重い瞼を開き、むくりと起き上がった。いつの間にやらベッドへと寝かせられており、隣にはツタージャが、手に薬を持ってスースーと寝息を立てていた。
「…看病…してくれてたのかな?」
カイオーガは自分のきていた毛布をそっと彼女に被せ、物音を立てずにヒョイとベッドから飛び降りた。
「…兄さん?起きたんですか?」
暗闇から亡霊のようにヌッとラティオスが現れる。勘違いしたのかカイオーガは絶叫しかけてしまい、あたふたと自分の口を押さえていた。
「…なにやってるんです?」
「エヘ…ちょっと間違えちゃって…何でここが分かったの?」
そう思うのは当然だ。ここは恐らくツタージャのロッジ…ラティオスがその場所を知っているはずがない…
「彼女が起きたらお礼言ってあげてくださいね…倒れたのをわざわざ知らせてくれた上にずっと看ててくれたんですから。」
「うん……あ、レムリアと氷竜は?」
二人にはもう二人一緒に来ている仲間がいる。レムリアと氷竜…どちらもドラゴンの貴重種で、発見が難しい。どちらともたまたま出会っただけなのだが…
「さあ?あなたを運ぶのを手伝ってもらってからはどこかへ出かけたようで…その辺りでバンギラスでも狩ってると思いますよ。」
「ならいいや…これからどうする?」
「まっすぐ私達のロッジに帰る…と言いたいところですが…生憎彼女にもう少しいて欲しいといわれましてね。今夜はここで寝るとしませんか?」
ラティオスは自分の寝室へ戻ろうと、ドアノブへと手をかけた。しかしその肩を、困惑した様子でカイオーガが掴んだ。
「待ってよ…運んでくれたの?ボクの事…」
「正確には私達がですけどね…はい。」
「そっか…ありがと♪」
ラティオスは「どういたしまして」の意味合いを込めてニヤリと笑い、静かにその部屋を後にした。
「うーん…二度寝は嫌いだけど…」
カイオーガはツタージャを潰さないよう慎重にベッドへと潜りこみ、1分しない間に死んだように眠りこけた。
〜別寝室〜
「はぁ……」
ラティオスはドアへともたれかかり、疲れたような表情を浮かべていた。月光が紅い左目を鈍く輝かせる中、何故か彼が1m先のベッドへ戻ることはなかった。
〜翌朝〜
ピキッ…パキパキ…
「んひゃあ…!!冷たいっ!」
カイオーガは飛び上がり、凍り漬けになった自分のヒレをバタバタと振る。そんな様子をすぐ横で、笑いを抑えて見ている竜がいた。
「氷竜…もうちょっと優しく起こしてくれないかな?」
「水タイプのお前にはこれぐらいが丁度いいだろう?とっとと起きろ。」
ダイレクトな無愛想さに呆れるカイオーガを無視し、氷竜はスタスタとリビングへと戻っていった。彼が歩いた部分だけ、ペキペキと凍りついている。
〜リビング〜
「あっ…起きたんだ。」
「意外と元気じゃない…?寝れば治るとはよく言ったものね。」
テトテトと朝食を作っているツタージャ…朝のホットココア片手にくつろいでいるレムリア…コーヒー&本で朝を楽しむラティオスの姿があった。氷竜は「普通」の朝食はお気に召さないらしく、森の中へと出ていったばかりだった。
「ツター…ジャ?昨日はありがとね♪いろいろ看てくれて…」
夜中に何か食べたのか、レムリアの怪しく膨らんだお腹の横を素通りし、カイオーガはペコリと頭を下げる。
「と、とんでもないわ…命の恩人にはあれぐらい…」
ツタージャは食器の影に顔を隠しながら、ボソボソと呟くような声でいった。最
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