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後ろの正面だあれ
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泣き止んだツタージャを抱え、カイオーガはロッジのドアを開ける。そこには…
「ふーっ…食った食った…やっぱり朝昼晩これじゃねえとな。」
たんまり膨らんだ腹を抱えて寝転がる氷竜…まだ外から帰ってきたばかりなのか、口からはデンリュウと思しき尻尾がはみ出ていた。ラティオスはさっきと寸分変わらない姿勢で本を読み耽っている。
「兄さんおかえりなさい…」
「ラティオスその本好きだね〜♪いつも読んでない?」
「名作は何度読んでも面白いんですよ。兄さんもたまには読んだらどうです?」
「外で遊んだほうがいいと思うけどなぁー…楽しいしね♪」
カイオーガはツタージャを下ろし、べたーっと床に倒れ込んだ。どこから見ても打ち上げられた魚だ。
「ん…そうだ!!ごはん終わったし散歩でもいこうよ。」
「俺は構わないぞ…さっき行ってきたばっかりだが…」
「氷竜は行きなさいよ…あなたがいるとこの部屋寒いわ。足元凍ってるじゃない。」
レムリアが追い出すように手を振る。確かに氷竜の半径およそ1mは小さなスケートリンクのようになっており、更にその巨体によって床がミシミシと唸っていた。
「俺はお邪魔か……フン、同じぐらい場所取ってるお前に言われる筋合いはないぞ。」
「も〜喧嘩はだめだよ二人とも…いいからラティオスも行こっ?本ばっかりだと健康的じゃないしね。」
ラティオスは浅く溜め息をつくと、静かに本を閉じた。最初はむっとしたのかカイオーガを睨んだものの、すぐにそれは苦笑いに変わった。
「分かりましたよ…いい森ですしね。」
「そうと決まれば早く行きましょう…?よく考えればもうお昼よ。」
レムリアもカイオーガも床から跳ねおき、さっさとドアを開ける。しかしカイオーガが出ようとしたその時、ツタージャが彼の体をつついた。
「あの…わたしも…行っていいの?」
「…エヘヘ…とーぜん。」
恥ずかしがる「友達」を見て、カイオーガは彼女をヒョイと掴み上げる。ツタージャはいきなり何されるのかと怯えたが、そのままチョコンと頭の上に乗せられると、フッと笑みをこぼした。
「…ありがとう。」
「どういたしまして♪ラティオスまだぁ〜?」
「慌てる必要ないじゃないですか…ほら準備できましたよ。」
一行(5匹)はロッジを後にした。10分もしない間に…
そよ風が吹き抜け、日光が葉の間を通って照りつける散歩道へ入った。
<2011/05/15 15:44 ロンギヌス>
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