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硝子玉
01 02 03 04
− 大きな存在 −
ガラガラ!...
やかましい程開いたとき音が鳴る教室の扉を少し勢いよく開ける。
「おっはよー」
「「おー、まっつん、おっはよー」」
クラスのメンバーの7割ぐらいはもう集まっているらしく、いろいろな話題で溢れかえっていた。
最近発売されたゲームの話や、ニュース、部活の愚痴、もはやロッカーではしゃいでいる者もいる。
とりあえず自分の席に行き背負っていた10kgはありそうな重い青カバンとエナメルバックをドスンと音が鳴るぐらい叩きつけるように机に置く。
こんなものを毎日背負っていると肩も凝るものだ。
そんなことを感じながら大きなため息をつきながら椅子に座ると、
「まっつん、ほら。」
といきなり後ろからノートがスッと差し出される。ノートの表紙には『国語』と書いてあった。
「なにこれ」
「なにこれって、前んとき寝てたっしょ?だからこれちゃちゃっと写しちゃいなよw」
「え、いいん?まじで。」
「そーじゃなかったらノートなんて出さないっしょw」
昨日寝る前に思ったことがまさか本当に...。
そうそう、この人は数少ない僕の親友で幼馴染の木野長 友人(きのなが ゆうと)だ。
昔のことはよく覚えていないが幼稚園生からこんな感じで人に何気なくヒントや、手を差し伸べていたのだと思う。
「ありがとっす。」
言うが先にノートを開き、綺麗に並んだ文字を自分のノートに汚く変換した文字を書き写し始めた時、
ガラガラ...
僕が開けた時よりも小さい音で入ってきたのは担任だった。
自分の運のなさを呪いながら渋々綺麗なノートと汚いノートの両方をとじた。
「青かばんはもう片付いていますよねー。」
だいたい急かすような言葉が先生の第一声だ。
ほぼ1年間この言葉で通すつもりなのか。いや、だらしがないから言っているだけか...。
クラス編成は30人ぴったりで6組ある。
その中でもこのクラスは落ち着きがなく、いつもはしゃいでいてうるさいクラスと周りの先生に認識されている。
苗字が珍しい者もいて、寿と書いて「としなが」と読んだり、賀と書いて「いわい」と読んだり、
身近な苗字では服部(はっとり)と書くが神服となっていたり...随分と長生きするようなおめでたいような苗字である。
「それでは日直の二人、朝の会をお願いします。」
「「はい」」
二人は朝のせいであまり大きな声ではない返事をした。
「「起立、注目...礼」」
《おはよーございます。》
時は移り行き― p.m.4:12
ガチャリ...
ゆっくりと家のドアが開き、ちょっと汗ばんだ哲が帰ってきた。まだ小3だから帰りが早く、だいたい1番に家に入るのが哲だ。
「ふぃー...春なのに暑いぃー...こんなに着てかなきゃよかったよぉ」
そう言うやいなや黒いランドセルをほおり投げ、ジャンパーをサッと脱ぎ捨てる。
...がそのままというわけにもいかず、フゥとため息をつき、右手にランドセル、左手にジャンパーを持ってリビングに入る。
僕がリビングに入ってまずすることと言えば...
「ポチっとな」
どこかで聞いたことのあるような声で言いながら、ランドセルをテーブルの横に置き、リモコンの電源ボタンを押すことだ。
やっていたのはニュースの小コーナーだった。
[今回は、全国の林実さんにご用心というちょっと奇妙な事件です。]
にこやかな顔で喋るアナウンサー。今さっきまで事件のことを言っていた顔とは大違いである。
[はい。この2日間で林実さんという名前の人ばっかりが、警察沙汰になるという珍事件が発生しました。]
「へぇ。
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