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守る物
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…ゴクッ!!
小気味よい燕下の音が鳴り響いた。
「あぁ…。ライムくん…。」
「うるせぇなティア…。そこまでこの小僧に固執する理由がないだろ?」
「……。」
「まぁいい。どうだ?ウル。目の前で守ろうとしていた奴が喰われる一部始終を見届けるのは?…ん?何も言えねぇか。…そうか、お前あの時のことを思い出したか。クククッ。」
実を言うとウルは一度、幼い頃にリンドに喰われている。運良く助かったものの、普通ならとっくにリンドの血肉と化しているのだ。
「……また、僕を食べる気か。」
「ふっ。よく分かったな。そうだ。すべてはお前を喰うため。何年も前に一回腹に入れただけでこの魔力だ。なら、俺が消化してやれば最強の魔力が手に入るだろ?」
「……ライムやアルトは」
「…はっ?」
「ライムとアルトは関係ないだろ!」
「それはただのお前をおびきよせるためのエサだよ。まぁ、俺の腹も満足させてくれたし本当の意味でもエサだな。ククク。」
「…!そんなことで…」
「長話もその辺にして、メインディッシュをいただくとするかな。」
「…や、やめろ…!」
リンドは大きな口をガバァッと開けた。牙と牙との間には何本もの糸がひいている。
〜いただきます。〜
僕は思わず顔を背けてしまった。漂ってくる口臭に耐えられなかったのもある。しかし、それ以上に幼いときに放りこまれたあの地獄への入り口を見たくなかったのかもしれない。
{………。…?喰われない?}
不思議に思いゆっくりと正面を向いた。
そこには、リンドとの間に割って入るテイアの姿があった。
「……何の真似だ、ティア。そこをどけ。」
「どきません。ライム君を吐き出してくれるまでは。」
「お前も往生際が悪いな。よし、お前がそこまでいうなら…」
「本当!?」
「この小僧達はさっさと消化してしまおうな。それで未練も無くなるだろう。」
「……!いやっ!やめて!」
……ゴポッ…ゴポポ…
「これでこいつらの命はもって1時間だな。」
「なんてことを…。…こうなったら…!」
ティアが僕の方を向いた。
「……え?僕?ってええ!?」
ティアはしっかりと僕の服の裾をくわえると、
バサッ!!
一気に大空へと飛び立った。
「…うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「あはへはいへ!おひふはお!(暴れないで!落ちるわよ!)」
****
一方リンドはその場から一歩も動けずにいた。
なぜかというとティアが、飛び立つ際に電撃を放ったからだ。
「動けるようになるまであと10分といったところか…。まぁどこに逃げようと一緒だ。ここら一帯は知り尽くしている。…それに、こっちには人質がいるからな。」
〜ライム、アルト消化完了まであと55分〜
<2012/11/14 19:49 ピヨ助>
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