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アイが欲しい
日時: 2011/02/02 02:27
名前: くじら   <sleepingwhale@hotmail.co.jp>

どうもー、お久しぶりでお邪魔します。
初めてなんですがポケモンものを書いてみたかったので、
またこちら、お借りしました。
リザードンとピカチュウちゃんです。
気が向いたら後半も今日中に〜ではでは。
________

リザードンの かみくだく こうげき!

ピカチュウの身体を覆い隠すほどの大きな顎が振り下ろされる。
強靭なそれは、彼女の体力を一遍に失わせるほど。
鈍い牙と牙の間に挟まれながら、薄れゆく意識。

それでも、愛するトレーナーの締めてくれたハチマキの事を思い出して
ピカチュウはなんとか意識をとどめていた。

リザードンは彼女を解放する気配もなく、
小さな生き物を顎に収めたままゆっくりと上を向く。

ここから先は、人の知らない、彼らの会話。
______

「だれが……あんたなんかに……!」

ピカチュウは気力を振り絞って暴れようとする。
大型のポケモンの顎の力は彼女にとってすさまじく、
ましてや気を失いかけた状態で抵抗できるものではない。

くさくて暑い、口の中。
胸から腹にかけて感じる、ぬるぬるした感触。

「おぉ、勇ましい事。こわいこわい。
 でもなぁ、女の子がひとりで来るなんて、いけないねえ」
「馬鹿にしてるの!?さっさと降ろしなさい!」

ピカチュウはまっさかさまになったまま、
顔を真っ赤にして毒づいた。
女の子扱いされる事が、何より嫌いだった。

バトルではいつもいつも、すぐに引っ込められて。
自分のちからは雄ポケモンにだって負けない事を、証明したかった。
主人を見返してやりたい。もっと彼の役に立ちたい。
それが彼女が独りで戦いを挑んだ理由。

リザードンの方は、そんな彼女の足掻く様を楽しんでいた。
その強大な力で、今まで数多くのポケモンを潰してきた。
人に使役される事もなく、山でトレーナーを狩る毎日。
彼はいつしか人に恐れられるようになった。

「あんたが、あんたが私の……!!」

涙を浮かべながらリザードンの下顎を叩く。
おおきな、おおきなあごだった。

「誰だったかねえ……?そんなに大事な、奴だったのかな?
 ま、おまえもニンゲンに使われてるようじゃ、まだまだって事」

顎の外側に感じる心地よい刺激に、彼はにやりと笑うと、
彼女を収めたままの顎を、一度大きく開いた。
至福だった。相手から大切なものを奪う快感。
最高の味付けに、唾液が止まらなかった。

そうして、くちをとじた。
ごくり。

「さよならさん」

こういうときはいつも、涙も止まらなかった。
顔を体液でぐしょぐしょにしながら、
満腹になった身体を見つめていた。
メンテ

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Re: アイが欲しい ( No.1 )
日時: 2011/02/02 03:08
名前: くじら  <sleepingwhale@hotmail.co.jp>

__________


リザードンの腹の中。
ぐにょりぐにょりと絶え間なく動くそこは、
さながらどこかのアトラクションか何かのように、
大げさで、分かりやすくて、嘘みたいだった。

「あたし……たべられちゃった……」

ピカチュウは胃袋の中で、さかさまになったままだった。
そのままで、エグイ体内の様子をつぶさに観察する。
上も下も関係なかった。うっすらと光る自分の頬が恨めしい。

自分の身体がじんわりと粘液にぬれているのが分かった。
手で触ると、ねっとりと、全ての体毛が身体に張り付いている。
ネバネバするそれを、彼女は顔に近づけてみた。
あいつの、不快なにおいだった。

「きもちわるい」

胃袋の中は狭かった。ピンク色で、どろどろと粘液が絡んでいて。
もっと狭くなっている所に、色の違う液体も見えた。
胃液だろうか。空間をすさまじい匂いが満たしていた。

「……ああ、溶かされちゃうんだ」

思い出したように自分の運命を悟る。
不思議と涙は出なかった。

ふと、目の前に白い何かが垂れてきた。
驚いて顔の前をもみくちゃに触る彼女。
ぬるぬるして分かりづらかったが、ハチマキだった。

「……!!」

涙があふれた。粘液に重くなった布切れ。
白かったそれは、彼女の血と、リザードンの体液で変色していて、
「アイ」と書かれた名前も、うっすらと滲んでしまっていた。

耳の下をぐるりと巻いているそれを外すと、彼女は愛おしそうに撫でた。
ぬるぬると手から取り落としそうになったが、それでも。
粘液に塗れているそれを、抱きしめ、目をつむった。

ゲフウゥゥゥゥ

急に、空間が狭くなった。彼女の身体が胃壁に押しつぶされそうになる。
ぶより、ぶより。空気が抜けた事で粘膜は彼女に密着する。
彼女は全身をぐにょぐにょの胃袋に包まれた。

「ひゃっ……!!」

慌てて押し返しても、空気の抜けた風船を押しているようだった。
手ごたえがないぐらいに柔らかいそれは、何度押しても、彼女にくっついたままだった。
そうして、全身を撫でまわす。

「んんっ…う……!!!」

全身を粘ついた肉に触られて、四肢も、耳も、尻尾も全て取り込まれて。
身じろぎをするたびに熱く、厚い粘膜に身体が擦れる。
足の先から、耳の先から、本能が快楽を告げる。
ぴりぴりと痒いような刺激から、だんだんと耐えられないぐらいに、
激しく、彼女の身体を震わせていく。

顔全体も舐められるように、胃壁に撫でまわされて。
喘いだ口には粘ついた液体が流れ込んで。
徐々に侵食されていく感覚。これが、食べられると言う事。

ハチマキだけはしっかりとつかんだまま、
快感と、諦めで頭が真っ白になっていきそうだった。
ぶよぶよとした袋の中で、もがいて、震えて。

「…あ…ま…」

意識に何かが割り込んできた。

「なあ、おまえ」

身体に声が響く。あいつの声だった。
メンテ
Re: アイが欲しい ( No.2 )
日時: 2011/02/02 12:54
名前: リオレイア

うほぉ…
相変わらずくじらさんの作品は素晴らしい!!前作では言葉攻めがメインだっただけに、胃袋の描写がたまりません!
リザードンのお腹に入ってみたいものです。
メンテ
Re: アイが欲しい ( No.3 )
日時: 2011/02/04 02:29
名前: くじら  <sleepingwhale@hotmail.co.jp>

ちょっと「お話」を作っちゃってる感があってすみません><
うーん、書きながらフェチSSなのに実用的じゃない感じがしてます。
いろいろと難しいのはポケモンなのもあるのですが、どうなんでしょう。

>リオレイアさん
ありがとーございますー。感想いただけて嬉しい。
ポケモン好きにも喜んでいただけてよかったです。
私のSSは言葉が少ないからメインって事は
あまりないかも……なのですが、
そういう印象がありましたか。なるほど。
メンテ
Re: アイが欲しい ( No.4 )
日時: 2011/02/04 02:30
名前: くじら  <sleepingwhale@hotmail.co.jp>

鼓膜に響く低いそれに、彼女は世界とのつながりを取り戻した。
耳に張り付く粘膜から逃れようともがきながら。

「……なによ」

胃壁に話しかける。奇妙なものだった。

「おまえ、俺のものになれよ」

アイの眉間にしわが寄る。ぶよぶよと蠢く胃袋を睨みつけながら、
嫌悪感に唾を吐きたいぐらいだった。

「あんた、何いってんの?あたしがあんたのものになると思ってるの?
 ……っていうか、食べておいて、そりゃあないんじゃないの?
 もう、あんたの、もの……っていうか……」

何故だか彼女の頬が紅く染まる。相手の体液にたっぷりとまみれて。
嫌な相手の、体内で。全てが相手のものになっていて。
彼女はもう、自分が自分であることに自信がなかった。

「でも、でも!あたしは御主人を信じて……ああっ!」

胃壁に挟みこまれた手をずぶりと抜くと、アイは手の中を見つめた。
そこには、溶けてぼろぼろになった布切れ。ハチマキだったもの。
彼女の主人が書いてくれた名前も判読できなかった。

「な、もう、遅いんだよ」

ゴム膜を叩くようなねっとりとした声と共に、
胃袋が再びアイを包み込んだ。
足の先も、指の先も、耳も。縞のある腰。
薄紅に光る頬。ちいさな鼻先。
空気の入る隙間も残さずに。

「やんっ……!…ああっ……!!」

弾力のある空間に独り取り残された彼女は、
まるで無重力下にいるような感覚すら感じて。
ゆっくりと、熱いリザードンの体内で。
自分と世界の境目が、だんだんと、溶けていく。
それは、きもちいい、のかもしれない。

「そうやって、俺のものになれよ」

胃袋の分厚い肉が、アイとひとつになっていくかのように。
ぴったりと張り付いたそれは、息の自由すら奪って。

「嫌だ、いや、あたしは、あたし、とか……や……」

そうして、彼女は腹の中で気を失った。
独り残ったリザードンは、さみしそうに自分の身体を見つめていた。
メンテ
Re: アイが欲しい ( No.5 )
日時: 2011/02/04 03:01
名前: くじら  <sleepingwhale@hotmail.co.jp>

寒くて冷たい。
彼女が気付いたのは、そんな空間の中だった。
自分は死んだのだろうか。身体の感覚も、ないみたいだった。
それでも彼女はうっすらと笑いを浮かべていた。

「気付いた?」

そんな彼女を一気に現実に引き戻す音。
顔をひきつらせて、自分の腰のあたりを触る。
ぬめりの強い液体が、分厚く絡みついている。
それでも、手足は幾ら暴れてみても空を切って、
なにより、寒かった。

「……どういうつもり」

吐き出された、という事が分かったのはすぐだった。
だんだんと戻ってくる感覚。重力。
地面の冷たいのをみると、まだ夜なんだろうか。
ぼやけた視界がはっきりとしてきた。
目の前には、あの、リザードンが座っていた。

「……やっぱり、俺のものにはならないんだな」

軽くため息をつくと、何かを知ったような眼差しで少し遠くを見つめる。
アイはその様子を横になったまま見ると、地面に視線を戻す。

「あんたなんかのものになるわけ、ないでしょうが」

さっきまで、一緒になっていた粘膜の感触が思い出されて、
アイはぶるっと身を震わせた。寒かったからかもしれない。
でも、まだ身体に染みついている粘液がぐちょりと音をたてる度に、
何かもぞもぞした感覚が首をもたげた。

「わかってる。だから、吐き出したんだ。もう、帰りな」

リザードンはそう促すと、自分は暗い夜の森に消えようとする。
アイはそれを見ながら、なんだか申し訳ないような気分だった。

「待って」

リザードンがビクリと歩みを止める。
それでも、声を出した本人が一番驚いていた。
自分を食べた相手に情けをかける義理なんて、どこにもなかった。

「あんた……さみしいんでしょう。
 たまに来て……話し相手ぐらいにはなってやるから…さ」

言葉が湧水みたいに出てきた。
アイは自分でもよくわからない風をしながら、
上半身を持ち上げて、ぺたりと地べたに座りなおした。

振り向いたリザードンは、
目を白黒させながら、彼女と自分のどこか中間を見つめている。
どぎまぎしながら、必死で言葉を紡いでいく。

「だ、そんな、俺は、お前を、食っちまったんだぞ?」

「当たり前でしょ、あんなくさくて、暑くて、狭くて、暗くて、
 ねっばねばで……気持ちの悪い所に、二度と入れられたくないわよ!」

アイは自分で言っていて恥ずかしいぐらいに、
体内の感覚を思い出しながら罵倒した。

「……でも、まあ、ああいうのも……わるくない……っていうか」

そっぽを向きながら続ける。
頬だけでなく、顔が真っ赤になっていた。
何を言っているんだ自分。

「へえ、そりゃ、はあ。まあ……じゃあ、またな」

彼は拍子抜けしたような顔をしながらそっけない返事をすると、
翼を広げ、東が白み始めた夜空へと飛んでいった。
砂埃が舞う中、アイは何かいいものを見つけた時のような顔で、
それをずっと見つめていた。

おしまい。
メンテ
Re: アイが欲しい ( No.6 )
日時: 2011/02/04 03:08
名前: くじら  <sleepingwhale@hotmail.co.jp>

短い分量なのにいつもの調子以外にちょっといろいろヒネりすぎたのでいろいろ心配です(・ω・)イロイロ
何でもご意見いただければ幸いです。
メンテ

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