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出会ったもの
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「こんな所で何をしている?」
泣きそうになってる彼女に声をかけたのは一人の女性。
髪は金色、目は紅く漆黒のローブを身に纏っている。
その容姿から妖しい雰囲気が漂っているが、少女は正直に道に迷った事を告げた。
少しずつ経過していく時間が更に少女を煽り、涙目にさせる。
「ほう、この森は普通のと違うから常に警戒しておかないと危ないぞ?
気を抜けばお前みたいな可愛い娘を喰らう魔物が襲ってくるからな」
不安がる少女に追い討ちをかける女性。
今の話で恐怖も感じ戦慄してしまう。
一刻も早く抜け出したいが、出口が分からない。
逃げ場の無い彼女はついにポロポロと涙を流し始めた。
女性はその様子を見て、目を細める。
「そう泣くな
誰も出口を知らないなんて言ってないだろ?」
そう言うと女は泣きじゃくる少女を軽く抱き締めた。
右手で頭を撫で、左手で少女を自分に密着させる。
優しい抱擁とその言葉に彼女も泣き止み始めた。
出口を知っていると言った女は、ここが自分の庭みたいなものだとも言う。
それを聞いて少女の不安が和らいでいく。
よほど怖かったのか、自分からも女へと抱き着いた。
すると女がまた笑い、頭を撫でていた手が止めた。
「けど、出口を教える必要は無いだろ?」
また少女に不安が押し寄せる。
この女性が味方なのか敵なのかと混乱までしてくる有り様だ。
頭の中が真っ白に塗り替えられながらも、少女は何故なのかと理由を問う。
すると彼女を抱く女性の手にグッと力が込められた。
「ここで死ぬ奴に教えても無駄だから」
「死って…え!?」
いよいよパニックに陥る。
言葉が見つからず、譫言のような言葉を漏らすのみ。
不適な笑みを浮かべながら、女は続ける。
「言っただろ?お前を喰らう魔物がいると…」
そこで少女はようやく理解した。
魔物はすぐ近くにいたのだと。
けれど気づいた時はもう遅かった。
女は少女の頬をペロリと舐め、耳元で囁くように言った。
「ようこそ、人喰い魔女の森へ」
彼女がこの森の魔物の正体。
人喰い魔女トレゾアだ。
分岐
@「!?は、離してよ!この…ババァ!!」
→そのままどうぞ
A「や、やだ!助けて!!」
→少々お待ちくださいm(__)m
「ババァ…?」
恐怖のあまり怒りを露にした少女の必死の抵抗。
しかし、ジタバタと足掻いても力は弱い。
更に拘束から抜け出すどころか、踏んではいけない地雷を彼女は踏んだ。
不適な笑みを浮かべていたトレゾアの表情が一変する。
「自分の立場が分かっていないようだな
なら教えてやろう…!!」
少女を拘束していた両手が離れると、眩(まばゆ)い光が辺りを覆う。
体が軽くなった瞬間に彼女はすぐに逃げようとした。
けれど、その試みは数秒も経たない内に終わった。
彼女の体に重い衝撃が走る。
同時に地面に押さえ込まれ、身動きがとれなくなってしまう。
彼女の背中の上には人間の手は置かれていない。
獣の巨大な前肢が置かれていたのだ。
そこから飛び出す爪が彼女の体に食い込む。
トレゾアは魔女の姿から金色の狼へと変身したらしい。
その巨躯は少女の何十倍にも及ぶ。
彼女の顔の近くで金狼が、じゅるりっと舌なめずりをする。
「い゛っ…あっ…あぁぁ……」
体全体に走る鈍い痛みが左腕へと移動する。
その痛みに彼女は足をバタバタと動かす。
だが、金狼のもう片方の足が黙らせるように少女の足にのし掛かった。
そこからゆっくりと、じわじわと力を加えていくトレゾア。
苦しむ少女の様子を見て、目を細めていた。
呻き声が
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