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しゃわでー ないと ふぃーばー ヒャッッホォォォオオォオイ!!
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− 文通 そして −
サラサラという小川のせせらぐ音が 絶え間なく聞こえる。
草原を背に 仰向けで空を見て寝ていると、自分に翼が生えて
まるで空を羽ばたいているような、そんな気分になれる。
これほど気持ちがよくて、嫌なことも全部忘れられることなど他にない。
でも僕には、僕にだけの楽しみが もう一つここにある。
誰にも言えない、家族にさえ秘密にしているお楽しみがこの草原に。
この小川から 緩やかな丘をのぼっていったてっぺんに、
大きな大きな巨樹がある。
お母さんの話だと、少なくとも何百年、
ひょっとすると千年以上もの歴史がある大木だそうだ。
その長生きの秘訣は、天候にある。
この草原一帯は とても不思議な天候をしているらしく、
一日に一回、夜中に必ず少しの間 雨が降る。
そのほどよい雨が、巨木の丁度いい栄養となっているわけだ。
おかげで巨木は未だピチッピチのツルッツル。
あ、そうだった、
そのもう一つの楽しみっていうのが、
そのツルツルな巨木の幹に書いてあるはずの……。
「あ、あったあった!」
白いチョークで書かれた素朴な文字。
僕は それをいち早く確認するために駆け寄る。
「え〜っと……、
『ぼ>も おなたに あいたいです。
こんなにも つごおが わろいと、
かみきまの いたずらの よおですれ』だって。」
自分で読んでおいて忍び笑いしだす。
少なくとも僕よりは字が上手いけど 間違いだらけ。
でも別に、その間違いが可笑しいとか、そういうのじゃなくて、
彼とこうして話せる。それだけのことが ただ嬉しくて、笑い出した。
そう、僕はここで文通をしている。
相手の顔や姿なんかは まだ全然知らない。
というのも訳があって、事の始まりは1ヶ月ほど遡る……。
※ ※
※ ※
その日も僕は、この草原に足を運んで寛いでいた。
小川のそばに寝転んで、空を眺めて。鼻歌なんか歌いながら。
でもいつものことながら、
楽しいひと時はすぐに終わってしまうものだ。
僕は お昼から、森に行って木の実を採ったり、
川に行って魚を獲ったりしてこなくてはならない。
もちろん生活のために。
だから僕の自由な時間は、お昼前の ほんのわずかな合い間だけ。
その自由な時間に、この草原で寛いでいるというわけ。
ふと目をあけると、お日様が空の真上にきていた。
もうお昼だ。
僕は 最後の享楽にと、
両手を上に持ち上げて、グ〜ッと背伸びをした。
できる限り体を伸ばそうと 上を向いた瞬間、あの巨木が目に入った。
「それにしても大きな木だよねぇ……」
気付くと僕は、立ち上がって その木に向かって駆けだしていた。
何かに吸い寄せられるように。そんな言葉がよく合う行動だったと思う。
近くに寄っていって、しばらく上を眺めた。
木の葉の隙間から漏れる太陽の日差しはキラキラと光って とっても綺麗だった。
流れる時間を忘れて ずっと眺めていたい。そんな気分になれるほど。
木の枝の一本から離れ落ちた木の葉が、
ヒラヒラと不規則な動きで僕の方へと向かってくる。
それがピタリと僕の額に貼りついたとき、
ハッと我に返って ブルンブルンと首を振った。
木の葉は僕の顔から離れ、風に乗ってどこかへと飛んでいった。
ふと前を向いたとき、
巨木の幹に白い字で書かれた何かが目に入った。
よく見ると、それはチョークによって記されているものだった。
『もJも これお みていたら
よろJければ ぼ>と おともださに なってくだきい』
間違いだらけ。
始めは、だれかのイタズラか なにかだと思った。
でもこんなとこ
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