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守る物
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**数分後**
「ちっ!まだ動けねえか…。」
そう言うと彼は不機嫌そうな顔をした。
彼は森竜のリンド。魔法の能力も極めて高く、身体能力も竜の中ではトップクラスだ。だが今は雷竜ティアの電撃により一歩も動くことが出来なくなっている。
彼の腹はぽっこりと膨らんでいる。それもそのはず、リンドはさっき食事を済ませたのだから…否、彼にとっては前菜を食べたに相違ない。彼にとってのメインデイッシュは他でもない、まだ子供の守り神なのだから…。
ぽこっ……ぽこここっ…
リンドの腹から音がなった。
「ん?暴れ始めたか…。生きながら溶かされるってどんな気分だろうなぁ?…俺には無縁のことだがな。」
****
「くっ…。やめて…。」
リンドの胃の中では、狼の獣人の子供が苦しんでいた。
それもそのはず、胃壁からは次々と食べた物を溶かす液体、胃液が分泌されていたのだから。
「うわっ!!」
びしゃーーーーーん!
柔らかい胃袋の上でバランスを取ることは困難だったようで盛大にライムは胃壁に倒れかかった。
ジューーー…
「痛っ!」
反射的についた手のひらから激痛が伝わる。
手のひらを見ると血がにじみ出ていた。
「え!?溶けてる?…やだ…。ここで死ぬなんて絶対にいやだ…。ねぇ、アルト…どこなの?返事してよ…。」
しかし、静寂が続きただ胃が哀れな獲物に向かって活動をする音だけが聞こえていた。
****
「お?痺れが取れてきたな…。これであいつらを探しに行ける。…が俺自らが手をこまねくような相手じゃねえな。…よし!あれを久々に使うか。」
そう言うとリンドは大きな魔法陣を書きあげた。そしてその真ん中に立つと、
「我が森の親愛なるしもべ達よ。我汝に生命を与えん。」
と詠唱した。すると、地面がみるみるうちに盛り上がり、木でつくられた竜が2体出現した。
「はぁ…この魔法はさすがに疲れるな。おい、お前らウルをひっとらえてこい。殺さなければ何をしてもかまわん。あと、一緒にいる竜は…始末しろ。分かったな?」
「グルルルルルルルル。」
「ならばさっさと行け。」
バサッ!!!
2体の竜は同時に飛びたった。
「クククッ。俺も準備をしておくかな…。」
****
その頃ウル&テイア
「はぁ…ここまで来れば時間は稼げそうね…。」
「…で?何か策はあるの?」
「ある訳ないじゃない。その場のノリよ。」
「お前、どうしてリンドを裏切ったんだ?危険な目にあうかもしれないのに。」
「別にあんたを助けよいとしたわけじゃないわよ?…ライム君を取り返したいだけよ。リンドがあんたを食べたらさらにパワーアップしちゃって手がつけられなくなるじゃない。」
「どうしてそこまでライムのことを気にかけるんだ?」
「だって、いままで食べてきた獲物の中で一番美味しくて一番かわいかったんだもん。」
「…なんだその理由、ライムはお前になんかもう喰わせないからな。守るって決めたから。」
「ふふっ♪じゃあ守ってごらんなさい♪…まぁリンドから奪いかえせたらの話だけど。」
「ああ、そうだね。」
次の瞬間。
「ぐるるるるるるるる!」
2体の竜に挟みうちにされてしまった。
「…!この竜はリンドの魔法…!…2体いたら埒があかない!逃げるわよ!」
ティアはすぐさま飛ぼうとして翼を開いた。…しかし、
「グルルルル!ガァァァァ!!!」
2体同時のブレスがティアの翼膜にヒットした。翼膜というのはあまり強く出来ておらず簡単に破けてしまった。
「……しまった!!」
「グルルッ!!」
続け様に竜はティアの下へ向かい喉笛を噛み千切ろうと
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