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出会ったもの
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「わぁ、危ない!?」
「え?きゃっ!?」
声がしてすぐに何かが当たり少女は尻餅をついてしまった。
その衝撃で袋を手放し、酒瓶が転がり出る。
いたた……と言いながら起き上がる少女にぶつかったもの。
それに少女は言葉を失った。
竜だったから。
大きさは森の木より少し小さい。
人間から見れば巨大だが、竜にしては小柄だ。
まだ子供らしい。
青い体に白い毛の生えたお腹が特徴的だ。
「ごめん…大丈夫?」
その竜が少女に声をかける。
口調からして優しく、敵意は見えない。
言葉が出ない代わりに少女は首を小さく縦に振った。
怪我が無い事を安心すると竜も良かったと笑う。
「もう!ロイ兄ちゃんのせいだよ!」
頬を膨らませ、空を見上げる子竜。
そこにはもう一匹同じ姿の竜がいた。
ロイと呼ばれたそれが少女の目の前まで降りてくる。
「何で俺が?シンがどんくさいんだよ!
…それでこの子は?」
そう言うとロイがジーっと彼女を見つめる。
シンと呼ばれた子竜と瓜二つの姿。
でもよく見れば、ロイの目は紅くシンは蒼い。
それが唯一この二匹を見分ける事が出来る部分のようだ。
紅い目で見据えられている少女は、まだ怖いようで口を開く事が出来ない。
代わりにシンが説明した。
「さっきぶつかっちゃったんだ…
何してたかは知らないけど、悪い人じゃないと思うよ!」
シンの言葉に少女はただ頭を縦に振る。
そして少し緊張が解れてくると、二匹に御使いをしていたと伝えた。
転がっている酒瓶を拾い集め、袋に入れていく。
「うぇっ!こんなのを飲むの?!」
彼女の背後で二匹も手伝いをしていた。
生まれて初めて見る酒瓶に興味をそそられたのだろう。
蓋を開けて匂いを嗅ぎ、ペロッと少し舐めた。
もちろん子供の口には合わないようで、二匹とも舌を出して不味いと言った。
凶暴なイメージをもっていた彼女は、その仕草に思わずクスッと笑った。
「うぅ……美味しいものが食べたい!」
「そう言えばお腹空いたね」
ペッペッと唾を吐くと、二匹がそう言う。
不味いものを味わった後の口直しがしたいのだろう。
しかし少女は酒以外何も持っていない。
すると、ロイとシンは双子特有の息ピッタリな言い方で一つの案を出した。
「「君を食べても良い?」」
唐突な要求に少女は唖然とした。
子竜と言えども、やはり竜は竜だ。
ニィと笑う度に見える牙に背筋が凍るような思いをする。
あの牙が自分に突き刺されば…。
その考えが、無意識の内に足を動かす。
「待ってよ!ちょっとお腹に入れるだけだから!」
消化は無し。
けれど捕食される事自体への恐怖は消えない。
再び無口になってしまう彼女に二匹が迫る。
絶対安全だからと言われ、何度も聞かせれてる内に少女は仕方ないと諦めた。
乱暴な真似をしない事を条件に、二匹と向き合う。
「「どっちに食べられたい?」」
またも息ピッタリな発言。
どちらも同じような感じ。
食べられる事に関しては何の違いもない。
それ故少女は返答に迷った。
「えっと…えっと……」
「うぅ!遅いから俺が食べる!!」
悩む少女に痺れを切らしたロイが飛びつく。
突然の事に驚く少女。
何か言葉を発する前に、上半身を咥え込まれていた。
バタバタと足を動かすが効果は無い。
狭めの口内でパニックに陥るも、ロイの舌が激しく舐め回す。
顔をベロリと舐め、唾液をたっぷり塗りたくっていく。
上半身に絡み付いた唾液はゆっくりと滴り落ち、少女の飛び出た爪先からポタポタと落ちていった。
酒とは比べ物にならない美味しさに、ロイは無邪気
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