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吹雪の島
日時: 2009/12/21 00:54
名前: ジイア

前々から考えていた小説のネタを投稿させていただきます<(_ _)>

注意
・設定を出し尽くす可能性があり、やたらと長くて説明文みたいな感じ
・捕食までかなり時間がかかる
・更新頻度もかなり遅い
・読みにくい
・携帯なので改行もいまいち分からない
・、の付け忘れなどで読みにくい
所詮素人が書く作品なので不快感を絶対に与えると思います







追記 レスに編集機能があることを今知りまして(爆

これから書いた奴を編集することが多々あるかもしれません。

とりあえず次のレスからまた小説を書き出します 迷惑かけてすみません<(_ _)>






>>2 >>10 >>14 >>16 >>18 >>21
メンテ

Page: 1 |

Re: 吹雪の島 ( No.1 )
日時: 2009/12/21 01:27
名前: 吉祥  <sho.horn@hotmail.co.jp>

読み物 の所が盛り上がってまいりました!ww

携帯からですかぁっ!
大変でしょうけど、頑張ってください!
メンテ
Re: 吹雪の島 ( No.2 )
日時: 2009/12/21 01:49
名前: ジイア

雪の降り積もる寒い冬の朝・・・・・・朝日がとある町の姿を照らしている

生命を育む太陽の光が、空から大地へと降り注ぐ粉雪に反射して輝くその光景は、なんとも美しいものだ




この町は古くからある有名な町で中央には大きな広場がありその北と南には商店街が広がっている
そこでは食料や道具はもちろん、日用品やポケモンの爪や牙・・・はたまた祭りの露店のような食事をする所など・・・・・・たくさんの店がある大きな商店街である

そして商店街の真ん中にある広場は買い物を終えたポケモンや旅の途中で休んでいくポケモンなど様々なポケモンが集まる憩いの場として有名だ



そんな広場から西に歩いていくと大きな建物がある

そこはギルドという場所で、そこでは未開の地の捜索、探し物 悪い事をしているポケモン おたずねものの御用など様々な依頼が集まり
その依頼をこなし困っているポケモン達を助けるポケモン達のグループ「探検隊」の拠点の場である



これはその探検隊の物語












広場から離れた所 正確に言えば南側の商店街をそれなりに進んだところにある曲がり角を左にしばらく進んだ所に家があった

他にも家はたくさんあるのだが、塗装されたばかりの壁や外の雪景色を映し出すぴかぴかの窓は それがまだ建てられたばかりの家ということを物語っている

そんな家の二階の部屋の窓には一匹のポケモンがすやすやと眠っているのが見える

その部屋には机とイス そしてポケモンの寝ているベッド そのベッドの横には小さな本棚がありいくつかの本が綺麗に並べられていた

一人の部屋としては少しばかり広いこの部屋に静かな時間が流れていた




かちゃ・・・・・・・・・キィ・・・

ふと扉の開く音が部屋の中に響く そしてのし・・・のし・・・・・・という足音と一緒に聞こえてくる木の床が軋む音・・・



またあるポケモンが部屋に入ってきて寝ているポケモンに「ぉーい・・・」と声をかける


「・・・・・・」

しかし暖かいベッドで深々と眠っているポケモンにはその声は届かず、反応と言ってもただ寝返りをうって仰向けになるだけだった



「おきなよー・・・」

そんなポケモンに少し呆れたようにもう一匹が長い首をズイと伸ばして大きな声で話しかける


「ぅ・・・ん・・・・・?」

寝ていたポケモンに意識が徐々に戻り目をゆっくりと開ける

誰かが顔をのぞき込んでいる

しかしまるでピントのあっていない写真のようにぼんやりとしかその輪郭が見えず言葉がでない


するとその「誰か」が前足を伸ばして彼の体をゆさゆさと揺すりながら

「もう・・・寝ぼけないで起きなってば!」

少し声を荒げて喋りかけてきた。耳に入ってくる少し可愛らしい声に彼は聞き覚えがあった 安堵したように


「ん・・・あぁ、おはよぅ・・・」

起き上がって眠い目をこすりながら答える起こされたポケモン・・・しかしまだ眠いのだろう ベッドから体を起こすまではよかったが、立ち上がる元気もないようでベッドの横に目を瞑ったまま腰掛け「はぁ〜あ・・・」とため息をもらす


そんな様子を見てもう一匹のポケモンは・・・

「っ・・・!だからさっさと起きなって・・・・・・ば!」

首を軽く左に振り回すとその勢いで頭についた葉っぱのようなものでぴしゃりと寝ぼけたポケモンの顔をはたいた

「!?」

声をあげるほどではなかった しかしびっくりしたように目を開けると、声の主が珍しい物でも見るように驚いた顔のポケモンを見つめている

大きく、とても綺麗で純粋な目、大地を踏みしめる4本の足、そして頭の大きな葉っぱが特徴的なポケモン

このポケモンの仲間であるベイリーフだ





「いきなり叩くなん・・・・・・あーはいはいそんな怖い顔しなくてもおきますよー・・・っと・・・」

そしてぶつぶつ文句を言うようにゆっくりとベッドから立ち上がったポケモン・・・頭には赤い扇のような飾り 白くてとても鋭い爪 そして窓から入ってくる日光によって鈍く輝く黒っぽい体毛・・・

かぎつめポケモンのマニューラである

「ごめん・・・ひとつ聞いていいかな・・・・・・?」

ベイリーフがきょとんとした顔で真面目・・・というよりは真剣そうな顔をしたマニューラを見つめる

普段はマニューラの方が早起きで自分が起こされる方が多いから寝坊助の自分に起こされて気分悪くするのも無理無いか・・・としんみりした気持ちになってしまうベイリーフ がマニューラの次の言葉に安心したようにベイリーフも言った



「・・・あと五分ぐらい寝て良い?」

「なにバカなこと言ってんのさ・・・まったく・・・・・・ふふ・・・♪」

「はははは・・・・・・もう大丈夫だよ さぁて!今日も頑張ろうね ベイリーフ」

「うん♪じゃあ朝御飯食べてギルドに行こう〜!」

仲のよい二匹の楽しそうな声が部屋に響き ベイリーフは元気に部屋を飛び出してドタドタと下に降りていった









ベイリーフが下へ行き一人自分の部屋に残されたマニューラはベッドのすぐ横にある窓から外の景色を眺めた

「ふぁ〜ぁ・・・・・・・・・ぅ・・・?」

雲一つない澄んだ青空 その下では子供のポケモン達がキャッキャと嬉しそうに広場の方へ向かうのが見える
そして子供にゆっくりとついて行く大人のポケモンの夫婦・・・・・・素晴らしいまでに幸せそうな家族だった

黙ってその光景を見ていたマニューラだったが ふと
「うらやましいよ・・・」
と呟く その目には少しだけ涙がたまっているように見えた

「もうすぐクリスマスだなぁ・・・・・」

腕で目を拭うとマニューラもゆっくりと下に降りていった



















たっ・・・たっ・・・た・・・

マニューラはゆっくりと階段を下り、朝日が照らすリビングにたどり着いた

キッチンの方ではオーブントースターからパンの焼ける香ばしい匂いがマニューラを歓迎するかのように立ちこめている



「気持ちのいい朝だな〜」
独り言のように呟いてから伸びをしてキッチンに入るマニューラ そこには既にベイリーフがいて食器棚の上に前足をかけてオーブントースターをじっとのぞいている

パンの焼き加減を見ているのだろう 短い尻尾を上下に振って焼ける様子を楽しそうに見ている


マニューラは古びたガスコンロの前まで歩いて行き火をいれた

青い炎が燃えている上には大きな鍋がありその中には野菜とソーセージの入ったスープがあった









−5分後−

「んじゃ いただきま〜す」
「いただきまぁす」


二匹はリビングで元気にご飯を食べ始める

テーブルの上の皿とマグカップにはにはさっきのスープとベーコンとチーズの乗ったパンがあった


ズズ・・・・・

「うーん 一日置いたのはまたソーセージの油が染み出してて旨いね〜・・・ぁー なんかこう・・・濃厚ってゆーかぁ♪」

ベイリーフがマグカップの中に頭をつっこんで言う


「あ〜ホント?・・・・・・また機会があったら作るよ・・・・・・」

「うん♪そういえばさぁもうすぐクリスマスだね」

「だねぇ・・・明後日かぁ・・・・・・」

「ねぇ クリスマスでも仕事あんのかな?」
ふとベイリーフが聞く 仕事とは探検隊の依頼のことだ


「そりゃあるでしょ クリスマスで町が賑わってる中に紛れてなんかやらかす奴はいると思うよ?」

「そっか〜・・・ゆっくり出来ないのかな・・・・・・クリスマスぐらい」
パンをくわえて浮かない顔をするベイリーフ


「仕方ないでしょ 職業上・・・」
呆れたように言ったマニューラだったが正直マニューラ自身も今年のクリスマスは久々にゆっくり過ごしたかった

-去年や一昨年は探検隊になるためにずっと勉強や修行・・・・・・で、3年ぐらい前・・・は・・・・・・・・・えっと・・・・・・・・・・・・・・・・・・-


















ふとマニューラの頭の中でとある記憶がよみがえる

それは自分がまだ幼い時の事

その時もクリスマスの前だったような気がする












「この野郎!」

「・・ひぐっ・・・・・・ぅ・・・!」

ある家ですすり泣きながら時々苦しむような声が聞こえる
そしてそれに向かって罵声を浴びせながら蹴りつけているポケモン

大人のマニューラだ
これはマニューラの父親である

そして小さい体を縮こまらせて大人に背を向け必死に耐えているのはまだ進化する前のマニューラであった

マニューラ いやニューラにはたくさんのアザがあり 体のあちこちが腫れ上がっている

詳細は不明だが何故かニューラは父親によく殴られていたらしい

頭の中で思い返すほど アルバムでも見ているように記憶が溢れ出してくる

毎日毎日痛む体 自分はこんな地獄のような事から早く逃げ出したかったんだ

お母さんは優しくしてくれたけどあいつに脅されて何も言えないし・・・

アザの事とか聞かれたら「転んだ」なーんて言ってごまかすしかなかったな・・・

結局家を出ていくまではあの女も何も知らずにぬけぬけと暮らしてたんだ・・・・・・
独りで考えているだけで憤りにも近い気持ちがこみ上げてきた

でももう大丈夫・・・・・・そう・・・3年前のクリスマスぐらいに家を出たんだっけ
こっそり金をくすねて・・・町の雰囲気に紛れてとにかく遠くに・・・

今じゃ笑い事だね・・・・・・




はぁ・・・・・・いったいどうしてんだか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・














・・・・・・・・・・・・

























「おーい・・・」

ベイリーフの声にマニューラはハッと我に返った

「へ?どうしたの?」
とぼけたように聞くマニューラ

「いきなり黙り込むもんだから・・・そっちこそどうしたのさ?」

「なんでもないよ」

「ふ〜ん なら良いんだけど・・・♪」
意地悪そうな笑みでマニューラを見つめるベイリーフ

見つめられたマニューラは少し焦ったように
「だから何でもないってば!!」
と怒鳴り散らす


「はいはい分かったからさぁ さっさとご飯食べちゃいなよぉ♪」
ベイリーフはこれまでの事をあっさり流してしまいにっこりとマニューラに笑いかける

「・・・・・!」(腹立つなぁ・・・・・)

完全に言い負かされてしまったマニューラは赤面しながら少し冷めたスープを飲んだのだった・・・・・・・・・
メンテ
Re: 吹雪の島 ( No.3 )
日時: 2009/12/21 01:57
名前: ジイア

吉祥さん コメント有難うございます<(_ _)>

やっぱり難しい・・・書くの・・・ まぁ国語力0の私ですが無理しないように書いてみるつもりです。
まぁ他の方に比べたら・・・っていうか他の方のと比べる権利もないくらい下手な文章だし土下座したくなるくらい 申し訳ない気分ですよ って何が言いたいんだか・・・
メンテ
Re: 吹雪の島 ( No.5 )
日時: 2009/12/23 01:51
名前: ケイル

おお〜 なにやら壮大の物語を感じさせる始まりですね
探検隊と幸せそうなクリスマス風景というのが、
なにやら死亡フラグを思わせますが、今後どうなるのか楽しみにしておりますw
メンテ
Re: 吹雪の島 ( No.7 )
日時: 2009/12/24 01:54
名前: ジイア

ケイルさん コメントありがとうございます


お褒めいただいてスゴイ嬉しいです♪


死亡フラグですかww さぁどうなるでしょうか・・・・・・?(笑


出来るだけ更新は早めにしたいのですが 書きたいことが多すぎて・・・((ヽ(ω゜';ヽ)))

先に書けること(死亡フラグとか・・・wwww)は書いておりますけども 先は長いと思いますので ゆっくり待っていてください・・・wwww
メンテ
Re: 吹雪の島 ( No.8 )
日時: 2009/12/24 07:33
名前: 蒼空

オーブントースターの→オーブントースターから にした方が自然だと思いますよ♪
頑張ってくださいねw
メンテ
Re: 吹雪の島 ( No.9 )
日時: 2009/12/24 11:08
名前: ジイア

蒼空さん コメントありがとうございます


あぁ!本当だ!(笑)

オーブントースターの〜だったら機械そのものから香りが出ていることになっちゃっ(ry
そこの部分と一部を編集いたしました


ご指摘いただくと「読んで頂いてる!」っていう実感が湧いてきてものすごい嬉しいです! これからも頑張って書かせていただきますね 蒼空さん、ありがとうございました♪
メンテ
Re: 吹雪の島 ( No.10 )
日時: 2009/12/25 00:08
名前: ジイア

「ふぅ・・・ごちそうさまでした・・・・・・」

「は〜い じゃぁささっと準備して出かけましょ〜」

「無駄にテンション高いねぇ ゆっくりしたいとか言ってなかったっけ〜? このサボり魔が〜・・・」

少しは言い負かしてやる そんな気持ちでマニューラは仕事上の悪口を言い、ベイリーフのお腹をちょんちょんつつく

「なにお〜この・・・・・・この・・・・え〜・・・・と・・・・」

ベイリーフが口を詰まらせたのを見て嬉しがるマニューラ




「あ〜はっは♪駄目だなぁベイリーフったら〜自分から仕掛けてきたくせに〜」
「うぅ・・・・・・」

マニューラは笑いながら食器を片づけるためにキッチンへ歩いていく



まさかの仕返しに悔しがるベイリーフだったがすぐに何かを企んだかのようにニヤリと笑うと

「ねぇマニューラ・・・」

わざと雰囲気を暗くし 片付けを終え自分の部屋に戻ろうと階段を登りかけているマニューラの背中に声をかけた


「なに〜? ッ・・・!」

マニューラが声に振り返ったその瞬間にベイリーフはその上体に前足で蹴りを入れ後ろに押し倒すとすぐさま動けないように両腕を前足で押さえつけた


「ぐぅ・・・何すんのさ・・・・・・」
抵抗しようと試みるマニューラだったが二の腕の辺りを押さえられ手が動かせない 唯一動く足をバタバタさせるがマニューラの体が小さいせいでベイリーフの体には全く届かない


「あ〜はっは♪駄目だな〜マニューラったら〜探検隊ともあろう者がいつ何時と油断しては・・・ハハハハ・・・」

態度をコロッと変えマニューラの口真似をしてベイリーフが静かに笑う


「せこいよねぇ・・・そうゆう根拠のない理由で暴力す・・ウグッ・・!・・・・・・わかったわかった・・・・・・ごめん・・・」

マニューラは何か文句でも言おうとしたが腕を押さえる力がいきなり強くなり観念したように謝る

「分かればいいの♪ あら・・・もうこんな時間だ早く準備しなくちゃ!」

そう言うと ベイリーフは足早に階段を上っていった




「・・・・・・・・・・・・はぁ・・・まったく・・・・・・」

ゆっくり立ち上がり友人のわがまま性格に呆れながらマニューラも部屋に向かった



二匹の日常は大体こんな感じである

真面目で少し物事の決まりにうるさく怒りっぽいマニューラ
マイペースでなんとなく気が抜けているベイリーフ

考え方の違いからケンカすることも多かったがマニューラはベイリーフの事が好きだった















たたったたたたた・・たったん!

起きて来た時より早いリズムでマニューラが階段を降りてきた

すでにギルドにいく準備を終え玄関で待っていたベイリーフ 首から小さめのポシェットをかけている

マニューラは背中にリュックサックを背負っていた

これらは[トレジャーバッグ]と言うもので探検隊には必須の装備品である



「準備できたかい?」

「うん 行こっか」

上から少し慌てて降りてきたマニューラに出発の確認をとり二匹は家を後にした
外は相変わらず晴れたままだった


ー今日はずっと晴れるのだろうか・・・それだったら噂のあそこにでも・・・まぁギルドについたらベイリーフと相談して決めよ・・・ー











二匹は朝とは思えないほどに賑わっている商店街にたどり着いた

そこら中にクリスマスツリーやリースなどが飾ってある

お店ではクリスマスセールの文字
行き交う人々も子供を連れた大人のポケモンや寄り添いながらゆっくりと街を歩く若いカップルなど・・・・・・
誰が見ても分かるまでに商店街はクリスマス一色に染まっていた





ゆっくり飾りを見ながら歩いていたマニューラが慌てて走り出す

その先には逆に飾りなどを見たくないかのようにスタスタと早歩きしているベイリーフがいた



追いついてからベイリーフの顔を覗き込むマニューラ そこにはもう今年のクリスマスは楽しめないだろうなぁ・・・とがっかりした表情の顔が見えた



しばらく歩き続けると商店街を抜け開けた空間に出た みんなの憩いの広場である

その真ん中には巨大なクリスマスツリーがあった

高くそびえる塔のような大きさに広場にいるポケモン全てが歓声を上げている


「立派だねぇ〜昨日までは何にも無かったのに・・・」

「・・・・・・・・・」

「ベイリーフ?・・・」

「マニューラはクリスマスぐらいゆっくりしたいとか思わないわけ?」

いきなり困ったような表情でマニューラを見つめるベイリーフ

マニューラは突然のことに驚いた

いつものベイリーフなら「いやぁ〜ホントやんなっちゃうよね〜 ギルドに辞表でも出しにいこうかなぁ♪」なんて言ってくれる筈なのだが今回ばかりは本当に滅入ってしまっているらしい


「うん・・・・・・」

マニューラはかすかに答えたがすぐさま言った

「まぁ自分もさ・・・確かにクリスマスをベイリーフとゆっくり過ごしたいなぁ と思うけども・・・・・・・・・思うけどもね・・・」

「思うけども?」
ベイリーフが期待しているような目でマニューラを見つめる

「その・・・・・・」
少し恥ずかしそうに顔を背けるマニューラ

「じれったいなぁ・・・・・・なんなの?」

「そのぉ・・・・・・・・・自分にとっては・・・・・・それ以前にベイリーフと一緒にいるだけでいいのよ・・・・・・ベイリーフといると毎日が楽しくてさ・・・」




「・・・・・・・・・」

ベイリーフもマニューラから目を背け顔を赤らめる

「いきなりそんな・・・なんか照れるじゃない・・・・・・」

「ベイリーフが言えっていったんでしょ・・・・・・」

「言えなんて言ってない・・・・・・言ってないけど・・・・・・・・・気になるじゃない・・・・・・ああ言われたら・・・」

「・・・・・・」

二匹は下にうつむきながら広場を歩きギルドの有る方へ向かった 互いに顔を赤らめて・・・
メンテ
Re: 吹雪の島 ( No.11 )
日時: 2009/12/25 02:12
名前: ケイル

うほおおお リア充めえええと思わず書いてしまいそうになりましたが、
これって女の子同士の話でしょうか?w

>それ以前にベイリーフと一緒にいるだけでいいのよ
すいません、ここで初めて気付きましたw
メンテ
Re: 吹雪の島 ( No.12 )
日時: 2009/12/25 11:22
名前: ジイア

ケイルさん コメントありがとうございます

一応マニューラは雄という設定です

のよ〜
っていうのは・・・・・・マニューラの独特な雰囲気を表すためにそうゆう表現をしました

最初は[一緒にいるだけで良いんよ]にしようと思ったんですが

どっちにしても軽い感じというか・・・そうゆう感じのを・・・・・・w



ちなみにベイリーフは雄雌がはっきり分かるような描写は入れてないですが 雌寄りですね



リア充ですか・・・・・・これからそれがどう変わっていくのか 最後までお付き合い下さいwww

コメントありがとうございました
メンテ
Re: 吹雪の島 ( No.13 )
日時: 2009/12/29 00:15
名前: 吉祥  <sho.horn@hotmail.co.jp>

どもw
先が気になる感じですねぇ!

楽しみです!続き頑張ってくださいね!
メンテ
Re: 吹雪の島 ( No.14 )
日時: 2010/01/14 01:48
名前: ジイア

二人は気がつくとギルドの前にいた

四角くて真ん中にドームのような形の吹き抜けの天井がある大きな建物が二人を見下ろしている

あれから結局お互い恥ずかしがって ただギルドへいく足だけを早めていた




マニューラが 「今日も寒いね」 だとか 「夜ご飯何にしようか?」と少し遠慮がち喋りかけてもベイリーフにはマニューラが無理に話を作ろうとしてるのが分かったようで てきとーに「うん・・・」「なんでもいいよ・・・」といつもとは違う態度で流してしまい 更に気まずい空気が流れただけだった








「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」

ぼけーっと入り口で立ち止まっている二匹 さっきまで話しかけていたマニューラも流石に もう何も言わない方がいいのかな と黙ってしまう






時が止まったんじゃないかと思うぐらい静かだったが一匹のポケモンがギルドの入り口の中から嬉しそうに飛び出してきた





「あ!キミたちはフリップズ!どうしたのォ こんなところでたちどまっちゃっテェ」





体に生えた赤と白の羽毛
背中にはパンパンに膨れた袋を背負っている クリスマスの象徴とも言えるサンタクロースにそっくりなポケモン デリバードだ


このギルドで一番偉いポケモンとでも言えばいいだろうか なんでもこの町の更に更に北にある「探検隊連盟本部」から派遣されたスーパーエリートらしい

しかし子供のような性格(実際子供じゃないかという噂もある)がそれを思わせず とても謎の多いポケモンとしてギルドだけでなく町全体で有名だ




そしてフリップズというのはマニューラとベイリーフの探検隊のチーム名の事だ
数ある探検隊の中でこの神童のようなポケモンがマニューラたちを知っているのは彼が特別な事情で彼らを目にかけてくれているからだった



「・・・・・・」
「・・・・・・」

「ぼくね ギルドのみんなをだいひょうしてこれから町長にあいさつにいくんだ!もうすぐクリスマスだからね きみたちもがんばっておかねかせいでくるんだよ♪」


そう言うとデリバードは何も言えずに口をぽかんと開けたまま立ち尽くしているマニューラ達の横を通り抜け まるで祭りにでも行く子供の様にわいわいはしゃぎながら広場へ走っていった







「・・・・・・・・・いこっか」
「うん・・・・・・」


しばらくあ然としていた二匹だったがすぐにギルドの中へと足を進ませた


それ以来マニューラもベイリーフも黙ったままギルドの中をすたすたと歩いていき大きな広場についた

以前改装され広々としたホールの両脇には巨大な掲示板がある ここに探検隊への依頼が届くのである

掲示板の前には沢山のポケモン達がいる 新米から大ベテランまで 皆探検隊である その中でマニューラ達は・・・中の下と言ったレベルだ
















----------------------

マニューラは家を出て以来ずっと憧れだった探検隊になる為にこの町を訪ねた

もともと住んでいた場所よりずっとずっと遠かったが盗ったお金で運び屋を営むポケモン達に乗せてもらっておおよそ2ヶ月の時を経て辿り着いた

ベイリーフに会ったのもこの街 街が活気づいて宿などは相部屋が多かった 旅人にとってはそのような場で見知らぬポケモンに旅の経験や思い出を語り合うのも旅の醍醐味の一つでもあるらしい それこそがこの二匹の出会いである

ベイリーフも探検隊に憧れる旅人であった 二匹はすぐに打ち解け 共にこの街で探検隊になることを決めた 探検隊になるための修行の中で当時のニューラもとうとう今のマニューラへ進化した

これが二匹「フリップズ」の始まりである

----------------------













「今日は何やるの・・・?」

ベイリーフが静かだった空気を破った



マニューラは僅かに微笑み
「うん 来る前に考えてたんだけどね ん・・・・・・と ちょっと来て」



そう言ってマニューラはクイッとベイリーフを誘う

二匹が来たのは左の掲示板 こちらはダンジョンで迷ってしまったポケモンの捜索や救助 道具運びなどの依頼が集まる


「あ これがいいかな・・・?」

一枚の紙を指差しベイリーフに見せた


「ん? 簡単そうだね・・・」

ベイリーフが見た紙にはこう書かれていた

救助依頼
依頼主:バクフーン
{私の息子が昨日吹雪の島に行ったきり帰ってこないんです!あそこには恐ろしいポケモンがいると聞きました!探検隊の皆様 息子を助けて!}

依頼主からその息子というのはヒノアラシかマグマラシだろう



「あるよね〜 ガキが宝なりなんなり探しに不思議のダンジョンに行こうなんて・・・・・・」

ちょっと嫌らしい、あざけるような笑いを浮かべながらベイリーフが言う


マニューラはふぅっ不満げにとため息をつくと言った

「・・・・・・そうだね でもさ 聞いた事あるでしょ 吹雪の島って」

「うん 最近新しく見つかった場所で・・・こっから近いんでしょ?」

「近場って言うのもあるし、あんまり野生のポケモンも強くないらしいんだ だからここの依頼は報酬も低いみたいだし・・・・・見つかったばかりにしては人気がないっていうか・・・・・・わざわざここに来る探検隊は少ないと思う」

「それがなにさ?」



マニューラはいつか見た有名な探検隊の日誌の記録に次のようなことがあったのを思い返しながら言った

「あれだよ ようするに・・・未開の地って言うのかな 奥に行ったら何か見つかったりして・・・」

「あぁ〜成る程ね・・・依頼をちゃちゃっと終わらせてからゆっくり散策・・・って事?」

嬉しそうにベイリーフが聞く



「そうゆう事!だからここ行こうよ」

「うん!上手くいったら大金持ちだねぇ♪」

「でもわかってるよね 絶対に仕事が優先 こういう救助するような依頼ならなおさらね」

「ぅ・・・・・・ごめんね」

ベイリーフは内心後者の方に気が揺らいでいたことと依頼主の子を侮辱したことを謝った



依頼の紙をビリッと破りとると二人は依頼書をギルドの受付に渡し正式に依頼を受託した

そして二人は地下にある巨大な倉庫へと足を運んだ ここにはギルドから支給されるアイテム・・・オレンの実やふしぎだまなどのアイテムが保管されている

各探検隊ごとに番号のふられた大きな箱が置かれマニューラ達は自分達の番号が書かれた箱の前で足を止める

そうして二人がギルドの中の倉庫から様々なアイテムを取り出していると上から慌ただしい声が途切れ途切れに聞こえてきた

マニューラはその途切れ途切れの言葉を捉えようと注意深く耳を傾けた


「たしの・・・こが・・・って、・・・・・・らい・・・・・なんですか・・・!・・・・・・っぷず・・・?・・・こに・・・・・・」

そのひどく慌てた様子の声に荷物をまとめたマニューラ達は再び上に上がった

「あ・・・見えました彼らです」

受付を受託する役割を持っているポケモンの声が聞こえた後一匹のポケモンがマニューラ達の元に向かってやってきた

「はぁ・・・はぁ・・・・・・あなた達がフリップズ・・・・・?」

「はい・・・まさか貴方がこれを・・・・・・?」

そう言ってマニューラは目の前にいるポケモンに手に掴んだ依頼書を差し出した
「そうです・・・はぁ・・・私の息子が吹雪の島に・・・・・・はぁ・・・はぁ・・・」

牝のバクフーンは荒い息をしながら答えた そして時々ゴホンゴホンと咳き込む

「大丈夫ですか?」

「はい・・・それより私の息子が・・・・・早く助けてやってください・・・ゴホン・・・あの子はまだ小さくて・・・」

言葉の最後の方にはすすり泣くような声になっていた
「大丈夫!私たちが必ず助けてますから!」

自信たっぷりにベイリーフが言う 続けてマニューラも「そう・・・大丈夫です あなたの息子さんは必ず助けて見せます」とバクフーンに言った

「ありがとう・・・私の息子はマグマラシに進化したばかりなんです・・・いまごろどうしてるか・・・・・・ごほっ・・・ごほっ・・・」
バクフーンは咳き込みながらベイリーフの心強い声に心を打たれたように言った
「そうですね 一刻を争います 私たちはもう行きますので・・・・・」

「はぁ・・・ごほっ・・・分かりました 息子のことをよろしくお願いします・・・」

そう言うとバクフーンはマニューラとベイリーフを大きな腕でギュッと抱きしめた

その暖かい抱擁は言葉にできない望みを表しているんだろうとマニューラは思った そしてその母なる温もりにマニューラ達は心が和らぎ、依頼へのやる気を高めたのであった




























それから50分ぐらい経っただろうか


二匹はギルドの出発口から船で冷たい北の海を渡り ある島に着いた

船の航海士に聞くと依頼の子供も昨日船に乗ってここに来たらしい 子供を降ろしたという場所に船をつけてもらった

二匹は船を降り 遠くに見える街へ去っていくその姿を見送った


今マニューラ達がいるのは島の中でも北の方 二匹の目の前には一直線に広い道がありその両脇には林が広がっている


「ここだね?マニューラ」

「うん 噂の吹雪の島さ・・・思ってたより広そうだなぁ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ん・・・? 見てよベイリーフ」

ふとマニューラが足下を指さした

「これは・・・・・・足跡・・・?まだ新しい・・・っていうかできた足跡が固まってるみたい・・・」

「多分依頼の子のだよ 珍しく雪も少なかったからね・・・辿っていけば簡単に見つかるよ」

「そうと決まれば早速行こうよ♪」

「うん」










-ものすごい分かりやすい道だなぁ だけどその分道が開けすぎてる・・・野生のポケモンに狙われる危険も高い 炎ポケモンだから寒さは大丈夫だろうけど・・・よくもまぁこんな所に一人で行けるよ・・・・・でも・無事だと良いな この子供には良いお母さんがいる 絶対に助けなきゃ 助けられなかったらあのお母さんも悲しむだろうな クリスマスに家族がいないなんて・・・・・・・・・って自分が言える台詞じゃないや-











ぼん・・・・・・

そんなことを考えていて黙っていたマニューラの体に突然何かが当たった 体に当たったそれがパラパラと砕け地面に落ちる





「朝から何ボーッとしてんのさ さっさと行くよぉ♪」
声のした方を見るとマニューラに背を向け逃げるように走り出しているベイリーフがいた

「あぁぁぁああ!なにすんのさぁ!」

マニューラも何個か雪玉を作ってベイリーフに投げつけながら後を追ったのであった
メンテ
Re: 吹雪の島 ( No.15 )
日時: 2010/01/16 01:41
名前: ケイル

ポケモンは寒さに強いのかなぁ
遊び半分でそんな寒そうな島に行っちゃうとはw
野生ポケに食べられるとか以前に普通に遭難しそう・・・と、
私の家の中が寒いので、そういうところにばかり気がいってしまうw
メンテ
Re: 吹雪の島 ( No.16 )
日時: 2011/03/06 22:26
名前: ジイア

「ったくさぁ・・・雪合戦して遊ぶ暇ないってわかってんでしょ・・・」

「そうカッカしなさんなぁ♪怒ってばっかじゃまともな仕事はできんぞ〜」

「そっちこそ・・・ふざけてばっかじゃまともな仕事はできんぞー・・・・・・ はぁ・・・」
が実際二人ともこの依頼に対する気力は高いところに達していた 依頼主のバクフーンに直接会ったことが二人のやる気を高めていたのだろう

あのバクフーンの喜ぶ顔がみたい それが今の二人の任務でもあり望みでもあった

二匹はお互い分かり合ったように見つめ合いながら歩いていった

横を見渡す限りは木ばかりだった 木の陰に隠れてマニューラ達をねらっている野生のポケモンもいるかもしれない

マニューラとベイリーフはその可能性を十分考えた上で仲良く話しながら歩いた

しかし道中野生のポケモンに会うことはなくいたって平和な時が流れていた

と、ふとベイリーフがマニューラに声をかけた

「マニューラ・・・あれ・・・・・・」

ベイリーフが指さした方を見ると木々の切れ間に見えた一見雪の山のようなところにぽっかりと穴があいているのが目に入った

そして改めて下を見ると足跡がその穴に向かって曲がっている

二人は進路を変えて再び足跡に沿って進み始めた

歩みを進める度に木々の切れ間が無くなっていきぽっかりと空いた穴の全容が露わになってくる

洞窟だ

目の前まで進み、そして立ち止まる 足跡は洞窟に吸い込まれるように続いていた

二人は見つめ合い、そして互いに頷くと洞窟へと足を運んだ

洞窟は左奥へと続いているようだった

二人は万が一野生のポケモンに襲われないよう左の壁に張り付き忍び足でひたひたと洞窟を進んでいった

単純な洞窟だった 大きなポケモンでも十二分入れる程の広さがあり上にはポタポタと垂れた水の固まった氷柱がたくさん生えている
左の壁沿いに歩き初めて五分は立っただろうか

マニューラ、その後に続いてベイリーフ マニューラは後ろのベイリーフにハンドサインで「止まれ」と指示した

言葉に出さなかったのはマニューラが見つけた物に気付かれないようにするためだった

「なになに・・・?何か見つけたの?」

後ろに続くベイリーフにはマニューラと洞窟の壁が邪魔をして見ることが出来ない

ハンドサインの意味を読みとったベイリーフは声を小さくして話した

「シッ・・・静かにして・・・・・・見てみて・・・」

「ぅん・・・?」

ベイリーフは長い首を伸ばしマニューラの横に乗り出しマニューラが見ていた光景を確認する

「あっ・・・」

思わず口に出てしまった ベイリーフが見たのは一匹のポケモンだった

青い体に顔の周りには白くもじゃもじゃした体毛が生えていた

こおりわりポケモンのトドゼルガだ

忍び足で近寄り運良くトドゼルガは後ろを見なかったのでバレずに済んだがその訳はその奥に隠れていた物のせいだった

その奥にいたのは・・・・・・怯えた表情を浮かべた子供のマグマラシだった

「ベイリーフ!」
「うん!」

たがいにアイコンタクトで指示を示すと二人はすぐに洞窟の陰から飛び出して行動に出た



まずベイリーフは「リフレクター」と呼ばれる防御壁を子供のマグマラシにかける

そしてベイリーフは頭の葉を振るって小さな葉の刃を飛ばした

「はっぱカッター!」

ベイリーフが放った「はっぱカッター」はトドゼルガに向かって飛んでいき気をそらすには十分な程に命中する

食事をベイリーフに邪魔されたトドゼルガはぐるる・・・と不満げに喉の奥から野太い声を響かせながらマニューラ達の方へ振り返った

その時マニューラは既にトドゼルガに向かって走り出していた

トドゼルガから見て左側から走り込むマニューラ そして距離が縮まると四足の体制から跳ぶようにトドゼルガに飛びかかりその鋭い鉤爪を振るった

しかしトドゼルガはそっと体を後ろに反らすようにマニューラの「きりさく」攻撃を既に見切っていたかのように寸前でかわした

攻撃を交わされ飛び込むようにうつ伏せにトドゼルガの近くに倒れたかに見えたがマニューラはその体制のまま前転するように受け身をとる

トドゼルガは自分の右側に転がり込んだマニューラを踏み潰そうと大きな腕を振り上げマニューラに向かって振り下ろした

咄嗟に避けようと体を反らしたがその腕はマニューラの上半身にずん・・・と降ろされた

「ぐっ!」

寸前に腕を前に回し、雪が衝撃を和らげ圧死する事は免れたものの強い衝撃がマニューラに降りかかる

トドゼルガはマニューラを押さえつけるように右の腕を地面に押し付け同じように左腕も使いマニューラの腕を押さえ身動きできないようにするとマニューラに顔を寄せ大きな口を開けた マニューラの顔にムワッと腐った肉のような口臭が吐きかかる

長く、太い牙を持つ口を目の前で見せられ、あぁ・・・このまま噛み殺されてしまう・・・・・・そう思ったときだった

「マニューラ!」

ベイリーフが再び「はっぱカッター」を飛ばしトドゼルガを牽制する

目ざとさと痛みを押さえるように左腕で顔を覆うトドゼルガ

そしてその時にマニューラに対する荷重が緩むとその間から押さえつけられていた腕を何とか抜き出しその鋭い鉤爪を自分を押さえている大きな腕に食い込ませた

トドゼルガが「ぐおぉっ!」っと痛みの余りに吠え傷を押さえるように右腕をあげると、その隙を見てマニューラは寝転んだ体勢のまま左に向かってグルグルと向きを変えながら回りトドゼルガとの距離を遠ざけ、そして起き上がる その横にはベイリーフが心配そうに立っていた

「大丈夫?マニューラ・・・・・・」

マニューラは肩を痛めたのか苦しそうに右の肩を左手で押さえていた

「大丈夫・・・さぁちゃっちゃと決着をつけちゃおう ベイリーフ!援護は頼んだよ」

と、言うとマニューラは拳に冷気を貯め始めトドゼルガに向かって再び走り出した

「うん♪」

その様子を見てベイリーフは安心したように答え、リフレクターをマニューラにかけてやった

右腕の痛みにマニューラの接近に気づくことが出来なかったトドゼルガが前を向いた時にはマニューラが目の前に拳を繰り出すのが見え、思わず咄嗟に目をつぶる

そのままマニューラの「れいとうパンチ」は目を閉じたトドゼルガの右目に直撃した

目潰しを食らったように体を揺らがせるトドゼルガ、一歩大きく退くと痛みのあまり下を向く そして今使うことの出来る左目でマニューラを睨みつけた

直ぐにこの黒猫を殺してやりたい・・・しかし右腕が傷つき、目潰しまで食らってしまった おまけに相手は2体・・・・・・分が悪いと判断したのかトドゼルガはようやく洞窟を後ろに逃げるように後を去ったのだった


「ふぅ・・・危うくやられるところだったよ・・・・・・」

そう言いながらマニューラは背中にしょったトレジャーバッグからオレンの実を取り出しそれを口に放り込んだ

そしてそれを咀嚼し飲み込む、何となくだが上半身にあった痛みが消えた気がする

「ふふん♪私がいなかったら今頃昼飯になってるところだったよ♪」

「そうだね・・・ありがとうベイリーフ・・・・・・」

「どういたしまして♪肩は大丈夫?」

「うん オレンの実のおかげで最初よりは大分ましさ」
「ならよかった♪っと・・・・・・」

今頃思い出したかのように二人はマグマラシの方を振り返った

「・・・・・・」

マグマラシは口をぽかんと開け黙ったままマニューラ達の方を向いている

しばらくそのまま静かな空気だったが

「ダメじゃないか!お母さんを心配させて・・・まだ小さいのにこんな深いところまで・・・」

マニューラが怒りに満ちた表情を浮かべて口火を切った

「ごめんなさい・・・ひぐっ・・・・・・」

マグマラシはベソをかいているようだった

マニューラはマグマラシの目の前まで歩いていき怯えるマグマラシを殴りつけようと拳を振り上げマグマラシに向かって振り下ろそうとした・・・そのときだったマニューラはマグマラシが手に持っているものに目がついた

マグマラシが持っていたのは草のようだった 根っこから引き抜いたのか白い根が下の方から伸びている

「草・・・?」

マニューラは口をぽかんと開けたままそれを見ていた とその時

「その草・・・薬草じゃないかな?」

草タイプのベイリーフにとって簡単な答えだった

「ひっぐ・・・・・・お母さんがぁ・・・風邪引いてるから良くなるかな・・・って・・・・・ひぐっ・・・・・・」

「だからって一人で・・・」

「まぁまぁマニューラ・・・・・・ごめんね♪お堅い性格なんだ♪君はお母さんのために薬草を取ってこようとしたんだね・・・」

マグマラシはずっとすすり泣いていたがベイリーフの言葉を聞くとコクっと頷いた

「・・・・・・」

マニューラは上に上げていた拳を力無く下げ なんだか自分がしようとしていたことがくだらない事のように思えつい黙り込んでしまう



「ドンマイだよ マニューラ・・・・・」

「あぁ・・・ごめん・・・取り乱しちゃって・・・・・マグマラシ君・・・ごめん・・・」

「大丈夫・・・です あなた達は探検隊ですか・・・?」

「そう・・・、君のお母さんからこの依頼を受けたんだよ」

「お母さんが・・・・・・?」

「自分の事より君の身を案じてこの依頼を出したんだろうね」

ベイリーフが口を挟む

「お母さんにとって一番大切なのは君なんだよ 風邪のお母さんを早く直してあげたいのはよく分かる、でもそのお母さんを心配させるような事をしてはいけないよ」

マニューラが諭すようにゆっくりと話した

「ごめんなさい・・・」

泣き止んだマグマラシは改めて自分のしたことを詫びた

「分かれば良いんだ 二度としないって誓えるならね・・・・・・さぁお母さんが待ってる、帰ろう?」

そう言いながらマニューラは左の胸についた探検隊バッジを手に取った そしてマグマラシに向かって上にかざす するとバッジが輝きマグマラシの体を光が包み込む

「あなた達のチーム名は・・・?」

光の粒子に包まれたマグマラシがふと訪ねる

「フリップズ・・・フリップズだよ」

ニッコリとマニューラが答えた

「ありがとうございます・・・フリップズ・・・・・・」

「バイバイ・・・お母さんと良いクリスマスをね♪」

ベイリーフが言った後マグマラシを強い光が包み込み上へと消えていった













加筆しました それとロンギヌスさん感想ありがとうございます・・・
メンテ
Re: 吹雪の島 ( No.17 )
日時: 2011/03/06 23:37
名前: ロンギヌス

1年前…ボクまだここ知らなかった時ですね。
一応全部読んで見ましたが、すごく面白くできていると思います(funnyじゃなくてexciting
妙に切ないとこもまた…
メンテ
Re: 吹雪の島 ( No.18 )
日時: 2011/03/15 20:50
名前: ジイア

二人はまた五分くらいかけて洞穴から這い出てこれから行く景色を眺める

とうとう近くに林は途絶え広い雪原が広がっている

「いよいよだねマニューラ・・・・・・♪」

「うん・・・行こうか・・・・・・」
二人は雪原に向かって歩き出した 二人が歩き出してすぐに雪が降り始めた

「マニューラ・・・・・・・・・」

「うん、冷えてきたね・・・寒・・・・・・っていうかお宝目当てに無理なんてしないでよ、ただでさえベイリーフは草タイプなんだから・・・」

「まぁたまたそんなぁ♪せっかく来たんだから何か見つけて帰ろうよ♪」

「そうだね・・・何か見つけれればいいけど・・・・・・」

草タイプ、というレッテルを貼られたことにベイリーフは少し顔を歪めたが今はケンカをする暇ではないと軽くマニューラをあしらった



そして時が20分が経った

吹雪だった さっき落ち着いた様子で降っていた雪が今ではびゅうびゅうと体を打ちつける

二匹はお互い目をつぶりながら必死に歩いていた

と、マニューラが振り向いてベイリーフの方を向きゆっくり歩き出した その先には辛そうに歩くベイリーフがいた

「大丈夫・・・ベイリーフ・・・?」

「大丈夫・・・だよ♪」

ベイリーフは装ったように答えた

その発言にマニューラは僅かな疑いを感じていた

「無理してるでしょ?」

「そんなまさかぁ♪大丈夫だってば♪」

図星だった

「厳しいなら無理はしないでって最初に言ったよね?草タイプなんだよ?ベイリーフは」

「なに言ってんのさ・・・今だって依頼もこなせたんだよ・・・・・・」

マニューラがしつこく聞いてくるのでベイリーフは少しイライラしていた

「でも今はこの吹雪だよ?これでベイリーフが倒れちゃったらさ・・・・・・心配なんだよこっちも」

「だから大丈夫だってば」

「ベイリーフは草タイプで―――――」

「さっきから草タイプ草タイプってなんなの?」

「・・・・・・?」

「草タイプだから寒いのに弱いーなんてまぁたそんなお堅い理論だけで言っちゃってさぁ 馬鹿にしてるの・・・?今私はここに立ってるの分かる?」

お堅い、だの分かる?だのベイリーフの発言にマニューラもカチンと来た

「こっちが心配して言ってるのも分からないわけ?草タイプのくせに・・・」

「ほらまたそうやって草タイプってレッテル貼ってさぁ・・・何回言えば分かるわけ?そっちの心配なんていらないから」

「そもそも心配なんてしてないし」

「・・・・・・」

急なマニューラの対応にベイリーフは口を詰まらせた

「ふん・・・」
マニューラは勝ち誇ったように鼻息をつくと後ろを振り向き歩き出してしまった

「・・・・・・・・・ばか」

聞こえないように呟いて、ベイリーフもマニューラに続いて歩き出した





そして時はさらに経った

ベイリーフは冷え切った体を懸命に引きずって歩いていた
見失ったマニューラを探し続けてどれくらいになっただろう いくら呼んでも返事がないから見当をつけた方向に歩き続ける事になってしまった 見当といってもこれまでずっと真っ直ぐ歩いてきたんだから、とにかく真っ直ぐ進めば良い と言った物だったが・・・

ひどい吹雪の中で探検隊として自分のした事に内心後悔しながらもマニューラを探し続けているのは真面目すぎるあの黒猫が心配だったからだ

あんなケンカをした後だ、マニューラならずっとその事を引きずっているに違いない 草タイプの自分の苦しみなど分かっているのだろうか おまけにマニューラは氷タイプで寒さには慣れている もしかしたら自分より先にずんずん進んでいるかもしれない

不安と僅かな恐怖を身に覚えながらベイリーフは考えていた

-今までどんな時も二人でがんばってきたっていうのに今更そんなこと言わなくたっていいじゃないか・・・ 依頼だってこなせたんだ 吹雪がなんだ 何か見つけてマニューラに思い知らせてやるんだ・・・・・・-

喧嘩したばかりというのがベイリーフのやる気を削いでしまう しかし今はそんなくだらないことを考える暇はない お宝を見つける その為には一刻も早くマニューラを見つけなくては

怒りが自然にやる気へと変わっていた

ベイリーフは出来る限りマニューラに近づこうとその足を早めた







腕で顔を覆うようにして雪を遮って歩いているマニューラ

寒さには元から慣れているものの絶えず体を打ち付ける雪と強い風に体力を奪われていく マニューラでもこのままでは歩くのもままならなくなってしまうだろう 歩みを進める足の先に段々滲むような痛みを感じるようになってきた

-あれから大分歩いてるのに何も見えてこないや・・・ 野生のポケモンも出てこないし・・・とりあえず横穴でも掘って暖をとらなきゃ マッチと薪はまだ余ってるはず これ以上ひどくなるようなら流石に諦めるしか・・・ ベイリーフには悪いことしちゃっ・・・いや・・・別に気にすること無いか・・・-

そんな事を考えながら未だ弱くなる様子の無い吹雪の轟音の中にヒュン・・・と風を切る様な音がしたのにマニューラは耳を傾けた

小さい頃から耳はよかったから気になってついつい立ち止まり探り始める
その音はまた聞こえることもなく今はただ吹雪の轟音が周りでびゅうびゅうと音を立てているだけだった
考えてみたらこんな吹雪の轟音の中でそんな音が聞こえるのも変だろうか それを三時間は聞きっぱなしだったのだ 耳がおかしくなってしまったのかもしれない
うーん・・・と視線を正面に戻したのと風を切るような音が再び聞こえたのは同時だった


「・・・? っぐ・・・!」

マニューラの腹を何かが直撃する めりっと腹に深く食い込むそれに息が詰まるような感覚を覚え腹を抱えるようにしてその場にひざを突いてうつぶせに倒れる

膝と額の三点で突っ伏し、直に当たる雪の冷たさが痛みと変わって襲ってきたがこみ上げてくる吐き気に比べたら大したことはなかった


「・・・・・・マニューラ・・・?」
そのはるか後ろでベイリーフが呟くような声で言った

マニューラのうめき声が聞こえなかったのだろう 不安そうに呼んでみるがマニューラには聞こえるはずがなかった

ベイリーフにはただマニューラがその場に立ち尽くしているような幻影が見えていた

「どこ行くの・・・マニューラぁ・・・・・・?」

歩き出したその影をベイリーフはふらふらとした足取りで追った








「・・・・・・・・・どこから・・・?」
うつ伏せのままずっと倒れていたマニューラだったがひざをついたまま体を起こしキョロキョロと首だけを動かして警戒する

はぁはぁと苦しそうに吐き出す白い煙は激しい吹雪にさらわれる

何かの塊はどうやら氷のようだった と、なると氷タイプのポケモンがマニューラを狙って撃ってきたのには間違いがない

最初のヒュン・・・と言う音が激しい吹雪の中「こおりのつぶて」という技の風切り音だと言うことに気づいたマニューラはその時突っ立っていた自分を思い浮かべ心の中で叱った

後悔しながらも目を凝らし正面をよく見ると何かが地面に浮いているのがかすかに見えたような気がした

「・・・・・・? ぅぐぅ・・・!」

不意打ちはマニューラに大きなダメージを与えていた
痛み自体はマシになって来ているようだが腹を思いっきり殴られた後のような気持ちの悪い感覚がマニューラを苦しめていた

しばらくするとマニューラの体に変化が起きた

体を絶え間なく打ち続けていた感覚がない 奥に進み始めてからそれは急に降ってきた 二匹を苦しめてきた吹雪がやんだのである

しかしすぐに霧のようなものがたちこめ、周りの景色は一切判らないままだ

吹雪が止み 穏やかになった雪だけがマニューラを誘うように地面に降っている
「なんなのさ・・・一体」

腹を押さえたままフラフラと立ち上がった所でまた音が聞こえてきた

ビシュウウゥゥゥ!

「!?」

白い霧の中でそれよりも青白い一筋の光が立ち尽くしたマニューラの横を通り抜ける それが放つ凄まじい冷気は体毛に少しチリチリしたような痛みを与えたが、狙いが外れたということにマニューラは助かった・・・とため息をもらした











「うわああああ!」

次は叫び声が聞こえた いつもの聞き慣れた声 吹雪がやんで嫌と言うほど鮮明に聞こえる

「ベイリーフっ!?」

自然と体が動き出す 痛みは引いたが今はベイリーフが大丈夫かという不安がマニューラの頭の中を支配していた

もしあれにベイリーフが当たってたら? 音にびっくりして大声あげただけなのかもしれない でももし交わせなかったとしたら? ベイリーフは草タイプだ 最悪凍り付いて倒れてしまっていたら?

考えるより先に足は中々動かなかった

仲間を失う恐怖と不安に駆られながらマニューラは後ろにひた走った

この時実際マニューラとベイリーフの距離は100mの間隔を空けていた

深い霧の中ベイリーフを捜しながらふらふらと歩くマニューラ

しばらく走り続けると地面にベイリーフが倒れているのを目にする

慌ててマニューラが近づきその安否を問う

「マニュ・・・・・・ら」

「ベイリーフ!だっ・・・大丈夫!?」



「ニュ・・・・・・早く・・・・・・」

「え?」

「早く・・・逃げて・・・・・」

「なに言ってんのさ・・・ベイリーフ・・・・・一緒に帰ろうよ・・・?」

そう言うとベイリーフは首を横に弱々しく振った

「わたしもうダメ・・・・・・わかるでしょ・・・ だから・・・・・・」

「わかる訳ないよ! どうしちゃったのさ・・・ら、らしくないよ・・・・・・」

驚くほどに声を荒げて言う マニューラは今のようなピンチにぶつかることをわかっていたのかもしれない しかし一番の親友が居なくなることは考えたくも信じたくもなかった いつも二匹で数多のピンチを越えてきたのだ

マニューラが言葉をかけてもベイリーフはなにも答えなかった

「ベイリーフぅ・・・・・・」

「・・・はやく・・・・・・にげ・・・・・・・・・・・・」

ピシ・・・・・・グググ・・・・・・「あっ・・・」
足から凍り付いた氷がベイリーフを包み込もうと浸食していく

そう言うとベイリーフの生気を失った目のまぶたが落ちた

「ベイリーフ!ダメだってばっ!」

返事はなかった

「ダメだってば!・・・・・・ヤダよぉ!ベイリーフ!」

自然と涙があふれベイリーフの体を揺する が、浸食していく氷がそれで止まるわけではない 既に氷はベイリーフの腰の辺りまで包み込んでいた

「ベイリーフ! ベイリーフぅ!・・・・・・あぁっ・・・・・・・・・」


ベイリーフは遠のく意識の中マニューラの声だけが聞こえていた

ベイリーフは心の中でマニューラに謝った

-ごめんね・・・マニューラ・・・・・・私がさっさと諦めようとしなかったばっかりに-
マニューラならどう言ってくれるだろう とふと考えた

マニューラはあんな性格だから自分の死を受け入れてまた明るく生きていけるだろうな と思わず考えてしまう

しかし朝聞いたような言葉をふと思い出す

『自分にとっては・・・・・・それ以前に一緒にいるだけでいいのよ・・・・・・ベイリーフといると毎日が楽しくてさ・・・』

ーごめんマニューラ・・・・・・わたしが・・・わたしがぁ・・・・・・・・ー

マニューラにとって大切なのは自分しかいない、考えて残ったのは悔しさだけだった

意識が途絶えると同時に張り付いた氷がベイリーフの体を包み込んだ

「べいりーふ・・・・・・ぁ・・・・・・あぁ・・・」

まるで水晶に包まれたように見える氷にマニューラは覆い被さるようにしながらすすり泣いた


西の方角からそよぎ吹いてきた風が粉のように煌びく粉雪を運ぶ サラサラ・・・と砂漠に風が吹いたかのような光景が辺り一面に広がる 風が霧を運ぶように東へ流れ、遂にはかかっていた霧が止んだ














更新しました短いのに感想を伺うのはあれですが多くの感想を求めてます
メンテ
Re: 吹雪の島 ( No.19 )
日時: 2011/03/15 22:01
名前: トマート

ジイアさん、初めまして!
トマートという者です。
早速ですが、感想を…

物語自体が細かくて、とてもわかりやすいと思います!
僕にもこんな表現力があったらいいな…と感じましたっ。
メンテ
Re: 吹雪の島 ( No.20 )
日時: 2011/03/27 18:34
名前: ジイア

こちらこそ初めまして!ジイアと言うものです トマートさん感想ありがとうございます! 分かりやすいと言って頂きとても嬉しい心境です♪ トマートさんの作品も読ませて頂きますね♪ ありがとうございます♪
メンテ
Re: 吹雪の島 ( No.21 )
日時: 2011/03/27 18:41
名前: ジイア

最初からそこにいたのが解っていたかのようにマニューラは後ろを振り向いた

最初から自分がベイリーフのことを気にかけていればこんな事にはならなかった、となんだか矛盾しているようだったがベイリーフをやったのはこいつだし・・・・・・何より自分がベイリーフにした事への悔しさをぶつける相手がほしかった

憎い、このラプラスが憎い・・・八つ裂きにしてやりたいくらいだった

2775円
握る拳に力を込めてマニューラはラプラスに向かって走り出した

ラプラスが口元に冷気のようなものを溜めたのをマニューラは見逃さなかった

「・・・!」

それが発射されると同時にマニューラは左に飛び込むように跳んだ 後ろの方にに光と冷気を感じながら直ぐに立ち上がりラプラスに目掛けて走り出す が、交わしたはずの青い光線が途切れることなくこちらに近付いてきているのに目がついた

ラプラスは「れいとうビーム」を放ったまま顔をマニューラに向けてゆっくり動かし、逃げる黒猫を捕らえんとしていた

だがマニューラはそのままラプラスに一直線に走りつづける 僅かにマニューラの速さよりビームが近づいてくる早さの方が早く段々と距離が縮んでいく 最初に襲ってきたのと同じ強い冷気がチリチリと肌を焦がすような感覚に顔をゆがめながらもマニューラは走る足を決して緩めようとはしない

青白い光線がマニューラに触れそうになったその瞬間 マニューラは体を反らすように回転させながらラプラスに向かって跳んだ ビームの周りをクルリと回るように交わすとすぐ近くに驚いた様子のラプラスの顔が迫る

次の瞬間 雪原に鮮血が飛び散った マニューラは回転した勢いで爪を思いっきり繰り出しラプラスの首から腹にかけて強引に引き裂く 生暖かい血液が地面の雪を溶かし、床にこぼした絵の具のように滲む

すぐにマニューラは後退し距離を遠ざけ相手の様子を確認する

ラプラスは目を瞑ったまま痛みとショックで動けない様子だった

今だ・・・とマニューラが目を瞑って右手の拳を握り集中し始める

するとマニューラの右の拳が白く輝き始め周囲に光を放つ

マニューラの誤算はこの時にラプラスから目を離していたことだった

そして暫くするとその輝きが光を大きく放ちマニューラの右拳を包み込む

そして再び走り出すマニューラ

手負いしたラプラスから2m程度離れたところで走り幅跳びの要領で跳んだ そして拳を後ろに構え前に繰り出す

「ハッ!」

しかしマニューラは見逃さなかった・・・・・・きあいパンチを放つその一瞬ラプラスがにぃっと笑ったのを・・・
次の瞬間マニューラの拳は宙を切りその勢いのまま広がる空間に投げ出される

そして次に目にした光景はまだ凍り付いていない冬の湖だった そして振り向くとすれ違い際にそれへとマニューラを押し出した青い鰭・・・



うそ――

ザブン・・・


・・・・・・!

海に沈んだ瞬間にマニューラの体は縮み上がりそうになった 急速な体温変化に体が付いていけず、もがけばもがくほど息も苦しくなり痙攣したように体のあちこちがビクついて思うように動かす事が出来ない

-ダメだ・・・!落ち着け・・・落ち着け!-

心で強くそう思いながらも体は思うように動かず、暗い水中へあっと言う間に沈んでいく 呼吸を落ち着けマニューラは冷静に上の明るみに向けて泳ごうとした しかしどうしたのか体に力が入らず手足が言うことを聞かない

-どうしたんだ・・・・・・力がでない・・・-

その時上の方からざぶ・・・・・・と低い水音がした

「がぼ・・・・・・・・・?・・・」

口の端から小さな空気の泡を吐き出し 淡く開いた瞳でその影を朧気に見つめる マニューラが気付いた瞬間にその影はマニューラに向かって伸び、数秒後には鈍い音を水中で響かせる




「・・・・・・!」

まるで宇宙空間の様にスローモーションにマニューラが吹き飛ばされる 息も出来ないこの状況で巨大なラプラスの強力な体当たりを受けて体の酸素がさらに奪われ、同時に最初のような腹がえぐれたような鈍い痛みを覚えマニューラを更に苦しめる 水の抵抗で吹き飛んだ勢いが緩み始め、ようやくマニューラが落ち着いた時ラプラスはマニューラの正面に回り込み次の攻撃を仕掛けた

ラプラスは口元にオレンジ色をした波動をため込み直にマニューラに向けてそれを放つ

爆発したように水しぶきが上がると同時にマニューラが湖から飛び出してきた
「ぅあ! はぁ・・・はぁ・・・・・・ぅう・・・!」

「はかいこうせん」をまともに受けたマニューラは地面に転がりうつ伏せに倒れ込む ようやく呼吸はできるようになったが冷水で濡れた体に冬の風が直に直撃しひどい寒気が襲ってくる

「くぅ・・・寒い・・・・・・」

すぐにラプラスも地上に這い出てきた その胸には最初にマニューラが繰り出した攻撃の跡がうっすらと残っている それは「じこさいせい」という技のおかげだった マニューラが「きあいパンチ」を放つ準備をしていた時から発動していたのだろう

傷を負った振りをしたのはマニューラに単純な攻撃を誘うための物だったのだ



ラプラスは地上の上でマニューラにヒタヒタと近寄りその足をくわえた そしてそのままマニューラの体ごと易々と持ち上げる

マニューラは体にふんわりと浮かぶような感覚を覚えた 足をくわえられた事には冷水で冷え切って感覚のない足のせいで気づいていない

「・・・? ぐぁ!・・・」

痛みがおそった瞬間に寒気も吹き飛んだ

「・・・!・・・・・・っ!・・・・・・」
雪越しに張っている硬い氷にマニューラがぶつかる度に雪煙がまう

ラプラスは何度もマニューラの足をくわえたまま固い地面に叩きつけていた

運悪く頭でも打ってしまったら元も子もない 出来るだけ腕で頭や体をかばうように覆いながら叩かれるような痛みに必死で耐える

何回か地面にたたきつけられた後ラプラスはくわえていたマニューラを口から離した

「う・・・・・・はぁ・・・はぁ・・・・・・・・・・・・?!っぁぁぁぁあああ・・・・・・!」

氷の上に仰向けになったマニューラにラプラスがのしかかる

「ぅ・・・・・・へぁ゙ぁ・・・ぅ゙・・・・・・ぁ゙・・・」

既にボロボロになった体が更に悲鳴をあげ耐えがたい痛みがマニューラを襲う 足はあらぬ方向にねじ曲げられたまま押しつぶされ体もぎしぎしと軋むような痛みに襲われる

しばらくしてようやくラプラスはそっとその体をマニューラから退いた

「げほっ・・・!」

ぐったりと仰向けに寝転んでしばらくすると気を失ってしまいそうな程の強烈な吐き気とめまいに襲われる
そのまま気を失ってしまいそうになるのを耐えながらマニューラは目を食いしばる

しばらくするとまるで頭痛にでも襲われたように外の明るさが鬱陶しく感じ始め、気持ちの悪いその感覚を遮ろうと腕で顔を覆って外の眩しさから逃れようとする

不意に、塗れた暖かいものがかぶさりマニューラをべろんとこすりあげた

「な・・・・・・?」

鬱陶しそうに目を開くマニューラ その顔は透明な液体に濡れていた

見るとラプラスが口を開いていてその中で長い舌が収まっていた そしてラプラスは口をもにもにと動かしている 味見のつもりなのだろう

味を確認するようにラプラスは長い舌をマニューラに何度も這わせ始めた

マニューラは舌で擦りあげられる度に感じるその暖かい感触に自分でも考えると気味が悪い程の安心感を覚えていた それは恐怖も入り交じった物であった

何回か舐め上げられた後 ラプラスはマニューラの足をくわえた

「はぅ!・・・いやだぁ!」

マニューラにはその行為の意味を直ぐに読み取った

しかし体は痛みで自由に動かずかえってラプラスがくわえ込むのを助けてしまっていた 既にラプラスはマニューラの腰までくわえんとしていた

「やめて・・・・・・」

ホフク前進するように這いずるマニューラ しかし遂には口ごと持ち上げられ触れていた雪の感触もなくなる その地面と離れる瞬間にマニューラの恐怖は極致に達した

「やだぁ!」

あぐっ・・・と口をくわえ込みマニューラを口内へと収めていくラプラス

「あぁ・・・あぁ・・・!」

足で口内を蹴る しかし柔らかい舌に衝撃を受け止められるだけだ

鋭い鉤爪を振るう しかし力なく降られたその腕は空を切るばかりだ

時間が経ちマニューラは既にラプラスの口内に閉じ込められてしまった

マニューラが口内に収まるとラプラスは待っていたかのように舌をうねらせた

飢えたように止めどなくあふれる唾液の海に何度も溺れそうになるが 暖かいそれが冷え切っていた体を包み込む

さらっとした水っぽい唾液が体毛に染み込んでいきマニューラを汚すがラプラスはそうしてにじみ出たマニューラの味を唾液と一緒に喉に流し込むと満足そうにくぅーん・・・と鳴いた

そしてゴクリと丸呑みにした

柔らかい内壁に包まれマニューラが胃袋へと運ばれていく

寒さに凍えていたマニューラにとって胃袋はとても暖かかった

が、鼻を突く何か酸っぱい様な臭いからここに居座り続けたらどうなるかは大体予想がついた

しかし体が動かない 腕は体をかばった時に酷く痛めてしまったし、脚が痛みで動かないのはのし掛かられた時にあらぬ方向に捻ってしまったからだ

今は寝返りでもするように体をもぞもぞと上体を動かすのが精一杯だった

気付くと体は黄色い粘液に浸かっていた

不思議と痛みはなかった 気絶してしまいそうな程のめまいも、異常な吐き気もいつの間にか退いていた

しかし体・・・・・・体毛の生え際がビリビリと痺れるような感覚に体の自由は奪われていた が、その感覚―――体が麻酔にでもかかったような感触はとても心地よく、動けない事に苛立ちを覚えることはなくマニューラは満足げにうつらうつらとしてしまう

何もない真っ暗な空間はマニューラを阻害するものも何もない
いけない・・・と思いつつも眠気は体に容赦なく降り懸かってくる

ーごめんねベイリーフ・・・ベイリーフまで巻き込んじゃって・・・自分が早くベイリーフの事を気遣っていればこんな事には・・・でも自分だって頑張って戦ったんだよ?信じてよベイリーフ・・・・・・ー

マニューラの意識はそこで途絶えた

ラプラスは久しぶりの食事に満足していた これで一週間は持つだろう おまけにもう一匹食事が出来た しばらくは食事の心配がいらない

広がる雪原にベイリーフの遺体だけが転がっていた






















終盤短くなってしまいましたが取り敢えず完結しました 初の小説書きだったので文章力のなさや読みがいもなかったかもしれません・・・ だからこそ読者のみなさまの意見がとても参考になります 最後のお願いになるか分かりませんがこの小説を見た方は是非感想をいただきたいです
メンテ
Re: 吹雪の島 ( No.22 )
日時: 2011/03/27 18:45
名前: スイト

お初のスイトです…
読んでいるとハラハラ感がいっぱいですね…
自分もポケモン好きなのでこういう物語とかはわかりやすくていいです♪
メンテ
Re: 吹雪の島 ( No.23 )
日時: 2011/03/27 18:55
名前: トマート

良く見てみると、たったの7分でこんなに書いていらっしゃるのですね…

といっても、本当にびっくりしました…
とてもわかりやすくて、細かいところまで書かれていて、キャラの特徴などもよくでていて…
すごいですっ。
感動しました…
メンテ

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