チャプター2
闇の封印
森の中に入った2人。
ジュプトルの後にアリゲイツがついていく。
森に入って数分...
「おっ!あった!意外と近かったな。」
「これが黒石...ですか?」
2人が見つけたのは2メートルはあろうか、巨大な岩だった。
名前の通り、全体を覆うように黒色が取り巻き、
そして四角い穴が空いている。
「これだ...ついに見つけたぞ...!」
「苦労して探した甲斐がありましたね!兄貴!
...さて...」
アリゲイツがバックから取り出した物...
「兄貴、「これ」の出番です!」
黒石と同じ色をした、手のひらサイズの平べったい小石。
中央に出っ張りがある。
そう...
オレが数年かけ、探し出した...
この黒石の...
謎を解く...鍵...
カチッ...
くぼみにはめてみると、きれいにはまった。
「やはり...」
「緊張しますね...兄貴...」
キィン...
ピキ...
黒石にヒビが入り始めた...
「フフ...さて、どんな代物があるんだ?」
ガラガラ...
ガシャァーン!
想像以上に音が大きい!
「くそ!今の騒音で村の奴がくるかもしれねぇ!
早くお宝回収してずらかるぞ!」
「え...?でも兄貴...?」
「...!!」
目の前には...お宝と呼べる物はなく...
黒石の残骸だけがあった。
「なんでだ!!オレの集めた情報はでたらめだったのか!?」
「みたいです...」
ゴゴゴゴゴ!!
突然地震のようなゆれが襲ってきた。
と思うと、今度は地面に亀裂が入る。
「あ、兄貴...いやな予感が...」
まるでそれがかけ声だったかのように辺りに衝撃波がはしる。
同時に黒い霧が辺りを覆う。
黒い霧の中...
そこに立っていたのは...
「ブッハー!久々のシャバの空気は気持ちいいぜ!」
「バンギラス...」
今までずっと眠っていたかのように、大きなのびをする。
「お?オレの封印を解いたのはおまえらか?」
「そ、そうだ!封印をと、解いたのはおれだ!」
「え...兄貴何言って...」
「ほ〜、お前か。感謝するぜ。」
そう言ってヒョイッとジュプトルを持ち上げる。
「な、何すんだ!は、離せ!」
「こちとら腹が減ってんだよ。まずは前菜だ...」
「うわあぁ!やめろ!」
かなりの空腹なのか、口にすぐさま放り投げた。
「まぁまぁかな...次は...」
「ひっ....!!」
|
ニヤッとアリゲイツの方を見る。
青い顔がさらに真っ青。 |
|
「く、くるなぁ!」
後ずさりするアリゲイツ。
それを楽しそうにおいつめるバンギラス。
がつ!
!!
後ろを見てなかった!行き止まりだ!
「なんだぁ?おいかけっこはもう終わりかぁ?」
いたわるかのようにアリゲイツの尻尾を軽く掴み、口元へ持っていく。
「ひぃぃぃぃ!助けて〜!!」
バンギラスの引きつる口角と溢れる唾液が、目の前に展開される...
「うわぁぁー!れいとうビーム!」
無意識に放ったれいとうビームが、バンギラスの手を凍らせた。
今だ!
力の抜けた手から脱出できた。
「うぐっ!やってくれたな...」
ほとんど溜めずに撃ったせいか、もう氷が溶け始めている。
逃げないと!逃げないと!ひるんでいる内に・・・!
「逃がすかよ・・・!」
(ストーンエッジ)
突然目の前に大きな岩石が突き出す。
「うわ!?」
勢いよく正面衝突してしまい、転げ倒れる。
|
「よくもやってくれたな・・・」
今度はさっきと違い、乱暴にアリゲイツの尻尾を掴む。 |
|
そして...
パクン!
「うわあぁ...」
ぐにゅ・・・
バンギラスはゆっくりと口を閉じた。
「仕上げだ...」
ごくん!
...確かにアリゲイツが自分の胃袋に陥ったのを感じていた。
この上ない快感と優越感。
そっとお腹に手を触れ、怪しげな笑みがこぼれた。
「まだまだ...こんなんじゃ食いたりねぇ...」
視界の先には先ほどの地震で目を覚ました住人の家。
ニヤリと口角をつり上げ...
ゆっくりと...
村に近づく影、そして悲鳴が、そこにはあった。
〜もう終わり〜 |