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Re: 吹雪の島 ( No.18 )
日時: 2011/03/15 20:50
名前: ジイア

二人はまた五分くらいかけて洞穴から這い出てこれから行く景色を眺める

とうとう近くに林は途絶え広い雪原が広がっている

「いよいよだねマニューラ・・・・・・♪」

「うん・・・行こうか・・・・・・」
二人は雪原に向かって歩き出した 二人が歩き出してすぐに雪が降り始めた

「マニューラ・・・・・・・・・」

「うん、冷えてきたね・・・寒・・・・・・っていうかお宝目当てに無理なんてしないでよ、ただでさえベイリーフは草タイプなんだから・・・」

「まぁたまたそんなぁ♪せっかく来たんだから何か見つけて帰ろうよ♪」

「そうだね・・・何か見つけれればいいけど・・・・・・」

草タイプ、というレッテルを貼られたことにベイリーフは少し顔を歪めたが今はケンカをする暇ではないと軽くマニューラをあしらった



そして時が20分が経った

吹雪だった さっき落ち着いた様子で降っていた雪が今ではびゅうびゅうと体を打ちつける

二匹はお互い目をつぶりながら必死に歩いていた

と、マニューラが振り向いてベイリーフの方を向きゆっくり歩き出した その先には辛そうに歩くベイリーフがいた

「大丈夫・・・ベイリーフ・・・?」

「大丈夫・・・だよ♪」

ベイリーフは装ったように答えた

その発言にマニューラは僅かな疑いを感じていた

「無理してるでしょ?」

「そんなまさかぁ♪大丈夫だってば♪」

図星だった

「厳しいなら無理はしないでって最初に言ったよね?草タイプなんだよ?ベイリーフは」

「なに言ってんのさ・・・今だって依頼もこなせたんだよ・・・・・・」

マニューラがしつこく聞いてくるのでベイリーフは少しイライラしていた

「でも今はこの吹雪だよ?これでベイリーフが倒れちゃったらさ・・・・・・心配なんだよこっちも」

「だから大丈夫だってば」

「ベイリーフは草タイプで―――――」

「さっきから草タイプ草タイプってなんなの?」

「・・・・・・?」

「草タイプだから寒いのに弱いーなんてまぁたそんなお堅い理論だけで言っちゃってさぁ 馬鹿にしてるの・・・?今私はここに立ってるの分かる?」

お堅い、だの分かる?だのベイリーフの発言にマニューラもカチンと来た

「こっちが心配して言ってるのも分からないわけ?草タイプのくせに・・・」

「ほらまたそうやって草タイプってレッテル貼ってさぁ・・・何回言えば分かるわけ?そっちの心配なんていらないから」

「そもそも心配なんてしてないし」

「・・・・・・」

急なマニューラの対応にベイリーフは口を詰まらせた

「ふん・・・」
マニューラは勝ち誇ったように鼻息をつくと後ろを振り向き歩き出してしまった

「・・・・・・・・・ばか」

聞こえないように呟いて、ベイリーフもマニューラに続いて歩き出した





そして時はさらに経った

ベイリーフは冷え切った体を懸命に引きずって歩いていた
見失ったマニューラを探し続けてどれくらいになっただろう いくら呼んでも返事がないから見当をつけた方向に歩き続ける事になってしまった 見当といってもこれまでずっと真っ直ぐ歩いてきたんだから、とにかく真っ直ぐ進めば良い と言った物だったが・・・

ひどい吹雪の中で探検隊として自分のした事に内心後悔しながらもマニューラを探し続けているのは真面目すぎるあの黒猫が心配だったからだ

あんなケンカをした後だ、マニューラならずっとその事を引きずっているに違いない 草タイプの自分の苦しみなど分かっているのだろうか おまけにマニューラは氷タイプで寒さには慣れている もしかしたら自分より先にずんずん進んでいるかもしれない

不安と僅かな恐怖を身に覚えながらベイリーフは考えていた

-今までどんな時も二人でがんばってきたっていうのに今更そんなこと言わなくたっていいじゃないか・・・ 依頼だってこなせたんだ 吹雪がなんだ 何か見つけてマニューラに思い知らせてやるんだ・・・・・・-

喧嘩したばかりというのがベイリーフのやる気を削いでしまう しかし今はそんなくだらないことを考える暇はない お宝を見つける その為には一刻も早くマニューラを見つけなくては

怒りが自然にやる気へと変わっていた

ベイリーフは出来る限りマニューラに近づこうとその足を早めた







腕で顔を覆うようにして雪を遮って歩いているマニューラ

寒さには元から慣れているものの絶えず体を打ち付ける雪と強い風に体力を奪われていく マニューラでもこのままでは歩くのもままならなくなってしまうだろう 歩みを進める足の先に段々滲むような痛みを感じるようになってきた

-あれから大分歩いてるのに何も見えてこないや・・・ 野生のポケモンも出てこないし・・・とりあえず横穴でも掘って暖をとらなきゃ マッチと薪はまだ余ってるはず これ以上ひどくなるようなら流石に諦めるしか・・・ ベイリーフには悪いことしちゃっ・・・いや・・・別に気にすること無いか・・・-

そんな事を考えながら未だ弱くなる様子の無い吹雪の轟音の中にヒュン・・・と風を切る様な音がしたのにマニューラは耳を傾けた

小さい頃から耳はよかったから気になってついつい立ち止まり探り始める
その音はまた聞こえることもなく今はただ吹雪の轟音が周りでびゅうびゅうと音を立てているだけだった
考えてみたらこんな吹雪の轟音の中でそんな音が聞こえるのも変だろうか それを三時間は聞きっぱなしだったのだ 耳がおかしくなってしまったのかもしれない
うーん・・・と視線を正面に戻したのと風を切るような音が再び聞こえたのは同時だった


「・・・? っぐ・・・!」

マニューラの腹を何かが直撃する めりっと腹に深く食い込むそれに息が詰まるような感覚を覚え腹を抱えるようにしてその場にひざを突いてうつぶせに倒れる

膝と額の三点で突っ伏し、直に当たる雪の冷たさが痛みと変わって襲ってきたがこみ上げてくる吐き気に比べたら大したことはなかった


「・・・・・・マニューラ・・・?」
そのはるか後ろでベイリーフが呟くような声で言った

マニューラのうめき声が聞こえなかったのだろう 不安そうに呼んでみるがマニューラには聞こえるはずがなかった

ベイリーフにはただマニューラがその場に立ち尽くしているような幻影が見えていた

「どこ行くの・・・マニューラぁ・・・・・・?」

歩き出したその影をベイリーフはふらふらとした足取りで追った








「・・・・・・・・・どこから・・・?」
うつ伏せのままずっと倒れていたマニューラだったがひざをついたまま体を起こしキョロキョロと首だけを動かして警戒する

はぁはぁと苦しそうに吐き出す白い煙は激しい吹雪にさらわれる

何かの塊はどうやら氷のようだった と、なると氷タイプのポケモンがマニューラを狙って撃ってきたのには間違いがない

最初のヒュン・・・と言う音が激しい吹雪の中「こおりのつぶて」という技の風切り音だと言うことに気づいたマニューラはその時突っ立っていた自分を思い浮かべ心の中で叱った

後悔しながらも目を凝らし正面をよく見ると何かが地面に浮いているのがかすかに見えたような気がした

「・・・・・・? ぅぐぅ・・・!」

不意打ちはマニューラに大きなダメージを与えていた
痛み自体はマシになって来ているようだが腹を思いっきり殴られた後のような気持ちの悪い感覚がマニューラを苦しめていた

しばらくするとマニューラの体に変化が起きた

体を絶え間なく打ち続けていた感覚がない 奥に進み始めてからそれは急に降ってきた 二匹を苦しめてきた吹雪がやんだのである

しかしすぐに霧のようなものがたちこめ、周りの景色は一切判らないままだ

吹雪が止み 穏やかになった雪だけがマニューラを誘うように地面に降っている
「なんなのさ・・・一体」

腹を押さえたままフラフラと立ち上がった所でまた音が聞こえてきた

ビシュウウゥゥゥ!

「!?」

白い霧の中でそれよりも青白い一筋の光が立ち尽くしたマニューラの横を通り抜ける それが放つ凄まじい冷気は体毛に少しチリチリしたような痛みを与えたが、狙いが外れたということにマニューラは助かった・・・とため息をもらした











「うわああああ!」

次は叫び声が聞こえた いつもの聞き慣れた声 吹雪がやんで嫌と言うほど鮮明に聞こえる

「ベイリーフっ!?」

自然と体が動き出す 痛みは引いたが今はベイリーフが大丈夫かという不安がマニューラの頭の中を支配していた

もしあれにベイリーフが当たってたら? 音にびっくりして大声あげただけなのかもしれない でももし交わせなかったとしたら? ベイリーフは草タイプだ 最悪凍り付いて倒れてしまっていたら?

考えるより先に足は中々動かなかった

仲間を失う恐怖と不安に駆られながらマニューラは後ろにひた走った

この時実際マニューラとベイリーフの距離は100mの間隔を空けていた

深い霧の中ベイリーフを捜しながらふらふらと歩くマニューラ

しばらく走り続けると地面にベイリーフが倒れているのを目にする

慌ててマニューラが近づきその安否を問う

「マニュ・・・・・・ら」

「ベイリーフ!だっ・・・大丈夫!?」



「ニュ・・・・・・早く・・・・・・」

「え?」

「早く・・・逃げて・・・・・」

「なに言ってんのさ・・・ベイリーフ・・・・・一緒に帰ろうよ・・・?」

そう言うとベイリーフは首を横に弱々しく振った

「わたしもうダメ・・・・・・わかるでしょ・・・ だから・・・・・・」

「わかる訳ないよ! どうしちゃったのさ・・・ら、らしくないよ・・・・・・」

驚くほどに声を荒げて言う マニューラは今のようなピンチにぶつかることをわかっていたのかもしれない しかし一番の親友が居なくなることは考えたくも信じたくもなかった いつも二匹で数多のピンチを越えてきたのだ

マニューラが言葉をかけてもベイリーフはなにも答えなかった

「ベイリーフぅ・・・・・・」

「・・・はやく・・・・・・にげ・・・・・・・・・・・・」

ピシ・・・・・・グググ・・・・・・「あっ・・・」
足から凍り付いた氷がベイリーフを包み込もうと浸食していく

そう言うとベイリーフの生気を失った目のまぶたが落ちた

「ベイリーフ!ダメだってばっ!」

返事はなかった

「ダメだってば!・・・・・・ヤダよぉ!ベイリーフ!」

自然と涙があふれベイリーフの体を揺する が、浸食していく氷がそれで止まるわけではない 既に氷はベイリーフの腰の辺りまで包み込んでいた

「ベイリーフ! ベイリーフぅ!・・・・・・あぁっ・・・・・・・・・」


ベイリーフは遠のく意識の中マニューラの声だけが聞こえていた

ベイリーフは心の中でマニューラに謝った

-ごめんね・・・マニューラ・・・・・・私がさっさと諦めようとしなかったばっかりに-
マニューラならどう言ってくれるだろう とふと考えた

マニューラはあんな性格だから自分の死を受け入れてまた明るく生きていけるだろうな と思わず考えてしまう

しかし朝聞いたような言葉をふと思い出す

『自分にとっては・・・・・・それ以前に一緒にいるだけでいいのよ・・・・・・ベイリーフといると毎日が楽しくてさ・・・』

ーごめんマニューラ・・・・・・わたしが・・・わたしがぁ・・・・・・・・ー

マニューラにとって大切なのは自分しかいない、考えて残ったのは悔しさだけだった

意識が途絶えると同時に張り付いた氷がベイリーフの体を包み込んだ

「べいりーふ・・・・・・ぁ・・・・・・あぁ・・・」

まるで水晶に包まれたように見える氷にマニューラは覆い被さるようにしながらすすり泣いた


西の方角からそよぎ吹いてきた風が粉のように煌びく粉雪を運ぶ サラサラ・・・と砂漠に風が吹いたかのような光景が辺り一面に広がる 風が霧を運ぶように東へ流れ、遂にはかかっていた霧が止んだ














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