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01 02 03
「では、ハルさん参りましょうか。」
「う、うん…。」
僕はレルゴに手を引かれて、Aと書いてある部屋に入った。正直不安しかない。
部屋に入るとまた幾つもの扉があった。ホテルみたいな感じだ。
「ふふ♪驚いてますね。ここはあなた達を収容、管理する施設です。Aランクの方は個室ですよ。あなたにはここで1年間過ごしてもらい、美味しk…いや、なんでもありません、健康的に育ってもらいます。食事と運動はしっかりやってもらいますが、それ以外はほぼ自由にしててもらってかまいません。でも、ルールに逆らったり逃げ出そうとしたりすると…。」
「ど、どうなるの…?」
僕はゴクリとなまつばを飲んだ。
「Aランクの名にふさわしくなくなってしまうので、Bランクに落とす…なんてことはしません。あ!ちょうど1か月間運動を怠けたり、昨日脱走を試みた者がいるんで連れてきますね♪」
少し不気味な笑みを浮かべると、A661と書かれた部屋に入っていった。
そしてすぐに右手に何かを持って出てきた。
人間のようだが少し違う。どうやら獣人と言われる種族のようだ。手足は縛られている。見た目は僕より幼い。
「ところでハルさん、僕がなんでAランクの責任者か分かりますか?」
「い、いや?」
「それはですね。舌が肥えてるからです。昔はかなりの人喰いでしてね。何千人、何万人もの人を食べてきました。でも、そうなると討伐対象になっちゃうんですよ…。僕が討伐されかけていたところをナーサさんに救っていただいたんです。ナーサさんは、こんな僕を必要としてくれました。僕の味覚を。だからこうして一番繊細なAランクを担当してる訳です。」
「長話はいいから早く僕を部屋に戻せ!!」
獣人の子供が放った言葉を気にも止めず、話を続けた。
「だからこうして味の落ちた者を間引くんですよ…♪」
子供を頭の上に持っていき、大きな口を開けて上を向いた。
{まさか…!?}
「いただきます。」
パッと手を話した。重力に従い子供が落下する。
そして…
バクッ!
「や…めっ…許…して…わるか…ったも…うし…な…」
くぐもった声だけが聞こえてくる。
ゴクリ♪
小気味のいい音とともに膨らみがゆっくりと喉を下っていく。
「ふぅ…♪許すわけないじゃないですか。ゲプッ おっと失礼。ハルさんもこうならないよう注意してくださいね♪まぁ私はかまいませんが…。」
「は、はい…。」
あんな光景を見せられた後に逆らえる訳がない。まだお腹がうごめいているし…。
「あの…その、その子。後でちゃんと出すんですよね…?」
「はははっ!やだなぁハルさん。そんなの決まってるじゃないですか〜。」
「で、ですよね。その子にも未来が…」
「消化するに決まってるじゃないですか〜。食べた物出すなんてお行気悪いですよ?」
「え…じゃあその子は…」
「胃の中でさようならです♪」
笑顔でとんでもないことを言った。いや、レルゴにとってはこれが普通なんだろう。ただご飯を食べただけ。人なんてよく喋るエサ程度にしか思ってないのだろう。
「じゃあ僕はこの辺で♪あ、部屋はあそこですから。それでは〜」
* * *
それから僕は何事もなく一年を過ごし、一年が経とうとしていた。
タクト兄ちゃんとはあれっきり会っていない。元気かなぁ…。
「ハルさん!おめでとうございます♪今日で丸1年です。」
レルゴが部屋に入ってきた。
「ハルさん。とうとうお別れですね…。美味しそう…じゃなかった、これからハルさんを会場へとお送りします。」
これから僕はどうなってしまうのだ
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