チャプター2 夢の叫び 「う〜ん...」 重い瞼がゆっくりと開いていく。 「あれ?ここは...どこ?ボクは...確か.....」 ボクの名前はウェイクで... 船の上にいたはず... でもそこは船の上じゃなくて... そこは緑ゆたかな草原... たくさんの蝶がひらひらと空中を躍るように舞い、 足下の草がしっかりと自分を支えてくれている。 ...ここ...どこだろう? そういえば...あれ? 空がない?真っ黒だ... とにかく進んでみようか... ふあんだからか、つい焦って早足しなってしまう。 ...どこまでも続く草原... そして暗黒の大空... 「...コ..コ...ニ......」 .....? なんだろ... 声が聞こえる...空耳かな...? 「...ワ...ココ...ニ....」 聞こえた! やっぱり空耳なんかじゃない! 「ハ...ヤ...タス...ケ...」 「だれ!?誰かいるの!?」 うっすら何かがみえる。何か、大きい何かが... 黒い渦が、「何か」を取り巻いていく。 「ボク...ヲ...タ...ケ....テ...」 「何て言ってるの!?聞こえないよ!」 「............」 「ボク...ダヨ...」 「!?」 声が近くなった。 ...気づかなかった!背後に... パクン! 「うわっ!」 目の前が真っ暗になった... 一瞬、竜のようなものが見えたきがする... 「ひゃ!?」 おわ!?何コレ!?ヨダレ? やっと状況を把握した。 ボク食べられちゃった!? 空間の大きさからして、かなり大きな生物みたいだ。 ってそんな場合じゃない! まだ呑み込まれてない!まだ間に合う。脱出できる! あそこから光か漏れてる!急げ!若人!走れ!若人! 「はぁ...はぁ...」 早くも息切れ... これって体力ないってこと? これじゃまたモヤシって言われる! 頑張れ!若人!白髪の!若人! 「誰だよ!さっきから!あと白髪って言うな!」 足場が柔らかくって走りにくい。けど、出口は目の前だ! グラッ! 「え?」 突然、足下が動いたとおもったら、急激に傾いて... 唾液の海にダ〜イブ!バッシャーン! 「ゲホっ!ペッペ...」 浅かったけど底が柔らかかったおかげで無傷だ。 そして間もなく グラッ! 「ちょっ...今度は何だよう!」 次はさらに傾き...完全に呑み込む体勢だ。 「ス、ストップ!スト〜ップ!!」 その場にとどまろうとしがみついても、すべっておちるのが止まらない。 もうだめだ〜... 「はっ!.........」 ガタゴト...ガタガタ... 船... 見慣れた風景... 「夢...か...」 「ウェイク?だいじょ〜ぶかぁ?だいぶうなされてたぞ〜。」 「リューク... 夢見てただけだよ...」 「そっか。ま、悪い夢じゃないならいいけどな。」 もう夜中か...ぐっすり寝ちゃってたみたいだ... あらしはまだおさまっていないみたい。 「ぐおぉ〜...」 びくっ! あぁ、なんだ。ブラーのいびきか... まったく...何のお化けかと思ったよ... 「グカァ〜...」 寝ててもウザイな。いっそ蹴り起こしてやろうか... ゆっくりと...羨ましいほど気持ちよく眠っているブラーの顔の前に行き、片足を宙にうかせる。 止めようとしないリューク。 こっちをじっと見てる... ...ダメだよね。がまん、がまん。 こうして航海1日目の夜は明けていった... 航海2日目。 「ふあぁ〜...」 昨日変な夢みたせいでまだ眠いや...しかし何だったんだろ、あの声... (ブルッ...思い出しただけで身震いするよ...) 「よし!あらしも去って、順調だ。この調子で行けば明日には島に着くぞ!」 はいはい、そうですか...起きているとさらにうるさい... 「もうすぐだな、ウェイク。」 「うん。楽しみだね。」 リュークもこうゆうの好きなんだな... 今日は何の問題もなく、確実に目的地へと進んでいった。 そして夜... 「航海2日目 12月 30日 夢をみた。とってもおかしな夢だった。 何かが、語りかけてきて... 助けてって聞こえたな... 追伸 夢の最後に竜みたいなのが見えて...食べられた。 あの感覚はやたら鮮明で... ...もう書きたくない.....」 「へ〜...」 「うわっ!なんだ、リュークか...」 「なんだ?ブラーだとおもった?あ、なにこんな夢見たの?」 「あっ!勝手に見ないでよう。」 そんなこんなで2日目は終わった。 |