−セイラン南部 ハンヨウ−

きゅうううぅ・・
「っ///////」
私のお腹が小さく鳴った。
・・お腹・・減ったなぁ・・
私は兎獣人。名前はアスナ。
親は戦争でどっちも死んだ。いわゆる、戦争孤児だ。
建物の屋根下に膝を抱えてうずくまっていた。
「おい。」
そんな私にかけられた声。貫禄のある男性の声。
「おめぇ・・腹減ってんのか?」
「ぇっ・・・・・?」
天使のような言葉だった。いつも私にかけられる言葉は蔑み、あざ笑う言葉。
小さい私が見上げても逆光で顔が見えない。私にはその人が何万年も生きた巨木のように見えた。
「あぁ・・体も汚れてるじゃねぇか。仕方ねぇな。」
鉤爪の付いた手がヒョイと私の体を安々と持ち上げた。
「暫くは面倒を見てやるよ。」
強靱な肩に私は乗せられ、私は口をパクパクさせた。
顔面に大きなバッテン傷のある狼の獣人。
数年前、この世界を心剣士と共に救った一人・・
その名は・・・ロウエン。
「そんなに恐がらなくていいぞ。別に取って喰うつもりはねぇからな。」
私の頭を大きな手でグシャグシャにしながらその強面をニコリと破顔させた。

 

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