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連鎖
日時: 2010/12/12 20:12
名前: S

今回は獣人主観っぽい展開
多分短編で、やっぱぐだぐだです
メンテ

Page: 1 |

Re: 連鎖 ( No.1 )
日時: 2010/12/12 20:17
名前: S

自分の出身は人間から見れば、信じ難い架空の世界
ある人にとっては理想郷のような所にも思えるのかも知れない
しかしそこにも、種族は違えど掟や定め、その他にも目に見えない様々な物がある

良い例が法や罪ってヤツだ
悪しき行いが罪に値し、法に従ってそれ相応に裁かれる
・・・だが裁きの法に納得いかない場合や
罪に該当しない他人ではなく、自分にとっての罪ならどうなるだろうか
前世・・・ではなく、その後はどうやってその罪を滅ぼすか
地の神はそれを教えてくれたのかも知れない

   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「あの山には一体何があるんだろう」
「村長さんも行ったら駄目だって言ってるからね」

いつも言う事を魚人の種族であるシトロと愚痴る
そんな自分は狐の類の獣人
ここは先程口に出した山のふもとにある小さな村

言い伝えでは過去の罪を悔いて、自分も含め獣人という類も、地球に住まう人という種族が転生して
こっちに召されているという・・・でもそこに居ると言う事は自分もその一人なのだろうが
転生する際に前世の記憶は全て消し去られているので分からない
むしろ疑問にも思っていたりもする

話は戻って、その山は村長が言うに訳も教えてくれず
その山に足を踏み入れる事自体が許されない行為であり、それを突き止めたいと思うのも
好奇心で誰もが思うだろう

「黙って一度行ってみない?」
「でもそんな事したら後で・・・」
「肝試しとか言って、冗談で済まそうとすれば何とかなるよ」
「じゃあ・・・それ言ったからには責任を持ってよ?」
「うん、それするとどうなる?」
「ん〜・・・どんな処罰がくd(ry
 ぞ・・・族長さ・・・じゃなかった・・・村長さん・・・」
「ナイスリアクション(笑」

まさに地獄耳・・・
突然会話に入って来たのはこの村の村長とも言うし、この集落一帯の種族を束ねる族長
そんな村長の類は白蛇という、すぱっと言えばほんと変わった種族
または懺悔をしにここへ転生した者への教えを説く神父のようでもある
これでも女性だが、それでもきっと過去に大罪を犯してきたのだろう

「ごめんなさい!今の冗談です!冗談!」
「責任は全部この子が持つって言ってたよね?」
「うん、そう」
「おま・・・」
「さ、こっちにいらっしゃい
 そんな考えをしないようにみっちり説き解したげる」
「ちぇ〜・・・」
「ほほいほい!」
「・・・今のは○佐か?」

   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「あなたは本当に困った子ね・・・ここまでの困ったさんはあなたが始めてよ全く・・・
 それじゃ、今回は人間が精神や気力を高める座禅ってヤツをさせるね、とりあえず
 心を無にして、何も考えないように・・・だったかな、ありゃりゃ」
「はいはい・・・」
「針○どこやったかな、○扇・・・」
「す・・・すいません・・・」
「そんな手を抜いてたら、アーッってなるぐらいまでさせるよ?」
「いえ・・・滅相もないです、ちゃんとやりますから・・・」

「私も子供にそんな事したくないから、ちゃんとしてね?・・・」
「うん・・・」

   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ご苦労さん。元は私が引きずり込んだけどよく頑張ったね
 暗いから家まで送っていこうか?」
「いや、もういいです・・・」

凄く足が痛い・・・
まだしっかり立てない俺と膝を折って高さを合わせると、頭を撫でながら誉める
長く白い尻尾や服が地面に付いて汚れたりしても気にも止めてないようだ
この教会的な大きな建物を囲むようにして、住宅が並んでおり
迷う事なんて無いのも同然なので、頼んでしまえばもっと面倒な事になりそうだ

「じゃあ、暗いから足元に気をつけてね」
「これじゃ夜更かしする時間もないや・・・」

「三分間待ってやる!」
「おやすみなさいっ!」
「それじゃおやすみ・・・また明日ね・・・」

と言うわけで、彼女からの制裁終了
綺麗な三日月が地表を照らし出し、終わった時はすっかり夜だった
姿が見えなくなるまで、逃げるように駆け出していく俺を見送ってくれた

「このままじゃ諦めるに諦めれないな・・・」

なんて有る意味負けず嫌いなその自分の性格が表れる
ちゃんと自分の事を考えてやっているのだから感謝するべきだろうが・・・
それに女性なのだから、過激な事には慣れていなさそうだし

犯られたら犯り返して、引こうとしないそんな行動が災いするという
今後の展開が読めるような気も薄々としていた・・・
メンテ
Re: 連鎖 ( No.2 )
日時: 2010/12/12 20:18
名前: S

色々あったが、獣人を出すのも初めてだったり、今までだったMHやVPみたいな元ネタも無いヤツとなってます
最近MHばっかだったし(マジでMHを****にしてる訳では有りません
友人も3rdの話ばっかだから付いていけないし・・・
メンテ
Re: 連鎖 ( No.3 )
日時: 2010/12/13 00:50
名前: リオレイア

うーむ…
捕食者が気になって仕方が無い…

MHならレイアが一番!次いでラオシャンロン!レウス!クシャルダオラ!
↑暴走中
メンテ
Re: 連鎖 ( No.4 )
日時: 2010/12/13 20:58
名前: S

シトロ・魚・オルニフの歯止め役。妙な組み合わせだがナヤとは幼馴染
オルニフ・狐・四匹のリーダー格。負けず嫌い
ナヤ・鳥・シトロと同じく少々気弱。四匹の紅一点(多分
ジール・狼・オルニフの悪知恵はこいつから。四匹の年長


「何で明け方に行くんだよ〜」
「これなら、肝試しって言ってもバレやしなさそうだけどさ」
「屁理屈並べて、軽く済まそうとする所を司祭様は怒ってると思うけど・・・」
「知らねえよ!そんな事!w」

その他、声を掛けてみれば四人で来てしまった
村長さんは毎日色んな事尽くめで、体はズタボロでよく眠りこけている
昨日の事でさらに体に負担をかけているだろうし・・・
ちなみに司祭様ってのは昨日の村長の事を指し、ナヤがそう読んでいるだけであり
特にそれといった意味はない

「あれも作戦の内・・・なんつったり」
「知らないよ私は・・・」
「何か面白そうだから、来ちゃったけど」
「明け方の山って不気味」

ちらほら色んな話も出ている
村中の獣人が言うのなら見てはいけない物とか、何かしら御大層な物があるはず
・・・の割にはそれといった物が見当たらないが、デマなんてのも分からない

「村は夜明け前だから、それなりに明るかったけどこっちはまだ暗い方か」
「・・・何だかここの山はいたって普通じゃない?」
「それならどうしてあんな事言われてるのかな・・・」
「だから、それを確かめに来たんだろ俺たち(おまけも居るが」

後ろを振り向けば大分歩いて来たようだった
生い茂った草木が被さり、入って来た入り口のような所も見えなくなっている

「ごめん、ちょっと待って・・・体が乾いちゃった」
「陸上で動くのほんとに不慣れだなお前」
「巻き込んだような形なんだから、そんな事言うのやめなよ」
「これでバレたりしたら・・・(笑」
「うるさいな(汗」
「うわ・・・冷た・・・」

俺が色んな罵声を浴びせつづけられる中で、シトロは流れている山の水を浴びて体を潤す
魚人の肌は乾燥しやすく、乾いたりしたら・・・とにかく色々言い出すので
自分は狐という種族でよかったと思っていたり

そういえばここの木の葉はうるおっているというか、枯れているそんな感じがしない
その上剥がれ落ちた木の葉や樹皮も枯れていないし、シトロが浴びている水も凄く透き通っている
この様子だと、ただ自然の結晶たる物のようだが


・・・それからどれくらい歩いただろうか

「・・・ねぇ」
「ん?どした?」
「さっきから、誰かから見ているようなそんな感じがする」
「視線を?」

立ち止まってナヤが、見られているというような感じがすると言い出す
まぁ、ここは何かがありそうだからそれかと思うが、俺は何も感じない

「気のせいじゃないのか?」
「そう思いたいけど・・・なんて言うのかな・・・えと・・・」
「足音に混じって、もう何歩か余計に聞こえる・・・」
「シトロもか?」
「俺には何も・・・」
「うん」
「ほ・・・本当だよ・・・」

ナヤはシトロを抜かす俺たちが、そう感じていないので、やや不安気になって来ている
そういえば、山に入ってから大分歩いてきているな
とりあえずは迷わないようにと真っ直ぐにしか歩いてきていない
戻るのも今の進行方向の正反対へと向かえば10、20分程で出られるから
心配する程でも無いだろう
帰り道の心配も無いし、ようやくこれで何かを掴む事が出来た

その何かの正体を突き止めたいという探究心が今となって、増大して来ているのだが
ここで帰ってしまえば、何も掴めずに怒られるだけになる・・・
そんな事をされても悔いが無いようにしたいと思えば、引くに引けなくなってくる

「・・・やっぱり今日はここ等辺で帰ろうよ
 居ない事に気付かれて騒ぎにならない内に・・・」
「私も・・・何だか怖い・・・」
「・・・どうするよ?」
「じゃあ・・・俺だけでも行って来る
 責任は俺が全部持つから帰って来た時にお前等の分の罰を受けるさ」
「何言ってるんだよ、ここでオルニフが帰ってこなかったら・・・」
「元は俺が撒いた種だから、何とかして帰ってくるさ。・・・行かないのか?」

一人で居れば動きやすい
大発見を独り占めしたいというか、そんな衝動が起こっていて
いつのまにか追い返すような口調になっていた

「んじゃ土産話よろしくな。やっぱ俺は降りるわ」
「そーそー。他人に付き合って、自分が迷惑するような事もないしな」
「オルニフも帰ろ?それといった物を何も見ていない今なら、まだ間に合うかもしれないよ」
「私もそんな物いいから・・・」

何だか面倒な展開になってきたな・・・これは本当に帰った方がいいだろうか
ふと振り返って別の方向を見てみると

ガサッ・・・

「ん・・・やっぱりジールは帰るのか?」
「え?そのつもりだが、俺は動いてないよ?」
「だってさっき、足元の枯葉を掻き分けるような音が・・・」
「僕には何も聞こえなかったよ?」
「私も・・・」

ナヤとシトロが最初に感じた気配は俺には分からず、何故さっきの物音だけが俺だけに?
そういや、さっきの方向を見れば・・・

「・・・・・・・・・」
「どうしたの?」
「・・・お前等には聞こえなかったのか?」
「だってお前が足音立ててるじゃん」
「言ってる意味が僕にはよく・・・」

さっきの方向へ何歩か歩むと、遠ざかるかのように何者かが足音を立てる・・・
いや・・・今は回りこんでいる?・・・となれば・・・

「何だかヤバそうな雰囲気だな、そろそろおいとまし――」
「馬鹿!そっちに行くな!」
「え?――。うがっ・・・」
「ジール!?」

一人がずらかろうとしていたのを見計らって、入り口の方へと続く道へと回り込んだのだろう
竜のようだが翼が見当たらないが、かなり高位の獣人のようなのは確かだ
姿のそいつは遠ざかるような音を立てていたのでは無く、距離を取っていたのだった

回り込んでいるような音を目線で追ってみれば、ジールが振り返った途端に
死角から巨大な腕が伸び、ジールは声を上げる間もなく、ねじ伏せられてしまう・・・

「何これ・・・」
「に・・・逃げるぞお前等!」
「でもジールが・・・あ、待って!・・・」
「ごめん・・・」

村長はあいつの事を言っていたのだろう
となれば、ここは踏み荒らしてはならない聖域だったのだろう
あの場にジールを置いたまま三人で走り出し、逃げられもしなさそうな逃走劇が始まった・・・
メンテ
Re: 連鎖 ( No.5 )
日時: 2010/12/13 20:58
名前: S

リオレイア氏

相変わらずの展開に進んでいくと思いますが
気になるくらいに見てくれているのが、こっちとしてとても嬉しいですw
本当に毎回返信ありがとうございます(涙

自分はレウスも捨て難い・・・獣竜、鳥竜ぐらいしかお気に入りが居ないってのは
それでいて自分が恥ずかしい(汗
メンテ
Re: 連鎖 ( No.6 )
日時: 2010/12/15 21:18
名前: S

・若干(?)の暴力表現あり

誰かに頭を掴まれている
手の大きさからして、普通の種族じゃなさそうだ
でもどれが獣人の普通というのに入るんだろうか


・・・目を開ければ、他にも食えそうな物が無いかと探しているような見たことも無い獣人の姿がある
それも目の前でこの様子では自分という一つ目の獲物でだ

「あ・・・」

そいつが振り向くと唾液の滴る舌が口から覗いている
足下にされている俺には、どうしようも出来ない

「なっ・・・何――」

頭を掴んだままの体制で、もう片方の腕が首元に添えられると

「あがっ・・・ぐ・・・折れる・・・やめ・・・」

まるでレバーでも操作するように頭を至る方向にいじくりまわして曲げようとする
これは喰いやすいように引きちぎろうとしているのかもしれない
いつひん曲げられるか分からない首から妙な音が出続けている

「ぐっ・・・グルァッ!」

気安く頭を掴まれたりと、骨折寸前にまで遊ばれた事に腹が立ち
口元に一番近かった指に喰らい付く

滲み出た血とその血の気が口一杯に広がる
成体ではなくたって狼の獣人
牙は鋭利でそれなりの丈夫さがあり、噛み千切れはしなかったが充分な手応えがあった
竜の両手から解かれて、ようやく動けるくらいの余裕が出来る
・・・しかし、あまりの体格差や力量の差で最初から勝負は付いていたようだった

がしっ・・・

「うわっ!」

ちっぽけな牙で噛み付いての抵抗など物ともせず
抜け出して逃げ出そうとする俺の足を掴まれた事で体制を崩してしまう

「・・・・・・」

捕食され始めたというのに何故か声が出ない
喰らい始めたと思えばとても温かい物で優しく包まれたような感じだったからなのか

ゆっくりと・・・ゆっくりと足から
ここ一帯を縄張りとしている竜の腹へと引きずり込まれていく・・・

「あ・・・」

突然自分の体が宙に浮く
というよりこれは釣り糸にかかった魚が吊り上げられている・・・のような感じだ
上半身にまで食われると覆い被さる様だった体制から体を起こしていた

「は・・・離せ!・・・」

胸元まで呑み込まれ、気ぐるみでも着ているかのような視界
捕食者の視点といった所か
竜の喉辺りから自分の体が包まれているような膨らみがある・・・

「あ・・・あぁ・・・い・・・いやだ!・・・死にたくない!」

ついには首元まで来ると、寝袋でも着たかのような感じだ
樹木から伸びて、空を覆い被さった葉から漏れる日の光で伸ばした手が逆光で黒く見える

「や・・・やめt――」

ごくり・・・

言い切る前に目の前に舌が表れると、幅広い表面で押し込まれ、呑み込まれた

全身が柔らかく、とても温かい物で包まれ
自分が納まった腹を撫でているかのような感触が外から伝わっていた・・・

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「・・・何とか振り切ったか」
「これからどうすれば・・・」

振り切った物のそれは犠牲があっての物
こんな状況では腰を降ろして休む間もない

「とりあえずはこっから降りよう
 このままじゃ、皆まとめて地竜への捧げ物になっちまう」
「そうだね・・・ナヤの方も・・・」
「何で私もこんな所に来てしまったんだろう・・・うぐ・・・」

身も心も成体にはなっていないので、過激な事には慣れてはいない
涙目でシトロにしがみついたままガチガチと震えている
その上背後からは食われ逝くジールの声まで聞こえていたのだから無理も無い


オオオオオォォォォ・・・

「この声・・・」
「まだ喰い足り・・・なさそうだな」

木霊した地竜の咆哮を風が運んで、ざわざわと木の葉が風で揺れる
天気は良くとも、この状況が今の俺達には全く持って不釣合いだった
メンテ
Re: 連鎖 ( No.7 )
日時: 2010/12/15 21:18
名前: S

足からの捕食を書くの無理してたと自分は思う
明日は三者面談・・・あぁいやんなる
メンテ
Re: 連鎖 ( No.8 )
日時: 2010/12/16 19:57
名前: リオレイア

良いなぁ……
きっと地竜さんは優しく食べてくれる…
捧げ物になりたい…
メンテ
Re: 連鎖 ( No.9 )
日時: 2010/12/18 16:55
名前: ロンギヌス

地竜さまー…どうかお口へ入れさせてくださいまs…(殴

三者面談どうでした?僕は………うん…
メンテ
Re: 連鎖 ( No.10 )
日時: 2010/12/19 22:36
名前: S

「オルニフはどう責任取ってくれるの!?ジールが食べられちゃたじゃない!」
「ば、馬鹿!でかい声出すな!今のこの山には俺達しか出入りしてないんだぞ!?
 餌つったら俺達しか居ないんだから、場所がバレちまうだろが!」
「う・・・ご、ごめん・・・」

あの時が余程応えたのかナヤはすっかり取り乱している
ジールは俺達だけではなく、ナヤにとっては兄貴分のような存在だったのだから
こうなってしまうのも無理はない・・・
獣人が獣人を喰らうなんて、あの光景は自分でも信じられなかったのだから

「とにかく・・・まずはここから降りる事
 その後は村長さんが何とかしてくれるはず。そのさらに後はしっかりと俺が世話になってくる
 たとえ何十年掛かろうが、俺がジールに報いるのにはそれくらいしか思いつかないがな」
「わ・・・分かったよ・・・」
「でもここの地形がどうなってるのかも分からないのにどうやって?」
「・・・何とかする、任せろ」

オルニフは狐の獣人、狼の種族のジールとも仲が良かったのだから
並大抵の道なら分かっているのかもしれない
本来なら来た道を普通に戻るのが手っ取り早いのかもしれないが、地竜に見つからずに抜け出すのは至難の業
遠回りになってもこの際仕方無い
とにかく今は生きていれば・・・


地竜が作り出した巨大なスケールの大自然の山がどこまでも続く・・・
まるでこの世界全てを覆っているかと思えるくらいに一向に出口なんて物は見えてこない
ただひたすら出口を目指して、林を歩いていき

「しっ!ヤツが来る!」

地竜に見つからないように息を潜めてやり過ごして、地道に進んでいく
鋭い狐の勘を甘く見ない方がいいな・・・



そして何度目の事やら・・・

「まただ・・・どこかに隠れるぞ」

その場をやり過ごす為に手頃な岩陰を見つけて隠れる
・・・しかし、僅かずつ慣りつつあったいつもとは何かが違っていた

「・・・所詮狼の嗅覚なんてこんなもんか
 あの三人は俺をほったらかしにして、どこに隠れているやら・・・」

声がする
だが今出入りしているのは俺達ぐらいしかいない
だから声が聞こえるなんて有りえない
その上・・・

「・・・今のジールの声?」
「私にもそう聞こえた・・・」
「そんな馬鹿な事が・・・」

よく理解出来ない
嗅覚を使い、声も発するいったらジールしか心当たりが無い
でもあの状況下で生きているなんて、腹を裂いて這い出たとしか・・・
・・・いや待て、これは・・・

「迎えに行こう?」
「うん、よかった生きていて――」
「待て」
「えっ・・・」
「よくあいつの声を聞いてみろ」

隠れている場所から抜け出そうとしたナヤとシトロの腕を掴む

「早イ所炙リ出シテヤルカ・・・
 下ノ方カラノ久々ノ捧ゲ物ガ四人モ来タカラ、無駄ニ出来ナイシナ・・・」
「ジールの・・・声じゃない?・・・」
「そ・・・そんな・・・」

地竜が声を発しているように聞こえる
だがよく聞いてみれば、人間の言葉でエフェクトがかかったもどきっていうかそんな感じの声だったからだ
追い詰められたヤツ程救いの手を求める
そいつに似た声がジールに被さったのだろう

「やっぱり・・・食べられちゃったのか・・・」
「嘘・・・でしょ・・・」
「もう俺と悪戯出来なくなるんだな・・・」

気付かれないようにヤツの様子を伺う

喰らったのは成体には程遠い獣人だったからなのか
一人呑んだにも関わらず、腹の方は比較的大して膨らんではいなかった
更なる飢えを満たす為の糧を涎を垂らしながら探す程空腹と覗える・・・

長い年月を待ち続け、俺達を久々の捧げ物と捉えている・・・
それも四人で、仮に全員捕まっては食われ、腹に納まっても飢えを満たせるのか分からない

「お、おい!ちょと待て!あいつの正体はもう分かったも同然だろ!?」
「話してみる、そうでもしないと分からないから」
「お・・・お前なぁ・・・」
「あ・・・待って!ナヤ・・・」

「・・・放っとけ、ナヤには悪いがこの間に俺達は抜け出そう」
「え?でも・・・」
「せめてシトロだけでも連れて帰る
 それともお前はナヤが喰われる様でも見て楽しむ気か?」
「いや・・・そんなつもりは・・・ごめん・・・」


   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ジール!」
「なや・・・迎エニ来テクレタノカ?・・・」

姿は変わっても何処となくジールの気配というかそういう物が感じる
もしかしたら本当に分かってくれるかもしれない・・・
落ち付いて聞けば恐ろしい声にも怯まないように

「ジール・・・でしょ?私――」
「ソンナ事ドウデモイイ、ソッチカラ出向イテクレルトハ手間ガ省ケタ」
「え?――、あ・・・」

気付いた時は首元を狙った腕で押し倒されていた
地面もよく肥えていて、押し倒された際に感じた痛みを全て奪い去っている
自身は大分地面にのめり込んでいるようだった

「鳥カ・・・今マデ色々有ッタガ鳥人ヲ食ラウノハ初メテダナ・・・」
「そんな・・・わ・・・私・・・」
「俺ガ恐ロシイノカ?兄貴ノヨウニ慕ッテイタ俺ガ」
「い・・・いやぁ!やめて!・・・」
「ククク・・・そんなか弱い力抵抗してくれるなんて、可愛イ奴ダナァ・・・」
「は・・・離し・・・」

やっぱり分かってくれていないのだろうか・・・
本当に声だけしか似ていないようにも思える
いや、ここで怯んでしまえば・・・

「オイオイ、ソコマデ暴レテクレルナ・・・ダガ見レバ見ル程美味ソウナ獣人・・・
 ドッチカラ口ニス――」
「・・・・・・・・・」
「な・・・なや?・・・ナニ・・・シテ・・・」

今も震えが止まらず、嘴がカチカチと音を立てている・・・
成体ではないので飛行は出来ない翼を広げて、震えが伝わっているのだが地竜の頬を撫でる
オルニフと同じくして、司祭様によく怒られるジールにおふざけでもよくこうしてやり
必ずその行為を受け取ってくれたのだからだ・・・

「私はいやだよ・・・ジールが居なくなるなんて・・・皆悲しむから・・・一緒に帰ろう?」
「夢ノ見過ギダ・・・コノ姿デ共ニ過ゴセル訳ガ無イダロウ?」
「じゃあ・・・もう・・・」
「オ前モ辛イダロウガ・・・俺ハオ前ト戻レナイ・・・スマナイナ・・・」

まるで記憶の中のジールのようだった
地竜が大きな手で私を抱き締める・・・
何故か涙が伝い、何処となく優しい感じがして、私も地竜に抱きついてしまう

「ジ・・・ジール・・・」
「ソコカラ助ケテ欲シイカ?・・・簡単ナ事ダガ」
「・・・私も食べられないといけないの?」
「じーるト離レタクナイノナラ・・・ナ
 デモ俺ヲ見テシマッタノダカラ、オ前ヲ食ワセテモラウ
 ドノ道じーるダッテモウ喰ッチマッタノダカラ戻セナイ
 ソレニオ前ヲ喰ワズニ逃ガス訳ニモ行カナイ」
「・・・いいよ、じゃあ私も・・・食べてしまって・・・
 どうせ死ぬのなら、あなたがジールである時に食べられたい」
「良イ子ダ・・・」

我慢し切れなかったようで口からは唾液があふれ出る
頭を撫でながら舌なめずりし、最後の台詞を吐き捨てると、大きく口が開く・・・

「ソノ勇気ニ免ジテ、ユックリト・・・ソシテ痛ミモ無イヨウニ頂イテヤル・・・じーるト同ジクナ」
「うん・・・」
「オ前ハトコトン可愛イ奴ダナァ・・・アァ・・・ヤッパリ誰ニモ渡シタクナイ・・・コレカラハズット俺ノ物・・・」
「覚えてて・・・くれたんだ・・・」

そのまま頭から喰らいだす・・・最後のはたまに私に言うジールの言葉だった
いつのまにか恐怖心は消え失せていて、地竜に食べられてしまうのを喜びにも感じている
地竜のお腹にジールが居るのだからだろうか・・・


バサバサッ・・・バサッ・・・

上半身を呑み込んでしまった時に、ジールに再び会えるという喜びに耐えられず
押し込まれているようなこの体制で、無理矢理広げられていた翼が羽ばたき出す音が聞こえる

下半身まで呑み込まれた時には上を向いていたようで落とされるような斜面が付く
そしてつま先をも包まれると・・・


ごくっ・・・

飲み下された音がした後は、斜面がさらに急に・・・というより、落とされたかのような重力が体に宿る
今は地竜のお腹へと続く一方通行なのだろう
どの道もう私には戻る気は無い

「このままずっと・・・一緒に居たいよ・・・」

とても温かい空間・・・安心感が込み上げて、強烈な眠気が襲ってくる・・・


   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「グフッ・・・鳥人種ノなや・・・カ・・・久々ノゴ馳走ダッタナ・・・
 じーるト永遠ニ一緒ノ空間ハドウダ?・・・肉体ヲモ差シ出セル優シイ気持チハ実ニ嬉シイ・・・」

ぐぐっ・・・どぷり・・・


膨らみと化したナヤが喉を下っていき、腹の膨らみと混ざり合う・・・
狼の獣人を呑み込んだ時はとても空腹だったのだから、満たされる時はかなり応えたが、もう何とも無い
それにしても下の方は獣人を捧げ物に・・・それも四匹も出してくれるとは、何十年ぶりだろうか

「マダ喰イ足リナイ・・・アノ二匹クライナラ、マダ腹ニ入リソウダナ・・・」

ナヤも取り込み、一段と膨らみが増した腹を撫でる・・・
獣人を丸呑みにする事、二回目・・・いつしか地竜は丸呑みにするという事に快楽を覚えていた・・・
メンテ
Re: 連鎖 ( No.11 )
日時: 2010/12/19 22:38
名前: S

逝かし方って、あんなんでよかったのかな
カタカナで喋るのなら半角にした方がよかったかななんて思ったり

地「今みたいな後書きのペラペラは仕様です
  今回はジールエディションで」
A:お前エディションって意味分かってる?(作者に対して


リオレイア氏
地「そりゃあ・・・折角もらったんだから、味わって喰わないと・・・って事で頂きます♪(謎」
A:う〜ん、彼食願望が無い自分は喰い応えがあるのか・・・

食べ物(特にかじり系)系統は
人体の柔らかい食感が好きで、捕食はじわじわと呑み込むのが通との事です


ロンギヌス氏
地「いいっすよ!あの四匹じゃ喰い足りないからっ!」
A:攻めなさい、いっその事

お供え物はしっかりと受け取ってくれるみたいです

三者面談・・・ですか、進路先の事とか、精神的にねじ伏せられてしまいそうです(汗
それから前二人が******なもんだから(自分が言えた物じゃないが
開始も帰って来た時間も予定より一時間も送れました(汗
地「↑実話です」
メンテ
Re: 連鎖 ( No.12 )
日時: 2010/12/23 00:48
名前: S

「はぁ・・・はぁ・・・」
「今度はナヤまでもが・・・だから言ったのに・・・」

地竜からは振り切ったが、それもまた犠牲が有っての物
分かった事はあの様子じゃ会話なんて通じないので、自分の力でしか逃げ切れない事がはっきりした

「・・・やっぱり僕等も同じよう――」
「馬鹿野郎!諦めんな!元は俺のせいなんだから二人食われたってお前だけでも返してやる
 ・・・もうあいつは完全に聞く耳持たずの捕食者ってヤツだ
 どうせ食われた奴は助かりもしないのにナヤで遊びやがって・・・」

弱音を吐き始めるのも分からないのでもない
正直な所結局食われる事になったのが許せない
あれなら話なんて聞かずに喰われる方がもっと姿と似つかわしいくらいだ

「そ・・・それから問題が・・・」
「何だよ?」
「大分陸上を走ってきてるから、体が乾いてきてて・・・」
「それくらい我慢しろ、死にはしないんだろ?」


「まぁこの程度なら何とか・・・
 でも完全に乾いてしまったら、パリパリに干乾びて身動きが出来なk(ry」
「この状況で縁起でも無い事言うな!馬鹿!この馬鹿!」
「ちょ・・・ちょっと、そんなでかい声出しちゃ・・・」

これはよくある事なのだが、シトロは結構几帳面・・・というかそんな事を言い始めて、真面目な時がたまに無くなる
この状況であるにも関わらずにだ(汗
・・・というよりまずこの状況を理解しているやら
魚人は大半の皮膚が水分を含んで潤っているのだから、陸上ではあんまり激しい運動が出来ないんだったな
ロクに休んでもいないし、たった2、3時間程で走ってばっかだから、この際は仕方無い

「だが潤すにしても水辺は流石に分かんないしな・・・出口だけを目指して、走ってきてるから・・・」
「分かったよ・・・もう少しは我慢するから・・・あー痒い・・・」
「あんまり掻き毟るなよ?
 怪我でもして、逃走劇に支障が出ない程度に・・・なんて問題じゃないか」

乾燥して痒みが出たのか、手で軽く掻き始める
そこばっかに集中してくれないように祈ろう(汗

「風向きは・・・こっちか、あっちから風が吹き込んでるって事は・・・」



   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「あっ・・・」

ドサッ・・・

長い間進んでいる間にシトロが躓いて倒れてしまう
そういえば動き方が僅かに機械仕掛けっぽくなっていた

「だ・・・大丈夫か?ほら掴まれ」
「あ・・・ありがとう・・・手間かけてごめん・・・ごほっ・・・」
「もういい喋るな、体が乾燥してるんなら喉もだろ?掻くな、馬鹿
 お前はまだ鱗が出来ていないんだから、裂けるぐらいに干乾びてるかも知れないだろが」

シトロの体が乾燥して硬直してきたようだった
痒みもあるようので無理して掻こうとしたシトロの手を掴んでやめさせる
狐の自分の体毛にすら水分を吸わないくらい乾燥していた

「・・・水のような匂いもしないか。どうすれば・・・」
「痒い・・・」
「だから掻くなって言ってるだろ?その腕へし折るぞ」

やっぱりどこかで体を潤してやらないとこの様子はヤバそうだ・・・
だが近くに川はおろか水溜りすら無い

「・・・なんてこった・・・こんな時に・・・絶対喋るなよ?それからもう掻くな」
「う・・・うん・・・」

シトロを連れ、手頃な草の茂みに身を隠す
更なる食い物を探して未だに俺達を追っているヤツも居る


・・・辺りを2、3回程見渡して、何も居なさそうと思ったようで別の場所へと歩いていく
ジールが喰われ・・・ナヤが喰われ・・・もうヤツは慣れた・・・
こんな事に慣れるなんて自分自身が少しずつ変になってきている
次に使われる声は分かってきた
だがそんな事はまだいいとして、今はシトロの方だ

「つ・・・痛い・・・」
「しっかりしろ・・・」

ついには瞬きするだけでも激痛が走るようで両手を顔に当てて堪える
掻いてはいないのだが、このままじゃ本当に・・・

「ん・・・」
「オ・・・オルニフ?どうし――わっ!?」
「しっ!」
「ぐ・・・ごほごほ・・・」

シトロは突然離された事に驚いて、体は限界なのにリアクションを取る
・・・それは水辺・・・それも池を見つけたのだからだ
きっと雨水などが溜まって出来た水溜りであろうが、浴びる・・・いや、泳ぐにしても丁度いいくらいだ

恐らくは喜びのあまり駆け出していくに違いないと思い、こうでもして落ち着かせただけである
訳をちゃんと話して、再び担いでは近くまで行って、シトロを寝かせる

「染みるかもしれないな・・・少しずつ浴びさせ――」
「これくらいは何ともないよ。じゃんじゃんかけちゃって」
「・・・それから変な声は出すなよ?」
「くっ・・・あぁ染み渡る・・・」

・・・魚人というのは何だか変わった種族だ
シトロにばしゃばしゃと水をかけてやると、その内

「あー、もう我慢出来ないっ!」
「いきなりキャラまで変わりやがって・・・
 ここまで誰が背負って来たと思ってやがんだ、こんちくしょーめ」

折角かけてやってあげていると言うのに、起き上がって池で泳ぎ始めた
一度全身が水に浸されたぐらいで見違えるぐらいにぴんぴんしている
にしてもこの状況だってんのにはしゃぎ過ぎだろ・・・まぁ自分も充分ガキなんだから仕かt(ry
・・・鬱になってくるのでやめとこう

「・・・もう体の方は何とも無いか?」
「ほんとにありがとう。手間かけてしまって・・・」
「この騒ぎを聞きつけてあいつが来ない内にさっさと行くぞ」
「あ、待って」

水面から顔を出したシトロの目の色がすっかり変わっている
顔色が悪そう → 回復すると → ああなる。ってのがよく分かった(意味不

「ん・・・ちっ、もう来やが――」
「ふぅ・・・よいしょっと・・・あ、あれ?オルニフどうし――」

「ウオオオォォォ!!」
「危ないっ!」
「わぁっ!?」

地竜は池から上がろうとしているシトロ目掛けていた
シトロを突き飛ばして避けさせる
せっかく吸った水分を吸わないように片手で・・・何だか面倒な・・・

「間一髪だったな・・・早速だが走るぞ!もう大丈夫だろ?」
「え・・・あ、うん」

シトロ目掛けた地竜の腕にかすって、毛並みが少しだけ乱れて散る
にしても無防備なヤツからだったのか、それともこんな事を作った元凶が俺だからなのか
どうして俺だけこんな後回しにされる?・・・

「・・・ふー、振り切った・・・か?」
「何だかあいつの足凄く遅いね・・・不自然なくらいだ」
「二人も呑んだから、身動きしづらくなってるとかだろな。・・あいつの腹見たろ?」

一人呑まれたぐらいの大きさだった
あの時間で最初の一人を消化し尽くすなんて、竜の胃酸は侮れない・・・のか?

「ククッ・・・爪ガ甘イナ」
「え――ぐあっ!?」

ジールを襲った時のように死角から手が伸びてきて、ついに捕えられてしまう・・・
地竜は地を司る神様だけあって、大自然に馴染んだ体色をして、よく分からなくなっていた
・・・まだジールボイスか

「散々手間カケテクレタナァ?」
「ぐ・・・がっ・・・シ・・・逃げ・・・」
「あ・・・あぁ・・・あ・・・」

狙いすまされた軌道が自分の細い首をしっかりと掴むと、ゆっくりと上がり締め上げていく
いきなりのこの展開だったのか、シトロはすっかり腰が抜けてしまっている
とにかく今は・・・

「こ・・・こいつはどうだ!・・・」
「グゥッ・・・」

首を掴まれた手首を力一杯に切り裂く
手応え有りのようで、地竜の腕から解け、呼吸が楽になる

「ぷはぁ!早い所逃げろ!そこを真っ直ぐ行ったら見覚えのある所に出るはずだ!」
「で・・・でもオルニフは――」
「うっせぇ!馬鹿!とっとと行け!」

怒鳴り声になりかけた声でとにかく動かそうとする
少しおろおろとしていたが、分かってくれた様だった
林の影へシトロが消えていく・・・

「トコトンヤッテクレル・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・何故俺ノ邪魔ヲスル?」

地竜は傷口から流れ出ている血をペロりと舐めながら、問い掛ける
無言で両手を広げて、地竜の行く手を阻む
地竜は何故か目を瞑り、そして開けると・・・

「・・・先ニアナタカラ食ベラレタイノ?」
「ナヤ・・・やっぱりか・・・」

瞳の色が変わっている・・・
それだけではなく、あの時喰われたであろうナヤの声にまで変わっていたが
いつもの声ではなく、少し大人びたような声だった
地竜はゆっくりと俺に手を伸ばして来る・・・

「ドウシテ自分トナレバ抵抗シナイノ?
 アナタハ最後ニ残ソウトシテタノダケレド、サッキノ鳥ヤ犬ナラトモカクトシテ、アノ魚ニハ特ニ・・・」
「シトロだけでも逃げてくれりゃ・・・さ
 ジールは助ける猶予が無かった。ナヤは逝っちまったから、ああなったら何言っても仕方無い」
「自分カラ竜族ノ生贄ニナッテクレルノナンテ、結構居ル物ダケドネ
 高位ノ獣人ノ糧トナレバ、来世モ保証サレル・・・ソンナ事ハ知ラナイ?」
「・・・知るかいな、そんな事」

首元を掴んで押し倒されるが抵抗はしない
全ては俺が撒いた種なんだから、最後に捧げる食い物は自分でいい
こうして話していれば時間稼ぎにもなる
せめてシトロだけでも生きて帰れば、それでよかった

「クスクス・・・ソノ年デソノ心ノ器・・・近イ内、立派ナ神獣ニナレタノカモシレナイノニ」
「九尾の狐か?今は尻尾は一本しか無いんだが」
「勇敢ネ・・・アナタノ友人ガ羨マシ――」
「そんな獣人をむしゃむしゃと貪るのなら、お前も助けてやりたいけどさ
 それが自然の摂理なんだから、本来は黙って喰われるのが普通か」

神獣か・・・自覚が無くても、才能は目覚めていくんだな
最後の言葉、それは本当に適当に言ったつもりだった

「・・・ドウシテ・・・皆ソウ思ウノ?」
「は?」
「結局助ケモ出来ナイノニ、皆私ヲ助ケヨウトシテ・・・和解シヨウトシテ・・・」
「そりゃお前がそんなんだから――」
「コノ醜サヲオ前ニ分カルノカ!?」

怒っている・・・のだろうか?
いつのまにか地竜の瞳が潤っていた

「竜族デアルニモ関ワラズ・・・翼ヲ持タナイ竜トシテ生マレタ
 ソシテ人間ノ世界ノ言葉ヲ話ス事ガ出来ル種族ダガ
 私ハコウデモシナイト言葉トイウノヲ発スル事ガ出来ナイ・・・」
「ど・・・どうした・・・んだ?・・・」
「空ヲ舞ウ事モ出来ズ・・・話ス事ガ同族トデシカ出来ズ・・・
 ソレハ本当ニ竜ノ類ナノカ疑ウグライノ醜サデ、一族ノ中デハ格好ダケノ魔物ノヨウニモ扱ワレテキタ・・・」

「魔・・・魔物?・・・」
「後ニ竜族ソノ物カラ追イ出サレ・・・挙句ノ果テニハ肉親カラモ捨テラレテイテ・・・
 物心付イタ時ハコノ山ニ一人ダッタ・・・」
「・・・・・・・・・・」
「私ハ・・・私ハ何モヤッテイナイノニ・・・ドウシテ・・・コンナ事ニ・・・」

いつしかぽたぽたと熱い大粒の涙が零れ落ちている
竜族は聞いた事ぐらいはあり、稀なヤツも居る物と思っていたが、まさかここまで・・・
それもこんなとは思っていなかった

「ズット一人ノ私ニ対シテ、オ前ハアノ獣人トトテモ仲ガヨカッタ・・・ソレハ何故ダ?」
「何故って・・・言われてもな・・・」

「ククッ・・・ソウカ、オ前モ同ジダナ・・・」
「・・・え?」
「結局ハソウヤッテ、私ガ苦シム様ヲ見テ楽シミニ来タノダロウ?
 種族ガ違ウ物同士デ戯レアエバ、サゾカシ楽シカロウ・・・孤独ガ付キ物ノ私ヘノ見世物カ?」
「あ・・・いや・・・そんなんじゃ・・・嫉妬してんのか?」

潤ったままの地竜の瞳の色が黒く変わる・・・あの前に戻ったようだ
それに聞きなれていた口調がやけに上品になっているというかそんな感じだった

「食イ物ノ分際デ今マデ逃ゲ回ッテクレタガ、ココマデサレテハ手モ足モ出マイ・・・」
「あ・・・あぁそうだな・・・」

もう覚悟は出来ていたのだから思い残す事は無い
・・・だが信じていた救いの手が、こんな形で真実を教えられるとは思ってもいなかった

「・・・コレデ人ノ忠告ガ素直ニ聞ク物ダト分カッタデショウ?」
「え・・・な・・・何でそれを・・・」
「オット・・・私トシタ事ガ少シ喋リ過ギタカ」

村長からのいつもの言葉だったが、声はナヤのまま
彼女を頼れば何とかしてくれると思って地竜から逃げ続けていた
しかし地竜の正体が俺の村の長だった?

「嘘ばっかし・・・村長は白蛇の類だろ?なのにどうしてそんな色をして――」
「模様ヤ体色ハタダノ飾リッテ事ハマダ分カラナイ?
 最モ今ハソンナ事ナンテ関係無イケド」
「ま・・・まさか・・・本当に・・・」
「コンナ時クライハ、大人シクシテ頂ダ――」

「や・・・やめろ!」
「痛・・・」
「うが・・・爪が・・・」

爪を立てて、地竜の頬を引掻く
何処も彼処も凄く硬かくて、傷は付けた物の爪の方が割れてしまい、出血する

シトロが仮に辿り着いたとしても、地竜の正体がこれではどの道餌だ
捕食される覚悟ではいたが、この展開じゃただの無駄死だ・・・
引掻いた勢いで体を転がして、立ち上がろうとするも・・・

「あぐっ・・・」
「手荒ナ事ヲシテゴメンネ・・・コノママ足カラ頂クノモイイケド、活キノイイ物ハ頭カラガ好ミダカラ」
「い・・・いやだ!・・・やめてよ!族長・・・いや村長さん!・・・」

狐独自の長い尻尾を掴まれてしまう
獣人は尻尾を引っ張られる事だけは凄く痛い

「竜族ハ高位ノ獣人ニ値スル。ダカラソノ後モ大丈夫」
「そんな問題じゃ・・・じゃ・・・じゃあシトロだけは――」
「私ノ正体ヲ知ッタ者ハ生カシテオクワケニハイカナイ。残念ダケド・・・」
「何だよそれ・・・正体は地竜なんて俺は知らないよ!」

丸みを帯びた爪がある指先で顎をなぞられ、捕食されるという恐怖心が湧き上がってくる
覚悟は出来ていたというのに、さっきの心構えは何だっただろうか・・・
地竜の大きく口を開くと口内に残っていたナヤの羽がはらはらと落ちて来る・・・

「わ・・・悪かったよ・・・俺が悪いなら謝るから・・・村長さん許してよ・・・」
「・・・・・・・・・」

無言で頭から喰らい出す・・・何度もさせたのに反省の色が無しだからだろうか
ここで反省しても今までがああだったら分かってもくれないから自業自得か・・・

人間のおとぎ話であったような展開・・・確か狼少年だったっけ
いや、自分の場合は言い訳して軽く済まそうとする所からもっとタチが悪い
ナヤも村長さんもそれをよく怒っていた・・・

あの時は・・・ナヤとかシトロ達で遊び明かして、ジールは頼れる兄貴分だったな
自分がどれだけ恵まれていたのか分かった気がする
何も知らずに過ごして来世を待っていればよかったのだ・・・

どうしてこんな時に反省するのだろう
今始めて本当に申し訳無いような事をしたんだとも思えた


「もう・・・悪い事はしないよ・・・大切なヤツにも迷惑だって・・・」

偽りの無い懺悔を始めてやった
目の前は真っ暗になっていたが、何処となく優しい温かさが有る
誰だって謝れば許してもらえるなんて思っているが、自分の場合はどうなるんだろうか
・・・最後まで世話になってしまった

「ごめん・・・なさい・・・」




その言葉を待っていたかのように、直ぐに優しく包み込む音がした・・・

   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



通過が僅かに悪くなっているのか、ゆっくりと三人目が地竜の喉を下る・・・

ぐぐっ・・・ごくん・・・

抵抗がとても激しかった狐の獣人も喰われてしまえば糧となるしかない
納まりきった後に口元から蠢いていた尻尾を呑み込む
でっぷりと膨らんだ腹を撫でながら、最後の獣人を求め再び彷徨う・・・
メンテ
Re: 連鎖 ( No.13 )
日時: 2010/12/23 01:20
名前: リオレイア

あうう…
そんな可哀想な過去があったなんて……
贄なら僕がなります!
メンテ
Re: 連鎖 ( No.14 )
日時: 2010/12/23 23:18
名前: セイル

あぁ〜
すばらしい話です〜
やっぱりs様はプロですね
僕ではこんなすばらしい文章かけません
コメントもたくさんで羨ましいです〜
メンテ
Re: 連鎖 ( No.15 )
日時: 2010/12/29 00:08
名前: S

「グルルルル・・・」

「オ・・・オルニフ・・・嘘だろ・・・」

見覚えの有る場所というのは、最初に来た時に浴びた流水の場だった
自分を逃がそうとしていたオルニフには悪いが、身を潜め待っていたがあの声・・・
この山にはついに自分一人になった

地竜はまるで直ぐ近くを通っているようだ
絶対に声を上げないようにと口元を両手で抑えて、必死にやり過ごそうとするが震えの方は止まらない

「!?・・・」

歩んでいるような足音が止まると、はらりと何かが目の前に落ちて来る
ガタガタと震える手で拾い上げると

「ナヤの・・・羽根?・・・」

薄い白色をした黄色い羽根だった
それだけではなく、粘着性を含んでいるような液体が何滴か落ちてくる

「ミツケタ・・・」
「あ・・・う・・・うわあああああああ!」

上を向くと地竜が覗いていた
体が硬直してしまわない内にとにかくその場から逃げようとする

「ドウシテ皆私カラ逃ゲルノカナ・・・」

頭上から地竜が落ちて来る・・・だがヤツは足が遅かったはず・・・逃げ切れない訳はない
オルニフが喰われ、さらに身動きがしづらくなっているはずでも・・・
・・・でもどうして僕だけが逃げ続けるのだろうか

「ぜー・・・ぜー・・・」

やはり魚人はとても乾燥しやすい・・・そして陸上では体力が長く続かない
もう地竜の姿は見えなくなっているのだが、確か保護色・・・というのか、この風景に馴染んで見えなくなるはず
だから油断は禁物・・・そう心得ていたつもりだった

バキバキッ・・・

「え・・・なっ・・・あわわ・・・」

音を立てて何本かの枝もろとも折りながら、地竜が倒れ込んでくる
脚力の無さを巨体で補って、捕えるというやり方だろう
巨体に似つかわしく、まるで岩のように凄い重さだった

「つ・・・いたた・・・」
「ヨク逃ゲテコレタナ・・・嘘ハ駄目ダロウ?大分走レルジャナイカ・・・
 誰ガココマデ助ケテヤッテキタト思ッテイルンダ?」
「オ・・・オルニフ・・・そ・・・そんな・・・」

オルニフの声で最後を迎えるのは想像したくも無かった
声所か、目の色までオルニフそっくりだった

「や・・・やめてよ・・・オルニフ・・・」
「・・・最後クライハ俺ノ言ウ事ヲ聞イテクレルカ?」
「な・・・何・・・」

内心では聞かずとも分かっていた
だがオルニフ・・・いや、地竜の言う事も一理ある

今までオルニフが居たから逃げ続けてこれた。僕は足手まといも同然
オルニフだけならもう村に辿り着いていただろう

あの時は僕がそのまま捕らえられればよかったのかもしれない
普段はあんなんだが、とても責任感が強かったのは初めて知った

「オ前ノソノ泳グ為ノひれガ欲シイ・・・」
「は・・・」
「狐ニ犬・・・コレハソコソコダッタガナ。ソレヨリ鳥ヲ頂イタカラ、翼ヲ出来ルノガ楽シミダカラ
 今日ハ運ガ良イ、泳ゲル力モ手ニ入ルノダカラ・・・」
「何・・・言って・・・い・・・いやだよ!食べないで!・・・大体そんな事したって――」

「何モ目立ッタ特技ヲ持タナイ俺ニ対シテガ、ソノ反応カ?・・・鳥人ガドウ影響スルカガ楽シミダナ
 オ前モ、イイ加減ニ大人シク喰ワレロ」
「うぐ・・・そ・・・そんな事・・・」

幅広い舌で味見をされる・・・
そんな事したって、こんな能力は手に入らない。そう伝えようとしていたのだけど

「能力ナンテ物ハ糧ニシテシマエバ、自分の物ダロウ?
 コノ話ス力ダッテ、何カ・・・イヤ、言葉ヲ使ッテ話セル者ヲ喰ワナイト、言葉トナッテ話セナイ
 孤独ノ中デ長イ時間ヲカケテ手ニ入レタノガコノ結果・・・
 本当ナラコウヤッテ話ス間モナク、オ前ハ既ニ腹ニ納マッテイル・・・」
「あ・・・う・・・」
「ククッ・・・俺ガ醜イダロウ?無理シナクテ、笑エバイイ。所詮ハ分カリモシナイノダカラ・・・」
「いや・・・僕は・・・」
「何?」

話す事が出来て、それを自覚しているのなら、食らう事で力を手にする
そう思えるのも無理は無い
だが内心で笑いたかったのは・・・

「笑うにしたって・・・僕はそう直ぐに諦めてしまう事を笑いたい
 それにそうして会話出来る事を知ったのはいつだったんだい?」
「ソレハ・・・」
「さっき『所詮』って言った所から、何度か君を助けようとしてくれた獣人がいたんだと思える
 その時にどうして・・・すがらなかったの?オルニフだって・・・そんな君を放って置けないと思う」
「アノ狐カ・・・」
「助けて欲しいなら、素直に答えればいいのに・・・
 僕で力になれるのなら、是非とも共に戦おうっても思った」
「・・・・・・・・・・・」
「どうしてそこまで他人が信じられないの?食べ物だから?
 それとも自分が力を手に入れる為の踏み台のように思って――」

『黙れ・・・』

何故かその反論だけちゃんとした言葉のように聞こえた
流石にちょっと言い過ぎたのかな・・・怒りを買ったようで片手が自分の頭をがっちりと掴み・・・

「う・・・あが・・・」
「自分ノ種族カラ外サレ・・・俺ト同ジ類ノハズナノニ、親ニモ捨テラレ・・・今マデ一人孤独ニ生キテ・・・・
 孤独ト共ニココマデ食イ繋イデ来タ・・・ドウシテ道ヲ外サネバナラナイ?」
「そ・・・そんなの・・・ただの・・・」
「犬ハトモカクトシテ・・・サッキノ狐トイイ・・・鳥トイイ・・・魚ノオ前トイイ・・・
 ドウセ助ケモ出来ナイノニ、ヨクソンナ軽口ヲ叩ケルナ?」
「ぐ・・・ジ・・・ジールだって・・・ちゃんと話せば・・・分かって・・・」

「マダ言ウカ・・・ダガナ・・・」
「え・・・」

締め上げていた手が緩んでも、視界は少し歪んでいる
薄っすらと見える地竜の顔には、いつのまにか涙が伝っている
地竜の頬から一滴の涙が伝い落ちると・・・

「モウ遅イ・・・時ハ遅スギル・・・ソノ時ヲ見過ゴシ、救イノ手ヲモ跳ネ除ケタ
 ソレトモ神カラ嫌ワレタノナタ・・・落チル所マデ・・・ッ・・・」

緩んでいた頭を掴んでいる手を掴んで、口元まで引き寄せて噛み付く
そこも硬くて、歯も折れそうだったが、食い縛って再び逃げ出す

そんなつもりは無かったのだけど、竜の逆鱗に触れる・・・か
伝承では山一つ消し飛ばすくらいに暴れまわるまで怒りがおさまらないとか聞いた
もう逃げ場などない・・・すがる者も居ない・・・自分が生かされる訳もない・・・

「うわっ・・・」

誰も出入りしていないのだから、とても荒れている山道なのだから躓いて転んでしまう
オルニフだったら、こんなヘマはしない
というよりまるで地竜とリードで繋がれているかのように離れるに離れられない

「ココガ潮時ノヨウダナ・・・オ前ノ友ハ待チワビテイルヨウダ」
「い・・・いやだ・・・やめて・・・助けて・・・」

結局・・・誰も村へと帰る事が出来なかった
四人まとめて地竜への捧げ物へ・・・
最後のオルニフの願いも叶えてやれなかった自分へは相応の最後だろう
ただ喰われたくないという事だけが思い浮かんでいた
しかし・・・

「おやめ下さい!」

誰かの声がした
それもいつも聞いていた・・・いや、聞かされていた声だった
涙で潤んでしまって、よく分からない・・・見た感じは獣人のようだ

「・・・アノ時ノ白蛇カ・・・アノ話ハアレデ終ワリダロウ?何シニ来タ?」
「この子達があなたの聖域を踏み荒らした事は私が代りに謝ります
 しかし、我が村の一員が喰われ逝く様を見ている訳が出来ません・・・」

両手を広げて、行く手を阻み、口論しているようだった
あの話・・・と言う事は跳ね除けた救いの手というのは、村長さんからだったのだろうか?
そんなにこの地竜を迎え入れようとしていたのかもしれない

あれ・・・でも、会話する力を手に入れたのはどれくらいの時だったんだっけ?
こうでもしないと言葉を発する事が出来ないんなら、その時にその力を自覚してたんなら
村長さんが迎え入れようとしていた時はどうにか・・・
ああ・・・もうどうゆう事だ・・・頭こんがらがって来た(汗

「そ・・・村長さ・・・」
「やっと見つけた・・・ずっと探してたけど・・・ごめんねオルニフ君・・・
 助けは間に合わなかった・・・」

この問題を作ったのはオルニフだと分かっているはずなのに
村長さんは攻めせず、むしろ助けられ無かった事を謝っていた

地竜が目を瞑る・・・そして目蓋を開けると

「私ヲ放ッテオク事ヲ貴様ガ約束シタ・・・自分カラ約束ヲ破ッタノ?」
「ナヤちゃん・・・ですが、この子達はまだ子供・・・
 その時は自分で自分の欲求を抑える事は難しい・・・あなたもそう思った事もあるはず」

「に・・・逃げて、村長さん・・・もうそいつは・・・」
「大丈夫よ、ただで食べられなんかしないから。それにこの子は私に何も出来ないから心配無いわ」

何を根拠にそう言っているのかよく分からない
ただそんな安っぽい関係では無さそうだった

「ジャア、ソノ獣人ノ代ワリニナッテクレルカ?ソウスレバ、ソノ獣人ハ見逃シテヤロウ
「・・・約束よ?」
「えっ・・・そ・・・そんな・・・駄目だよ!村の獣人達を残して・・・」
「悪いけど、後はあなたに任せるわ
 これはあなたが招いた結末・・・今を生き・・・自分の一生というとても長い長い時間をかけて・・・
 先に行った友達に報いる答えを見つけなさい・・・」

覚悟は出来ているようだった・・・だがこいつはそんな約束を守るはずがない・・・
白蛇という獣人は、珍しいが特に目立った能力というのは分からない
だから喰らう事なんて、眼中に無い

最初から狙いは自分自身だったから、地竜から受けている目線が変わってなかった・・・

・・・突き刺さるかのような視線に変わる時に体が動いた
とにかく・・・その場から逃げ出そうと、ひたすら走る

「それでいい・・・村の者を守って散るのも私は本望だから・・・」
「グルルルルルル・・・」

様々な声に変わったかと思えば、地竜はいつしか野生の目つきへと変わっている
背後からは走り去っていく獣人の足音が聞こえてくる

「・・・!?約束の話がっ・・・」

走り出したかと思えば、すれ違っていった
凄い脚力・・・狐・・・狼の脚力を取り込んだ力は侮れないという事だろうか
追いつけそうに無い

「ナヤちゃんの羽根・・・微量ながらも魔力が宿っているなんて・・・
 近い内に不死鳥にも劣らぬ立派な神鳥になれたかもしれないのに・・・」

下の方を見てみれば、一枚の羽根が落ちていた
それを拾い上げ、両手で握り締める

「そこまで・・・私は一人だったあなたを追い詰めてしまったのですか?」

気が付けば夕暮れ時・・・暗くなり始めて、薄っすらと赤い幕が空に掛かっていた
問いても返事が来る訳でもない
鳥の獣人が落とした羽根を握り締めたまま、赤い空を見つめ、その場に立ち尽くしていた・・・

   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「一人は辛いか?魚の獣人よ・・・だがお前を今まで生かしてくれた友にはどう償う?・・・」

「そのまま地の果てまででも逃げ続けるのか?」

「それとも逃げ続けている内に絶命する策でも考えているのか?」

「お前の友・・・皆お前を待っているというのに・・・我を裏切るのかと問い続けているぞ?」

何もまともに見えない闇の中・・・いつしか夜になっていて、辺りはすっかり暗くなっていた
だが、体も乾燥して干乾び始めているこの時でもただ地竜から逃げ続けている
まるで地獄からの誘い・・・もう地竜が発している様には聞こえない
ただ慌てているだけだろうが、一瞬でも耳を傾けたら引きずりこまれてしまう・・・
その背後から迫り来る恐怖にも耐え、ひたすら真っ暗の闇を走り続けた

ガコッ・・・

「えっ・・・うわ・・・」

踵の辺りに違和感・・・足場が崩れ落ちたようだった
バランスを崩して黒く真っ暗の深淵へと落ちてしまう

直ぐに何も見えなくなった
山に居て、降りるつもりが実際には登っていたのだろうか?
今まで逃げようとしていた事が信じられないくらい深かった

この恐ろしさに耐え切れず目蓋を閉じた、どの道視界は真っ暗だった
この崖は何処まで繋がっているのだろうか?・・・
地竜・・・いや、地の神様は反省する心・・・そんな物を教えてくれたのだろうか?
そういえば、そんな事ばかりだらけだったから、オルニフはあんなに責任感が強かった
来世はそんな風に僕もなりたい・・・

今回は地竜に獣人が一人ずつ捧げられる事が連鎖していた
事は連鎖する事で、変わってくるのかな・・・
もしかしたら本当に皆と同じくして、地竜と一体になっていた展開もあったのかもしれない



ただ闇の中をひたすら落ちて行く・・・いつ地面に叩きつけられるか分からぬその時も来ないまま・・・



         ・・・・・・・・・ 永遠に ・・・・・・・・・
メンテ
Re: 連鎖 ( No.16 )
日時: 2010/12/29 00:08
名前: S

って事でこれにて終わり
生還者無しの話はこれが始めてだったりします(どうせ全部ぐだぐだですが
呼んで下さってくれた方々に感謝。返信してくれた方々にはもっと感謝
ここまで呼んで下さって、本当にありがとうございました



リオレイア氏
このようじゃ救いの手は全部振り払っているようです(苦笑
そりゃ、自分も助けになると、思ってその身を捧げt(ry

セイル氏
そぉ・・・ですかね?
参考にした訳でもないのに『千と千尋の神隠し』みたいな設定になってますが(汗
それから、こんなんでも他の皆様方に面白く呼んでもらえるよう頑張ってるつもりです
僅かずつ上手くなっていると思いたい今日この頃・・・

何にせよお褒めの言葉はとても嬉しいです
ですが捕食の方はセイルさんも含んで、他の製作者様方の捕食画写には敵いません事よw


以上の方々
最後に返信ありがとうございました
メンテ

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