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後ろの正面だあれ
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ぐぽぉ・・ふぐぅ・・・ごぷぉ・・
ツタージャのぽっこり膨らんだお腹から聞こえる、胃壁と粘液が混じり合う奇怪な音。くぐもった鳴き声も無視して、ツタージャはスリスリと満足そうに腹を撫でていた・・
そしてどうしようもないのはカイオーガだ。手慣れた捕食芸を見せつけられ、直に飛び出せば怪しまれる・・・それにいくらカイオーガでも、看病してくれた相手を襲う気はおきない。
そうして悩んでいる内に、ツタージャはゆっくりとロッジの方向・・・つまりカイオーガのいる草むらに向かって歩いてきた。
「(うわわっ・・まずいっ!)」
「・・・?」
気が動転し、冷静な判断を失ってしまったカイオーガ。ガサガサと揺れ動く草むらを前に、ツタージャは不審そうな顔を浮かべた。
「・・だれか・・いるの?」
ツタージャは草の刃を作り出し、慎重にその中をまさぐる。小さな彼女の手に触れたのは・・・
枯れた木の葉だった。
「オタチでもいたの・・?」
ツタージャは心配して損したとでもいうように張り付いた木の葉を振り払い、草をかき分けて進んでいった。
「ふぅ〜・・危なかったぁー・・」
再びガサガサと草が揺れる。するとその中から出てきたのは、体を数cmに縮めたカイオーガだった。一瞬で小さくなり、ツタージャのまさぐる手を避けたという訳だ。
「見つかったら・・嫌われちゃうね、ボク。」
やれやれと空を見上げる。しかし恐ろしいことに、上には何とも巨大なツタージャが無表情で立ち尽くしていた。
「(え・・・見つかっちゃった?)」
「ここでなに・・やってるの?」
可愛らしい少女の声・・しかし彼女の目には、見られたのかという不安感と、見たのかという微かな怒りが映っていた。
いきなり食いかかられる可能性も考え、カイオーガはすぐに体を元の大きさに戻す。しかし1:50の大きさになったとしても、ツタージャは恐怖感だけは見せなかった。
「すごいや・・今までバレたことなんか無かったのに。」
「・・・見てたんですか。全部・・」
嘘をつくのは賢明とはいえないだろう。
「・・うん・・何もおかしいだなんて思ってないよ?」
「・・いいの無理しなくて。どうせ・・」
ツタージャは悲観的にうつむき、目をゴシゴシと擦った。
「わたし・・仲間と違うから・・みんな木の実食べてるのにわたしだけ食べられない。今まで人前で食事したことなんて無かったわ。みんな『変』を嫌うから・・いつのまにか一人になってたの。」
カイオーガは陰湿さを極めるその話を、押し黙って聞いていた。ほんの少し、共通点があったからかもしれない。
「食性の違い・・訴えてもみんな無視したわ。肉食だのなんだのって友達も消えて・・」
小刻みにツタージャの手先が震えだす。自嘲しか込められていなかった回想に、自分自身苦しんでいるように見えた。
「・・ごめん、変なはなし聞かせちゃって・・先かえるね。」
ツタージャは急いでその場を去ろうとしたが、数十倍はある手に引っ張り戻された。
「な・・なに。」
「仲間がいないならボクがなる・・だから泣くの・・やめて?」
悲しみに打ちしがれていたツタージャには、最初なにを言われたのか理解できなかった。
「どうして・・?」
「ボクだってつまはじきものだったよ・・伝説のポケモンには誰も近づいてくれなかった。でも昔ね?森一番のいじめっこから助けてあげたら・・どんどん友達になってくれたんだ。」
「だって・・強いんでしょ?」
「きっかけはみんな同じじゃないよ。
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